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いぐのーぶる  作者: 紫雨
プロローグ
1/4

File.0 オマエ、アナタ、キミ、you、ワタシ

えぇ。そこの君だよ、そこの君。



ちょっと考えてみてはくれんかね。



空を飛んで、ビームを放ち、大型トラックをも持ちあげる。


――そんなスーパーヒーローになったら、君はどうする?



呪文を唱え、奇怪な力を繰り出し、人を魅了する。


――そんな魔法使いになったら君はどうする?



皆こう答えるのさ。やれ、悪を倒すだの、みんなを守るだの。




じゃァ、ここに、透明になれる薬がある。君はコレを飲んでナニをする?



……何だい?さっきまでとはうってかわって、随分悩むじゃないか?


まぁ、いいのさ。じゃ、ちょっと問いの趣向を変えよう。



……金と欲望と権力に塗れた世界で、人智を超えた力を持った人間はどうなると思う?



残念ながら、今この社会に、みんなを脅かす悪魔も化け物もいないのさ。


せっかくの力もみんなのために使えないんじゃァ、宝の持ち腐れかい?


あァ、私の力を発揮できるようなみんなの敵が現れてくれたらなァ、って嘆くかい?


そんな社会の癌細胞が都合よくいりゃぁ、大層いいご身分ってか?


まぁ、そんなもの今の世の中にゃいないのものねぇ。


はぁ~ァ。つまんないの。





……………あれぇ?こりゃ失礼。ソコにあるじゃァないか。癌細胞。



力を持った欲望の権化(ブタ)がソコに。




……まァ、少しお話でもしようじゃァないか。


人智を超えた力をカミサマからもらい受けて、僕がみんなを守る、と息巻いていた青年がいたのさ。


あァ。大いに高尚(ノーブル)な願いじゃァないか。


ソイツは数年後どうなったと思う?


こいつァ傑作よ。




――欲望に喰われちまったのさ。


貰いもんの力を盾に、豪邸に住み、絢爛(けんらん)絨毯(じゅうたん)の上で暴飲暴食、屈服させた女共を侍らせ抱き放題。


最期にゃ女に寝首掻かれて死んじまった!



何でだろうなァ、せっかくカミサマに力を貰ったやつらは、揃いも揃って(くず)ばっかりさ。


残念なことに、大いなるチカラを前にすりゃ、人の子、誰も逆らえない。そんな訳で、クズどもは今でもうじゃうじゃ蔓延(はびこ)ってやがる。



――人智を超えた力。うちじゃァ「ギフト」って呼んでる。



君が除去すべき社会の癌は、その受け取り手。いわば「神の子(ギフテット)」共さ。




分かったかい?実験体α(アルファ)君?




この暗い研究所を飛び出して、屑ども渦巻く外界に飛び出る準備はいいかい?



……まァ、どうせすぐ之までの記憶はリセットされるんだ。


最後に一つくらい望みを聞いてやってもいい。


って、喋れなかったか。ごめんごめん。すぐ外すからさ。



「……鎖を解け」



あら、今にも噛みついてきそうじゃァないか。そんな鋭い目でご主人様(マスター)を見つめるんじゃァないよ。


ほぅら、ワタシの集大成ちゃん。仕事の時間さ。


劇薬(とっておき)を注ぎ込んであげようじゃァないか。


……あァ、食べちゃいたいくらいに濁った眼。


早くワタシに見せておくれよ。




一体全体キミに渦巻く欲望は、どんな色をしてゐる?









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