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二人で埋め合う欠けた物  作者: ausunoto


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4/5

4話 ・・・私たち・・どっちも欠けてるね



  夏の日の手話サークル

  僕はヘルパーのミレイさんに

  ”女装させられて”ここに居ます





”へぇ ミレイさんに

 こんな かわいい友達が居たのね”


”ヴィヴィちゃんって言うの?

 俺達と遊ぼうよ”





   困惑するヴィヴィ

   誰もヴィヴィの事を

   ヴィダだと気づいていない


 



   女子高生に見えるミレイと差が無い

   本当は40歳を超えた

   おじさんだと言うのに

   年の割に この美貌は

   もはや奇跡


   ヴィダは学校に通えていたら

   女生徒が放っておかなかっただろうと

   

   ヴィダ本人は自分のことを美男だと

   40歳を越えても気づいていない


   それも そのはず


   子供の頃から精神障害者で

   学校にも行けず人と関われなかったため

   誰もヴィダの美貌を評価してくれる人も

   比べる相手も居なかった


   両親に美貌を褒められても


   「親だから

    そう言ってるんでしょ?」と言い張り

    信じようとしなかった


    自分の事を卑下して生きているヴィダには

    むしろ自分を不細工だと思って

    生きている希少なバカ


    どんなに美男に産まれても

    これでは どうしようもない


    ミレイは

    そっとメモ用紙をヴィダに見せ

    書かれた文章を目にした


文章「みんな貴女(貴方?)の事 

   可愛いって言ってるよ

   よかったね

   喋ることができないから

   手話を使ってますって考えたね?」


     声も中性的だから

     声も出しても問題ないだろう


文章「手話で伝えてもよかったんだけど

   ここは手話サークルだからね

   こういうとき不便だよね

   秘密の会話ができなくて」


     突如 現れたヴィヴィの登場により

     手話サークルの皆は

     ヴィヴィを中心に集まって賑わっている


     手話を見られないよう

     皆が見えない後方から

     そっと手話で伝える


ミレイ「皆が

    いつ貴女に気付くか楽しみだね?」



      冗談ではない

      罰ゲームにしては重すぎる

      だが こんなことされても

      関係が続いてるのは

      よほどヴィダがド〇で

      ミレイがド〇なのだろう


      もう

      そうとしか考えられない


ガシェ「へえ

    君がミレイさんの友達?」


      ヴィダに緊張が走る

      1番 ヴィダの事を

      よくわかっている知り合いの

      ガシェに声をかけられた


      ミレイは

      この状況が楽しくて仕方がない

      「いつバレてくれるの?」と

      期待している


      だが

      その期待も裏切られ気づきもしないガシェ

      普通にヴィヴィと手話で談笑している

      悲しそうに がっかりするミレイを

      ヴィダは にらめつけた



手話サークルが終わって


ヴィヴィ「・・・あぶねえ・・よかった

     誰にも気づかれなかった」


ミレイ「・・・」


     ミレイの様子がおかしい

     うつむき息切れして

     苦しそうに手で胸をおさえている


     さすがに気になって

     声をかけたヴィダは

     そのままミレイに押し倒され

     地面に転がる


ヴィヴィ「何しやがる?」


ミレイ「・・・」


ミレイ「・・・ごめん

    貴女(貴方?)が美しいのが悪いのよ

    〇したくて〇したくて

    たまらないじゃない」


      この企画は女装した美しい殿方と

      デートしたいって言う

      ミレイのマニアックな趣味から

      始まったのを思い出した


ミレイ「あそこに休憩できるところが

    あるんだけど」


     一瞬でミレイが何を考えているか

     何をさせられるのかを察知した


     もはや抵抗することも無駄なのかもしれない


ヴィダ「・・・まさか?」


ミレイ「・・・」


     ヴィダを見つめ

     うれしそうに笑みを浮かべ

     艶やかな声で

     「そういうこと♪」と言葉を発した。





  睡眠薬を手に入れるのは簡単だった

  精神障害者で不眠の彼が処方されている薬を

  拝借させてもらいました


  彼の意識を奪いたいなら



       

       盛ればいい




  遠のく意識から

  次に目を覚ましたのは

  ここは 個室だろうか?

  大きなベッドが1つに

  この部屋の作り見覚えがないが

  よく見るような


  ・・・え?


  ・・・裸?・・なぜ裸?

  シーツが1枚 身体にかかっているだけ?


  なぜ こんなことに?


  慌てて起き上がる

  かかってたシーツが落ち

  裸が露わになる


  やはり

  ドラマやアニメで見るような

  ここは ラ〇〇だ!

  ・・・どういう・・こと?


  辺りを見回してみた

  シーツを1枚かぶっているだけの

  裸のミレイが仰向けで寝ている



回想

ミレイ「そこで休憩できるところが

    あるんだけど

    そういうこと♪」


      回想 終了



ヴィダ「・・・」



     ・・・奪われたのか?



・・・僕は・・奪われたのか


彼にとっては重要なことだった

初めてが無意識なのは無念すぎる

まあ まだ体験したのかも不明なのだが

はっきりしてほしい

体験したなら体験したで明確な答えがほしい

わからないままだと もどかしすぎる


・・・でも・・この状況

そういうことなのか!?


「う~ん」と言葉を漏らし

目を覚まし起き上がるミレイ


ミレイ「貴方も起きたの?」


ヴィダ「・・・ぼ・・僕は」


ミレイ「どうしたの?」


ヴィダ「この状況どういうこと!?」


ミレイ「貴方が全裸で仁王立ちしてること?」


慌ててシーツをかぶった!


ミレイ「ヘルパーでお世話してる時に

    もう見慣れてるんだから

    隠さなくても」


ヴィダ「そういう問題ではない!」


なんで

この状況になったのか聞いた


ミレイ「雷雨になって

    雨宿りできる場所が

    ここしかなかったから

    近くに雷が落ちて気絶した貴方を

    運ぶの大変だったなぁ」


・・・そういうことだったのか


ヴィダ「じゃあ なんで裸?」


ミレイ「夏だし暑いじゃん?」


ヴィダ「僕まで裸なのは?」


ミレイ「聞いちゃう?」


本能が これ以上

踏み込まない方がいいと告げた


雷の音が響く


ミレイ「眠れる?」


ヴィダ「この状況で目が覚めた」


ミレイ「眠れない夜って

    どうしてる?」


ヴィダ「深夜アニメを見たくなるかな」


ミレイ「私は こんな夜

    考えちゃうんだ


   

   なんで私は

   愛されないんだろうって



ミレイと出逢った時

自分と同じ物を感じた

普通ではない何かが欠けたような

普通の人には存在して当然のような物を

多分だけどミレイも

僕と同じ

存在して当たり前の物が

どっちにも無い

どっちも欠けている


ヴィダ「どうして そう思うの?」

話の続きを促した


ミレイ「気が付いたら孤児院に居たの

    親の顔も知らない

    家族も存在してるのかも わからない」


たまに悲しそうに何かを

失ってしまった欠けた自分のピースを

求めるように

思い悩んでいたのは

それだったのか


直感的に話を聞いた方が

彼女には良いと判断した

続きを促した

ミレイは自分の過去について

語り始めた



今日から私が貴女の親だって言われて

差し伸べてくれた両手に身を任せた

私のような子供は たくさん居た

ここは身寄りのない子供を引き取って

面倒を見てくれる孤児院


何か月も ここで暮らす内に

里親を名乗っては引き取られていく

子供たちを何度も見て来た


最後の一人を見送って数年

私は まだ孤児院に居た

私は気づいたの





    誰も

    私を見てくれる人が

    居なかったことに





私は誰にも引き取られることは無く

働ける歳を迎える一か月前に

孤児院を脱出した


孤児院の人も

誰を子供にしようか?と

品定めするように選ぶ里親も

誰も私を愛してはくれなかった


そこに泣いて居るのに

誰も見向きもしない


そこに悲しんでいるのに

誰も気にかけない


そこに寂しがっているのに

誰も

存在しないかのように


・・・世界って

・・・優しくないよね



     回想 終了




「まるで

 私の事を愛するなと

 みんな誰かに言われているのかな?

 親くらいは愛してくれたかもしれないけど

 居ない親は私を愛してはくれない


   

    私は愛を知らないの

    感じた事もない


 

ミレイが垣間見せた悲しみ

いつも自分を

イジって遊んで楽しんでいる

ミレイに

そんな悲しみが存在してたとは

微塵も思わなかった


ヴィダ「なぜ 話してくれたの?」


ミレイ「眠れない夜だからかな?」


話したくなるような

自分に心を許してくれた何かが

あったのだろうかと思ったが

気まぐれだったのだろうか?

そう思うと悲しくなってきた


ミレイ「貴方は誰かに愛されたことはある?」


ヴィダ「両親は僕を愛してくれた」


ミレイ「うらやましいな」


遠くを見つめるように言う


ミレイ「貴方は普通を知らない

    私は愛を知らない



    私たち

    どっちも欠けてるね?



気づいたら

ミレイの頬をつたう涙


なんて言ってあげたらいい?

必死に探した

常に正解を選べるような

恋愛物の主人公のように

答えを見つけたかった

でも そんな存在になれはしない

自分は

普通を知らない人間

精神障害を理由に

何十年も人と関われなかった僕が

ミレイの心を救えるような

正解の言葉をかけられるわけがない


ミレイ「気を使わないでいいよ?

    常に正解を選べる

    恋愛物の主人公じゃないんだからさ?」


思ってたことを そのまま当てられた

どっちも趣味は恋愛物のアニメだった


ミレイ「今日はありがとうね

    貴方の事を嘲笑いながら

    過ごすことができたし」


女装をさせられて

1日 ミレイと過ごしたのを思い出す


ミレイ「誰も貴方を女としか見てなかったね

    明日もやってみようか?」


ヴィダ「・・・もう・・勘弁してくれ」


ミレイ「なんだ つまらないの」


物思いに浸る

ミレイ「(なんで こんな過去を

    貴方に打ち明けたのだろう?)」




女装 二日目になったのだろうか?

着の身着のままでホテルに泊まったから

この服(女ものの服)しかない


ミレイ「どこに行こうか~?」


昨夜の涙はなんだったのだろうか?

とても楽しそうに笑みをうかべている


ミレイ「昨夜

    貴方が裸で寝てた理由を

    申し上げますと


   

       とても

       お好みな味でした~♪



ミレイに必死に問い詰める!


ヴィダ「奪われたのか!?

   僕は奪われたのか!?」


ミレイ「さあ?

    どっちだったら うれしい?」


・・・いつものイジりが始まった

冗談とも本気ともとれる笑顔

あのとき

気を失ったのが悔やまれる


ミレイ「さあ 女装して

    街遊び二日目 行こっか?」


・・・本当に昨夜の涙は

なんだった?





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