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第七話:ダークメイド

 「…ん〜…もう朝か」


 昨日、9時前には寝て気がつけばもう朝だ。


「早く寝たおかげで全然眠くないや」


 オレはベッドから降り、部屋をでる。


 またパンか。もう飽きたなぁ。早くアミたちのご飯食べたいなぁ。


 考えながら歩いているといつのまにか広間の前についていた。



   ガチャ


 広間の扉を開ける。


『おはようございます。リクト様』


「!!…え!?」


 今この家にはいないはずのみんながいた。予想していなかった出来事に一瞬、言葉がに詰まった。


「ど、どうしてみんながいるの!?まだ休みは6日も残っているじゃないか」


「私たちはリクト様に1日でも早くお会いしたかったので」

 代表してサナが口を開いた。


「でも、それじゃあみんなは全然休めてないんじゃないの?」


「私たちは1日も休めました」


「でもたった1日じゃ!」


「私たちはリクト様の優しいお心遣いのおかげで休みなんて吹っ飛んじゃいました。それに好きで働いているのです♪」


「で、でも…」


「ほーんとリっちゃんは優しいよね〜」


「だってリっくんだもん」


 やけにみんなはたのしそうだ。


「ありがとう。みんな」


 みんなは返事として笑いながらお辞儀をした。


「正直、みんながいないとオレ何にもできないって事がわかったよ。‥それにホント言うとみんなが帰って来てくれてすごく嬉しいんだ♪」


「リクト様‥私もリクト様がご主人様で幸せです♪」


「あ!ズルいぞ!抜け駆けなんて」


 ミラとルリが定番の言い争いを始めた。


 ホントにこの2人は…


言い争いが終わるとルリと目が合った。


「リクト様。私も幸せです♪」


「うん。ありがと♪オレもみんながいるから幸せだよ」


『///////』


 オレがそう言うとみんなは顔を抑えて下を向いた。あれ?へんな事でも言ったかな?


「みんな、どうしたの?」


『な、なんでもありません!』


 みんなは声を合わせて言ってきた。


「そう?ならいいけど」


(この人の言葉はすごい破壊力だわ)


 メイドたちは同じ事を思った。


「みんな顔を赤くして下を向いたから心配しちゃったよ」


(そして、この鈍感さは罪だわ)



「ところでアミ。」


「なに〜リっちゃん?」


「お腹空いちゃった☆」


 オレは満面の笑みで言った。


「///‥あ!そ、そうだね。ちょっと待ってて」


「ありがとう♪」


 アミは料理班を呼び準備を始めた。


「‥リっちゃんは私達を萌え死にさせる気なの?」


 アミが厨房に行く途中オレには聞こえない声で呟いた。



     ☆


『いただきます』


「やっぱアミ達の料理はおいしいや♪」


「そうでしょ〜☆」


「ありがとうございます。リク様」


 アミとユカが笑いながら返事をした。


 やっぱおいしい料理はいいね。しばらくパンはいらないな。


『ごちそうさまでした』


 おいしい料理であっという間に食べ終わった。


 さて、朝ご飯も食べたしなにしようかなぁ。手伝いとかみんなには必要ないもんなぁ。とりあえず本でも読むか。


     ◇


「リクト様は相変わらずステキな方よね〜♪」


「ホントになぁ。それに気取らない所もな」


「そうね〜」


 ミラとルリが話している。


「あら、珍しく2人が意気投合してるわね!」


「そりゃあリクト様の事ですから」


「たしかにそうね。あの人は昔からステキな方だったから」


 みんなはあらためてリクトの人としての素晴らしさを実感していた。



   PrrrPrrr


「あら、電話だわ」


 サナは電話の受話器を取りに行った。


「はい。倉原ですが?」


「あ、あのリクトさんいますか?」


 電話の主は女の子だった。


「失礼ですけどどちら様でしょうか?」


「エリです!この前助けてもらったって言えばわかると思います」


「少々、お待ち下さい」


 サナは電話を保留にして受話器を置いた。


「サナ姉、電話誰だったんだよ?」


「なに!!」


「い、いや何でもないっす」


 サナは不機嫌そうに出て行った。サナはリクトの部屋を行った。



   コンコン


「どうぞー」


「失礼します。リクト様。」


「サナ、どうしたの?」


「リクト様にお電話です」


「電話?‥誰だろ?」


 母さん達からかなぁ。


「この間、助けてもらったエリという女の子からです」


 サナがやけに冷たく言うからなんか怖い。


「エリ?‥あ!あの時の」


「リクト様!あの時っていったい!?」


「電話が終わったら話すよ。それより早く行こ!」


 オレは待たせては悪いと思い足早に部屋から出て行く。


(あんなに急ぐなんて!そんなにエリという女の子と電話したいのですか?)


 サナはどんどん不機嫌になっていった。



 エリちゃんはどうして電話なんかしてきたんだろう?オレに何か用でもあるのかな?



 オレは広間につくなり電話のもとに行き、受話器を取った。


「もしもし。オレだけど」


「あ!リクトさんですか!?お久しぶりです」


「うん。それよりどうしたの?」


「はい。この前のお礼がしたくて」


「いいよー。お礼なんて」


「いえ。ホントに感謝しているので。‥それで‥い、今から行ってもいいですか?」


「今から?うん、いいよ」


「ありがとうございます♪では、また後で」


「うん。じゃあね」


 オレは受話器をもとに戻した。電話が終わるとサナもいてみんながオレの事を見ていた。


「ど、どうしたの!?みんな‥」


「リクト様ちゃんとさっきの説明をして下さい!」


 サナがオレに詰め寄って言ってきた。


「説明ってなに?サナ姉」


「さっきの電話相手の事!」


 オレはサナが妙に不機嫌になっているからこの前の事をみんなに説明した。


「――というわけなんだ」


「リクト様に助けてもらうなんて、なんて贅沢なのかしら!」


「ホントだよ!私も助けて欲しいかったぜ」


「そういう事でしたか。それで電話の内容はどのような?」


「あーなんかお礼したいから今から来るって」


『えッ!!!!』


「あれ、まずかった?」


 気のせいかな?みんなから黒いオーラが見えるような‥。うん、気のせいだ♪だって普段あんな優しいんだからそんな事で怒るわけないよね。


「どんな娘か見る必要があるわ」


「そうだな」


「リクト様をたぶらかすかもしれないからね」


「リっちゃんは部外者には渡さないよー」


「リっくんにどんなお礼をするのかなぁ」


 ミラ、ルリ、サナ、アミ、ソラの顔がいつもの笑顔と違う!


「リク様はそのエリという女の子に会いに行くために私達を休みにさせたんじゃ!?」


『ギロッ!!!!』


 ユカのセリフでみんながオレを睨んで来た。


『そうなんですか!?リクト様!』


「ち、違うよ!あの時、初めて会ったんだよ!」


 みんなからの質問に必死に答える。




   ピンポーン


『来たな!!!!』


 ほら、やっぱみんなは黒いオーラなんてないや。だってみんなのはオーラという表現じゃ足りなすぎるよ。あれは闇だ。


 逃げてエリちゃん!




 ていうかなんでみんなあんなに怒ってるの?オレがエリちゃんに会っていても別に大した事じゃないし‥。


『鈍感にも程があります!』


「!!なんで!どうしてみんなオレの心の中読んじゃうの!?」


 もうどうなってんだよ。


((好きだからです!))


「えッ!!なんか言った!」



 ていうか早くエリちゃんを出迎えなきゃ。


 オレは玄関に向かった。

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