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第一話:カリカリ朝ご飯

「…朝か。もう少し寝よ」

 コンコン♪

「失礼します。リクト様、朝でごさいます。そろそろお目覚めした方がよろしいかと」

 彼女の名前はミラ。セミロングでカチューシャをしている。


「ん〜まだ眠いよ。もう少しだけ」

「しかしリクト様」

「起きたってする事ないしさぁ」

「そんなぁ私たちメイドを構ってくれても」

「じゃあミラも一緒に寝る?」

「///え///そ、そんな!!」

「冗談だよ。なんか目が覚めたし起きるかー」

「え、あははそうですよね。冗談ですよね」

 最後の方はよく聞き取れなかった。

 体を伸ばしベッドから降りる。ミラに目を向けると下を向いていた。

「どうしたミラ?気分でも悪いのか。だったらわざわざ起こしに来なくていいのに。」

「リクト様は朝起こされるの迷惑なんですか?」

 少し涙目になりながらミラは言ってきた。

「そんなわけないだろ。いつもミラが起こしてくれるから助かってるよ」

「本当ですか?とても嬉しいです」

 ミラの涙を指で拭きながらミラに言う。

「ミラ着替えてから広間に行くから先に行っててくれ。」

「着替えなら手伝いますよ。パンツも取り替えましょう♪」

「うん。先に行ってくれ」

 ミラは少しふてくされながら部屋を出てった。


 やっと自己紹介ができる。オレの名前は倉原リクト。両親はアメリカにいる。家はすごい豪邸で数百人のメイドがいても部屋は埋まらないし、庭も広いし文句なしだね。部屋もだいぶ広いしひとりで使うにはもったいないだろう。金持ちを除けば普通の十六歳だ。メイドたちは全員年上だらけで世話上手だ。少しおせっかいだけど…。



     ◇


「も〜リクト様ったら。着替えくらい手伝わせてくれてもいいのに。でも…」

 リクトのほめ言葉を思い出しながら不気味な笑い方をしながら広間へ向かうと朝食の準備をメイドたちがしていた。

「ミラどこ言ってたんだよ?もしかしてリクト様の所に」

「リクト様の寝顔は最高だったわよ」

「ズリーぞてめぇ」

 ミラと話しているのはルリ。ポニーテールでモデルみたいに足が長い。

「いいじゃない。早いもんがちよ」

「朝の仕事までサボって」

「失礼ね。仕事を終えてから起こしに行ってるにきまってるでしょ」

「はいはい。言い争いはそこまで。早く準備しなさい」

 この人は数百人いるメイドを束ねるサナ。腰まである長い髪と巨乳が特徴。

「だってサナ姉ミラの奴が」

「わかったから。ミラ、リクト様を好きなのはあんただけじゃないの。みんな好きなんだから抜け駆けしないこと。ほら準備するわよ」

 ミラとルリはふてくされながら準備を始めた。


     ◇


「はぁ広すぎだよこの家。広間までどんだけ歩かせるんだよ」

 愚痴をこぼしつつ広間に着いた。大きな扉を開ける。

「おはよう、みんな」

 笑いながらメイドたちに挨拶をする。

広間には長い机がいくつかありメイドたちは自分の席の前にひとりずつ立っていた。わかりやすく言えばハー・ポッターみたいな長い机だと思ったくれればいい。

「「おはようございます。リクト様」」

 メイドたちは声を合わせて言う。

「うん。いつも準備ありがとう。みんなも食べよ」

 オレの言葉にメイドたちは席に着き食べ始める。オレは正面の席に座りその斜め左右にメイドたちは奥まで座っている。

 オレに近ければ近い分だけ位が高いらしい。メイドたちが勝手に決めたらしいが…。

「みんな今日はやけに静かだね。なにかあったのサナ?」

 斜め左すぐにいるサナに聞いてみる。

「はい。今朝ミラがひとりでリクト様を起こしに行ったので皆、嫉妬しているのです。」

「嫉妬?なんで?」

「そ、それは…」

 リクトはすごい鈍感なのだ。

「まぁ朝わざわざ起こしに来なくていいよ。大変でしょ」

「そ、そんなぁ」

 リクトの言葉にミラは立ち上がった。

「だって大変でしょ。それにミラはみんなより早く起きて仕事してるし」

「き、気づいていらしたのですか」

「まぁね」

「リクト様それでは私たちはリクト様の寝顔を―納得がいかないのです」


 サナの言葉に少し疑う部分があったかもしれないがそれは置いといて。


「う〜ん。じゃあ朝起こしに来たい人どれくらいいるの?」

    “ビシッ”

 全員の腕が一斉に上がった。

「ま、まじ!?」

「まじです」

「まぁたしかにみんなに起こされた方がオレも助かるけど…」

「そうですよね♪」

 ミラが目をキラキラさせながら立ち上がった。


「大声だすなよ。下品だぞ」

「下品のあんたに言われたくないわ」

「なんだとッ」

「やめなさい!!二人ともリクト様の前だぞ」


「申し訳ありません。リクト様」

「いいよ。気にしないで。ところでどうする?」

「そうですね。いっそのこと我々が一緒に寝るというのは」

「却下だな!」

「そんなあっさり言わなくても」

「さすがに朝はマズいだろ」

「そんな事ありません。昔はよく一緒に寝たではありませんか」

「小さい時の話だ。結論が出ないから当分は朝起こしに来なくていいよ」

「そんなぁ」

 ミラたちは下を向いてしまった。

「たかが起こしに来るだけでしょ」

 リクトがそう言うとみんな一斉に

「「たかがじゃありません」」

「そっかありがとう。まぁとりあえずご飯食べよ」


 みんな少しカリカリしながら朝食を終えた。

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