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まだ光があるならば  作者: ライの執筆部屋
第1章 狂った世界の狂った生存者
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終わりを待つ街

「何故だ?何がどうなってる?」


視界に映るのは今にも崩れそうなビル。完全に崩れ、炎がくすぶっている民家。そして、瓦礫の山。人の気配などしない。少なくとも、俺の想像していたような状態とはかけ離れている。いや、そもそもドアの先が外であること自体想定していなかったが。最近のトレンドはこんなふうに玄関のない家なのか?


「にしても何故こうなっている?大災害でも起こったのか?」


周りを見渡す限り瓦礫の山だ。ふと後ろを振り返ると、


「ああ、なるほど、どうやらここは元々玄関じゃなかったのか。」


どうやら奇跡的に俺の眠っていた部屋は無事だったようだが、丁度部屋から先はほぼ灰になっているようだ。廊下や部屋の面影が残ってるし、暖炉がなんとか形がわかる程度に残っている。どうやら流石にこんな悪趣味なトレンドが流行っているわけではないらしい。いや、もしかしたら神が無理やり流行らせてるのかもしれないが。


「そうだ、ここの家主はまだ生きてるかもしれない。」


俺はすぐに灰だか瓦礫だかわからないものをどけて必死で探し始めた。どうやら俺が元自衛官なのは本当だろう。常人がこんな瓦礫を1人で持ち上げられるとは思えない。火が広がる前に探し出さなければ、たとえ生きていたとしても2人仲良く丸焼きになってしまう。


「一体いつからこんな惨状になってたんだ?少なくとも一度目が覚めた時には家主はいたはずだ。おそらく俺がもう一度倒れてから起きるまでの間だろう?そんなに長くないはずだ。それとも俺はそれほど長い時間寝ていたのか?」


段々と疲労が溜まってきた。火の手も近づいてきている。このままじゃ丸焦げになってしまう。流石に少し厳しいかもしれない。諦めかけた時、奥の瓦礫の山から小さな物音がした。物音は一定の間隔でなっているように聞こえる。


「! 生存者か! 今助ける、音を鳴らし続けてくれ。」


これほどまでに自分の感覚を褒めたいと思うことは今後ないだろう。俺は瓦礫の山を掻き分け急いで走り出す。急がないと本当に焦げるで済むなら葬式できるが灰になっちまう。灰に別れを告げられるのはいくらなんでもひどすぎるし、もはや面影なんか何にもない。最初から火葬されてる葬式なんて俺は嫌だ。


「ここか!今助けるからな!待ってろよ!」


俺はすぐに瓦礫の山を掻き分ける。重い。重すぎる。俺が持ち上げることもできないような瓦礫の山だ。どうやら神はさらに俺を苦しめる気なのかもしれない。神ってのはどこまで行っても悪趣味だ。


「なんでここはよりによって鉄骨だらけなんだよ!」


どうにか一つ鉄骨をどかしたが、とても姿なんてなく見える限りは鉄骨の山だ。いくら自衛官といえど1人で巨大な鉄骨を何個もどかすのは無理がある。重機とは言わず、せめてもう1人でもいいから人が欲しい。流石に自分の体まで壊れちまう。何かないかと周りを見渡す。お!あれは


「! ショベルカーじゃないか。どうやら運が味方してきたようだ。」


どうやら神は罵倒されるのは好みではないらしい。なんにせよ、これなら助けられるかもしれない。すぐにショベルカーに飛び乗った。しかし動かし方がわからない。というかそもそもとして、鍵がないようだ。エンジンをかけるレバーが全く持って動かない。


「やっぱり神は俺を苦しめるのが好きなのか!?それともこの埋まってる生存者が嫌なのか?」


とにかく、使えないならばもう仕方がない。こうなってしまっては記憶を失う前の俺が磨いた肉体を信じるしかない。俺は再び鉄骨を動かし始めた。


「やっぱり重すぎる!無理だ!どうにかショベルカーを使うしかない」


俺はすぐに近くの家の焼け跡に飛び込んだ。もしかしたら奇跡で鍵が見つかるかもしれない。焼け跡を漁って鍵を探すがとても見つかりそうもない。


「なんか鍵はないのか?そうだ、確かあの部屋のドアの横に鍵が2個かけられていたはずだ!」


もし神が適度に試練を与えるタイプのやつならこういう時は味方を助け出すのを許してくれるはずだ。俺は急いで走り出した。とにかく急いで瓦礫を掻き分けて進む。しかしどうやら気づくのが一歩遅かったのかもしれない。どうやらあの部屋は燃えていないようだが、火の手が俺の行く手を完全に阻んだ。


「あーあ こりゃまずい。」


四方八方塞がれているようだ。どうやらこの炎は相当なやり手だな。まさに包囲されてしまった。


「だが見誤ったな。自衛隊の服、それもパイロットのならば防火性能は当たり前なんだぜ。少なくとも1500℃はあるジェットエンジンの炎に多少耐えられるレベルでな。」


俺はキットからあまり多いとはいえない水を取り出し、迷うことなく蓋を開けて頭から水を被った。もったいないが、今は緊急事態だ。人命第一。おそらく自衛隊にいる頃もそう習っただろう。俺は迷うことなく炎の中に飛び込んだ。火の手が身体中を包んでくる。しかし皮膚が燃える前にどうにか炎の壁を越えることができた。直ぐに鍵を取って再び火に飛び込む


「ッ、熱い」


1回目の突破でどうやら水は大半が蒸発してしまったらしい。どうにか突破はしたが左手を火傷したようだ。しかし止まるわけにはいかない。すぐにショベルカーに乗って鍵を挿す。ハズレだ。ならばもう片方を直ぐに挿す。鍵穴は綺麗に回り、エンジン音が炎の燃え盛る音に対抗するように轟いた。動いた!


「・・・で、どのレバーで動くんだ?」


完全に大事なことを忘れていた。操作方法がわからくては意味がない。とにかく適当なレバーを動かしてみる。


「おーおおお、アームが伸びた、じゃあこの左のレバーは?ああーあ回り始めた。どうやって前に進むんだよこれ。アクセルとかないのか?」


俺は足元をみた。ペダルあるやん。どっちがアクセルだ?俺は右のペダルを踏んだ。なぜか右キャタピラが片方だけ動き始めた


「おいこれじゃあ回るだけじゃねえか。じゃあ左のペダルは?」


左のペダルを踏むと左のキャタピラだけが動いた。どうやら動かすには両足で踏めばいいのか?両足でペダルを踏むと、ショベルカーは前に進み始めた。


「動いた!とにかくこれでさっきの瓦礫のところに戻るぞ。」


どうにか動き出したショベルカーは、どうも調子はあまり良くないようだ。あまりにも速度が遅い。それでもどうにか先ほどの瓦礫のところまで戻ってきた。俺はとにかく直感でレバーを動かしまくった。流石は重機といったところで、鉄骨をあれよあれよという間にどかしていった。しかしいくらどかしても姿が見えてこない。


「生きてますか!反応してください!どこら辺にいますか?」


すると、瓦礫の下から黒い生き物が這い出てきた。その生き物は俺に向かって飛びついてくる。銃を抜く間もなく飛びかかられた。(まずい・・やられる!)

その生物は俺に飛びかかると、抱きついて荒い息で一言


「ワン!」

と言った。


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