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第四話:かくれんぼ終了

 屋敷が広い事もあってメイド達はまだリクトを見つけられずにいた。


 ある部屋では


「リっくーん。…ここにもいないか」


 なぜか浴場では


「リっちゃーん♪いるわけないか。アハハ☆」


(リクトを見つけるのがこんなに大変だなんて)

ほとんどのメイドが同じ事を思った。



     ◇


「もう二十分くらいたつね」

「そうですね。何事もなく早く終わってほしいです」

「そう?ドキドキして楽しいじゃん。それにサナとこうして二人きりで話すの久しぶりだしね♪」

「リクト様‥」


 サナは今、確実に顔が赤くなっているだろう。


「サナ」

「は、はい」

「スカート寒いでしょ?」 「い、いえそんな事は‥」

「ムリしなくていいよ。ここ地下だから少し肌寒いんだ。」


 リクトはそう言うと立ち上がりなにかを探し始めた。


「たしか毛布があったはずなんだけど‥。あ!あったあった♪少しホコリっぽいけどないよりいいだろう」


「サナ。ハイ毛布☆」

「リクト様は使われないのですか?」

「うん。サナ使いなよ。寒いでしょ」

「でも‥」


 サナはいきなり立ち上がりオレの近くまで寄ってきた。


「二人で使えばリクト様も寒くないですよね♪」

「サナ…ありがとう。やっぱサナは優しいや///」

「いえ…///」

(優しいのはあなたの方です。リクト様‥私はあの時からずっとあなたの事が…)


「サナ」

「は、はい!?」

「かくれんぼ勝てそうだね」

「はい!」

(絶対に勝ってデートしましょうね☆)


 サナはかくれんぼ早く勝ちたいという気持ちとリクトとこのままでいたいという気持ちが交差していた。



     ◇


「おかしい。どこ探してもいない!」

「なぁもう探してない場所なんかなくないかぁ」

「たしかに。もうすべての場所を探したはずよ」


 メイドたちはすべての場所を探し広間に集まっていた。

 メイドたちはリクトがどこにいるかわからず焦っていた。


「もぉどうすんだよ!残り時間少なくなってんのに探す場所がもうないなんて‥」

「わかってるわよ!だからみんなで話し合ってるんじゃない!」

「二人とも落ち着きなよ〜。焦ってもしょうがないじゃんか〜」

「そうだよ。今は落ち着いて考えなきゃ」


 ミラ、ルリに落ち着けと言うアミ、ユカも表に出さないだけで焦っているはずだろう。みんなが焦っているなか、一人だけ焦っていない奴がいた。


「なぁソラどうすんだよ?」

「………」

「無視すんなよ!」

(おかしい。かくれんぼが弱いリっくんがいくらサナちゃんと一緒だからってここまで隠れられるなんて‥。もう探す場所なんて…)


『あ!リっくんどこにいたの!?遊ぼうと思ったのに』

『秘密基地だよ♪』

『秘密…基地?』

『うん』


(そうだ!!まだ探してない場所があった。でも秘密基地ってどこに…。待って…たしかあの時リっくん遊び部屋から出て来てた。もしかしたら…)


 ソラは何かを確信したように笑みをこぼす。


「フフフッ♪ユカ残り時間あとどれくらい?」

「あと十分だけど…」

「ありがとう」

「ソラどうしたんだよ!?いきなり笑い出して」

「ミラ、ルリ、アミ、ユカ聞いて。遊び部屋へ行くよ」

「ソラ、遊び部屋はもう何人かのメイドが探してあるわよ」

「いいからついて来て!」


「…わかったわよ」

「急ぐよ」


 ソラの言葉にミラ達は遊び部屋へと向かった。他のメイド達も反応が遅れたが遊び部屋へ向かった。


     ◇


 「何人か上に来たみたいだけど全然バレないね」

「そうですね。足元を探すなんてかくれんぼじゃありえませんから」

「あと残り十分くらいかぁ」

「そうですね」


(せっかくリクト様と二人きりで、しかも隣り合っているのに‥。もっと何か言わなきゃ!)


「あの‥リク

   ――――バタンッ

「「…ッ!!」」




「カギ閉めて!ほかみんなが来ちゃう」


 ソラの言葉に最後に入って来たユカがカギを閉める。


「ちょっとー開けてよ!」


 ほかのメイド達が叫んでいるが無視するソラ達。


「まぁ勝負事だからねぇ」

「それよりソラ。ここにリク様がいるとは思えないんだけど…」

「そうだよ。どう見たって人の気配なんかしねーぞ」

「ううん。絶対にいる!この部屋じゃなくても何か仕掛けとかあるかもしれない」

「まぁもう他にアテがないしね」


 ソラ達は仕掛けを探し始めた。タンス、おもちゃ箱、机、ベッドなど。しかし、仕掛けらしきモノは見つからないでいた。



「秘密基地の事バレたのかな!?」


「いえ、それはまだ大丈夫でしょう。仕掛けを探しているようですし」

「そっか。なら安心だね」

「安心するのはまだ早いです。いくらわかりにくい仕掛けでも見つかるのは時間の問題かと…」

「残り三分か‥」


(それにしてもなぜソラの奴が‥!?)



「本当に仕掛けなんかあるのかよ!?」


(あのカラクリ好きのご主人様なら絶対リっくんのために仕掛けを作ってあるあはず)


 ソラはある事に気づいた。


「ねぇ。この部屋のベッドっていつもアソコにあったっけ?」

「言われてみればアソコじゃないわね。いつもはもっとこの辺にあるはずよ」


 そう、このカラクリはベッドを動かして元に戻せないのが欠点だ。



「‥マズいぞ」



 ソラたちはいつもベッドがある辺りの床を見た。


「おい!そこの床、少し穴みたいのあるぞ!」

「ホントだ!ちょうど指の大きさくらいだわ」

「そこの床、上に持ち上げられるんじゃないの〜」

「そうだね!」


 ソラは穴に指を入れ、上に持ち上げた。すると床の下にはボタンがあった。


「仕掛けってこれだよ!」

「早く押さなきゃ!」

「あと一分だよッ!」


 ソラはボタンを押した。


 【ウィーン】


 すると床は動き出し地下へ続く階段が現れた。

「まさか地下があるなんて…」

「スッゴーイ♪この下にリっちゃんいるのかなぁ」

「早く降りわよ!もう時間がない」


 ソラ達は急いで階段を降りていく。




(せっかくここまできたのに!リクト様とデートするんだから!!早く時間過ぎてッ!)




 階段の途中でドアが見えた。


「ドアがある!」

「あの中にリクト様がいるんだな」


 5人はドアの前まで来た。ソラはドアの取っ手を掴み、勢いよくドアを開けた。

    ―――バタンッ


「リっくん見ぃつけ


   【ビーー】


「え!なに!なに!」


「リクト様かくれんぼ終了の合図です」


「あ、そうなんだ」


 数秒の沈黙があった。沈黙を破ったのはアミだった。


「ねぇねぇ、それでかくれんぼはどっちの勝ちなのかなぁ〜」


 リクト達は実質ギリギリの所で見つけられたがソラ達は「見つけた」と最後まで言えていない。


「ふぅ今回は引き分けだね。でしょ?サナちゃん」

「そうね、私も今そう言おうと思ってたわ」


 サナもソラも勝負事には言い訳を言わない。それに今回は引き分けが正しい判決だったのだろう。


「ねぇ、ちょっといい?」

「どうしたのミラ?」

「引き分けだとリクト様とのデートはどうなるの?」

「たしかに。あたしはリっちゃんとデートしたいなぁ〜」

「ひ、引き分けなんだからデートは無しだよ!うん、無効だよ」

「なんだぁ無効かぁ」

「ショック〜」

「リクト様とデート」

「行きたかったです」 サナとソラ以外の4人が落ち込んでいるとサナとソラが口を開いた。


「ほら、もうかくれんぼは終わったんだからいつまでも落ち込んでないで仕事するよ!」

「そうだよ!もう戻るよー」


 ソラは4人を押しやって戻ろうとした。


「わかった、わかった。だから押すなって」

「リクト様も、もう戻りましょ」

「うん。そうだね」


 リクトたちも戻ろうした時、リクトはサナがまだ毛布を持っている事に気がついた。


「あれ、サナ毛布持ってくの?」

「え!あ、いやその洗濯しようと思って」

「そっか。オレが持とうか?」

「いえ、大丈夫です」

「そう?ならいんだけどさ」

「はい」


(洗濯なんかきっとしないだろうな。だってこの毛布はあなたと一緒に使ったモノだから…///)


 これにてリクトとのデートをかけたかくれんぼが終了した。



 ふぅ。久しぶりのかくれんぼ楽しかったなぁ。サナ、少し寒かったから風邪とか大丈夫かなぁ。まぁでもみんな楽しめたみたいだから良かった。

 メイドのみんなもたまには息抜きしないとね。

 お疲れ、みんな。


「やっぱリクト様は優しいですね♪」


「さすがリクト様です♪」


「リクト様、風邪の心配はありません♪」


「リっちゃんの優しいとこ大好き〜☆」


「リク様は最高です♪」


「リっくんは優しさの塊だね♪」


「お前ら〜勝手に人の心を読むんじゃねぇー!!」

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