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書籍化作品

【コミカライズ】ヒロインに転生したので、なんでも欲しがる妹に徹します

作者: 富士とまと

さくっとな

■ミュリアーズ■


「やっぱり、ミュリは、そっちがいい!」

 紫がかったプラチナブロンドに菫色の瞳を持つ美しい14歳の少女の名はフランソワーズ。

 皇太子の婚約者である公爵令嬢。

 フランソワーズの異母妹は、ピンクブロンドの髪に虹色に輝く瞳。13歳になるミュリアーズ。

 なんでも欲しがる妹……という役割のヒロインポジションの少女である。

 うん、それ私ね。

 悪役令嬢に転生しちゃった!はよく見てきたけど……まさか、悪役令嬢を冤罪で陥れ、その後断罪されるヒロインに転生しちゃうとか!想像の斜め上!

 ぶっちゃけ断罪されたくない!と、思ったこともあったけどね。

 転生に気が付いたのは、、悪役令嬢である異母姉のお母様が亡くなって1年後に、お母様がお父様と結婚した時のこと。

 私は5歳、お姉様が6歳の時。

「うわっ!あの小説の舞台だここ!」とお姉様を見て前世の記憶がどっと頭に推し押せてきた。

 まぁつまり、あれから8年が経つんだけどね。その8年の間にこの世界のことをいろいろ調べた。

 ほら、私、断罪される予定じゃない?確か修道院送りになるのよ。で、修道院送りなんて絶望的だって……悲観するヒロインに「ざまぁ!」って終わるんだけど。

 そんなに修道院って恐ろしいところなのか?って思うじゃん。

「もう、ドレスは着られないのよ!」ってお母様が言う。

 はぁ、ドレスなんてむしろコルセットつけたりめんどくない?

「宝石も一切身につけられないわ!」ってお母様が言う。

 はぁ、無くしたらどうしようってびくびくしなくて済むってことでしょ?

「お菓子は食べられなくなるんですわね」と、侍女が言った。

 それは厳しい!と思ったけど、この世界のお菓子って甘いだけで美味しくないんだよね。甘い果物の方がおいしい。

「身の回りのことはすべて自分でしなければならなくなります」と、別の侍女が言った。

 かなり不便にはなる。水汲みとかはきついだろうなぁと。でも料理していいの?だったら、好きなもの作って食べられるよね?砂糖も使えるなら、自分でもっとおいしいお菓子作って食べるよ?

「それに、毎日働かなくてはなりませんよ。それは辛い仕事です」と、お母様が青ざめた。

 青ざめるほど辛い仕事?

 修道院が貴族たちの娼館にように利用されるという話を昔読んだことを思い出す。それは嫌かも。

「1日8時間も座って仕事をしなければならないのよ!」

 ……普通、ですね?デスクワーク8時間って……。

「それも、退屈な書写を延々と続けるのよ!文字ばかり見ていたらおかしくなりそう!」

 な、なんと!

 この世界の本は高価なのは、印刷技術も魔法でコピーとかいう方法もなくて1冊ずつ書き写すからなんだけど。

 まさか、その仕事が修道院の修道女たちが行っていると?

 確かに、文字の読み書きができる人が少ない世界だし、元貴族な人たちに与える仕事としてはベストなのかも。

 でも、でもよ、文字を書き写すって、それって……。1日中読書しててもいいってのと同義となのでは?

 大丈夫、私、同じ本を暗記するまで繰り返し読んでも楽しめる人だもん。いわゆる活字中毒。辞書だろうが電話長だろうが食品の成分表示だろうが文字であればひたすら読み続けちゃうタイプの。つまり、同じ文章を何度書き写させられても平気。

 ずっと何らかの文を眺めていられるなんて……。

 修道院最高!

 1日8時間と言わず、もっと長い時間働いても問題ないわ!

 だって、宰相のお父様だって12時間くらい書類見続けたりしてるもの。うらやましすぎる。

 私もお父様のように仕事したい、文官になれば書類をずっと見て居られていいなぁと思った。けど、女性文官はいないんだって。ちぇ。

 嫁に行き家を支えるのが女の仕事。子供を産み育てるのが女の仕事。

 昭和かよ!……いや、大正かよ?明治?え、江戸?

 そんな時代に、大手を振って、結婚しなくていい、子供産まなくても責められない、しかも仕事という名の文字とにらめっこの幸せな時間を送れる立場があったとは!

 ビバッ修道女!


 てなわけで、現在。

 お姉様に水色のドレス、私にピンクのドレスが贈られた直後の話である。

「ミュリも、お姉様のドレスがいい!」

 ワタクシ、我儘を言っております。

「だけれど、ドレスを注文するときにミュリがピンクを選んだんでしょう?」

 お姉様が困った顔をする。

「だって、出来上がったの見たら、お姉様のドレスの方が素敵なんだものっ!だから、やっぱりミュリそっちがいいっ!」

 涙よ出てこい、出てこい、涙!

 瞬きを我慢して目を見開くこと数秒。目が乾きちょっぴりヒリヒリすると次に涙が溢れてくる。よっしゃ!ここで瞬きすれば立派なウソ泣き完成!

 ポロリと涙がほほを伝ったところで、お母様に泣きつく。

「お母様、ミュリも、水色のドレスがいいの。だって、ミュリのドレスはいつもピンクでしょう?だから、他の色も欲しい」

 ほら、きっとお姉様は「だったら注文するときに別の色にすればいいのに」と思っているはずだわ。

「フランソワーズ、ミュリとドレスを交換してあげなさい」

 お母様がお姉様に命じた。

 よしよし。これで一つ、修道院行きに近づいた。

 さぁ、お姉様悲しそうな顔をするといいわ。私は、それを見て、にやりと笑えばいいのね。

 お姉様を見ると、にこりと笑った。

「ありがとうミュリ!」

 ぎゅっと抱きしめられる。

 え?待って、ナニコレ。

 このまま私、絞殺されるの?

「私、一度でいいからピンクのドレスが着てみたかったのよ!」

 え?ちょ、どゆこと?

「だけどあのデザイナーったら、私にはピンクは似合わないでしょうって言わんばかりに、遠回しに違う色ばかり勧めるし……」

 確かにデザイナーは、お姉様の美しさを引き立てるにはとかこちらの方がお似合いですとか、絶対ピンクは選ばせなかったけど……。お姉様もにこやかに微笑みながら、そうかしら?って言いながら仕上がったドレスをいつも素敵に着こなしていたから全然気が付かなかった。

「ミュリは気が付いていたんでしょう?」

 いや、ちっとも気が付かなかったけど。

 フルフルと首を横に振る。

 感謝されちゃダメなのよっ!

「だから、ピンクのドレスを私に譲れるようにすぐに成長するから大きく作ってなんて言ったのよね?」

 ガクブル。誤解されてる。

 私、絶対にいい子だと思われたらだめなの!断罪してもらわないと!修道院に行くんだ!

「ち、違うわよ!本当にすぐに胸もお尻も大きくなって、セクシーになるんだからっ!」

 あ。チャンスだ。この流れ……!

「ひどいわ。お姉様は私がちんちくりんだって言いたいのね!また私をそう言っていじめるんだわ!」

 よしよし。被害妄想なヒロイン爆誕!

「ち、違うわ、ミュリアーズ」

「ひどい、お姉様ひどい……わぁーん」

 逃げろ!このまま自分の部屋に駆け込みベッドにダイブ。布団をひっかぶる。

 思わずニヤニヤしちゃう。

 うん、途中危なかったけど、完璧に我儘で思い込みが激しく被害妄想なヒロインになれた。

 よしよし。これでまた一歩修道院が近づいたわ。


■■フランソワーズ■■

 お母様が亡くなったのは5歳の時。

 正直、政略結婚で好きでもない相手と無理やり結婚させられた。私は不幸だ。かわいそうな私は贅沢する権利がある。父親に似た私の顔は見たくもない……という人だったので、年に数回顔を合わせるだけの他人でしかなかった。

 母親ですと言われても、乳母や侍女よりも見慣れない怖い人という印象しかない。

 後で知ったが、若い男性の家で薬に溺れて亡くなったらしい。あの人らしい最後だなぁと子供心に思ったものだ。

 私は冷たいだろうか?

 母の喪が明けると、お父様は再婚した。

 優しいお義母様ができたのだ!それからとてもかわいい妹も。

 ふわふわの髪の毛で口の周りを真っ赤にしてイチゴを食べる姿に心臓を打ち抜かれた。

 かわいすぎる。

「お姉様ばかりずるい」

 というのが口癖だ。

 ……私はそう言われても仕方がないのだろう。お義母様は私を実の娘のようにかわいがってくれるのだ。

 今まで独り占めしていたお義母様を、私が半分奪ってしまったようなものだ。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 いつかは「お姉様大好き」と言ってもらいたい。

 ……とは思うものの、妹のミュリアーズが私のことを嫌っていないことは知っている。

「お姉様ばかりずるい!」

 と言いながら、今日も私の後ろをちょこちょこついてくるのだ。

「私も欲しい!」

「私もやりたい!」

「私も行く!」

 勉強しようと本を開けば、自分も本を読むのだと小さな体で大きな本を抱きかかえる。

 文字を書く練習を始めれば、ペンと紙を欲しがり隣でつたない手つきで文字を書き始める。

 かわいい。かわいくて仕方がない!

 素直になれない所もかわいい。

 素直じゃないけど、すごく優しいことも知ってる。

「私、それが欲しい」

 と、私が持っている宝石を欲しがることがある。

 でも「母親の形見のブローチ」だけは決して欲しがらない。

 特に思い入れもないからあげても構わないのに。

「母親の形見」は大切なもののはずだと思っているのだろう。

 また、ある時はぬいぐるみを欲しがった。

「お姉様ちょうだいっ!これ、私にちょうだい!」

 と、ぬいぐるみの手を引っ張る。

 なんだかその必死な様子がかわいくて、不細工な熊のぬいぐるみをあげてもよかったんだけど、ついついもう片方のぬいぐるみの手を持って引っ張り合いのような状態になってしまった。

 そうしたら、ぬいぐるみの手がちぎれちゃったのよね。

 ショックを受けた顔をしたかわいいミュリ。

「そんなに欲しいなら、あげるわ……大切にしてね」

 意地悪せずにすぐにあげればよかった……と反省して落ち込みながら、熊のぬいぐるみをミュリに手渡した。

 取れてしまった手は、侍女が直してくれるだろうと思って。

「お姉様、やっぱりいらないわ!こんなぶさいくな熊っ!」

 と、ミュリが熊のぬいぐるみを私に渡してきたのは次の日だ。

 取れた手が縫われている。ずいぶんと、汚い縫い目で。

 ふいっと下を向いて部屋を出ていくミュリの姿を見ていると、侍女がそっと教えてくれた。

「ミュリアーズ様が泣きながら縫ったんですよ」

 もう一度汚い縫い目に視線を落とす。

「なんて、かわいいの!」

 ぎゅっとぶさいくな熊のぬいぐるみを抱きしめる。

 ミュリが私のために一生懸命なれない手つきで縫物をしてくれたなんて!

 このぬいぐるみは宝物にするわ!


■ミュリアーズ■


 どうも。なんでも欲しがる我儘ヒロインミュリアーズです。

 今日の作戦は、お姉様の婚約者である皇太子殿下に急接近です!

 ふふふ。

 前世でたくさん小説を読んで学習済。

 公爵家に尋ねてきた皇太子殿下に先に会って仲睦まじいく話す姿をお姉様に見せつける!

 普段よりも皇太子殿下には笑顔になってもらう。

 うーん、笑顔かぁ。笑顔、どう笑ってもらえばいいのかな?

 窓から外を見ていると、王家の紋章入りの馬車が門をくぐるのが見えた。

「来た!」

 お姉様より先に会わないといけない。

 って、お姉様より先にどうやって会うの?

 さ、先に行けば何とかなる。うん、何とかなるっ。

 部屋を出て廊下を走る。

 どんっ。

 いてっ!ぶつかった。人にぶつかった!

「あら、ミュリアーズ大丈夫?」

 ぶつかってしりもちついた。痛い。

 お姉様が心配そうな顔で私を見ている。

「廊下を走っては危ないわよ」

「大丈夫よ!と、とつ、突然部屋から出てきたお姉様が悪いのよっ!私は、少し急いで廊下を歩いていただけで走ってなんかないもの!お姉様が……」

 うっ。お尻が痛くて涙が出てきた。

「あらあら、大丈夫?立てる?私が悪かったわ。ミュリアーズごめんなさいね」

 お姉様が優しく私を立ち上がらせてくれる。

「痛い?」

「いっ、痛くないもんっ」

 本当はめちゃくちゃ痛いけど。

「フランソワーズお嬢様、殿下がおみえになりました」

「あら?そう、少し待っていてもらって。ミュリアーズが怪我をしてしまったみたいなの」

 はっ。この手があったか。

「お姉様のせいで足をひねったわ!すぐにシップをお姉様持ってきて!お姉様のせいなんだから、お姉様が持ってきてくれなくちゃだめよ?」

 これで時間が稼げる。

「大丈夫?足?右かしら、左かしら?すぐにシップを持ってくるわね」

 お姉様が速足で廊下の向こうに歩いていくのを見届けてから、ダッシュ!

「あ、ミュリアーズお嬢様、走っては傷めた足が悪くなりますっ」

 侍女よ、すまん。足は全然痛くない。痛いのはお尻だ。

 っていうか、我儘ヒロイン作戦のためには時には犠牲も必要。私のお尻よ、痛みをこらえておくれ。

 殿下が通されている部屋のドアをノックする。

「どうぞ」

 ふふふ、入室成功!

「おや、君は……」

「はじめまして殿下。私、公爵家次女のミュリアーズですわ。いつも姉がお世話になっております。今日は少々姉が遅れてくるので私がその間、お相手いたしますわ」

 こんな感じでいいだろうか。

 なにぶん、悪役令嬢視点の物語ではヒロインと王子の会話の内容までは詳しく書かれていない。

 仲良く笑いながら会話してる様子を見てショックを受けるとかその程度のシーンなのだ。

 何を話せばいいのか。

「やぁ、君がミュリアーズか。会いたかったよ」

 ぬ?

 会いたかった?もしかして、物語の強制力が働いている?

 え?どうしよう、私、別に殿下を巻き込んで断罪されるつもりはないんだけど……!

 私が修道院にさえいければ……あれ?えっと、どうせなら私みたいに、修道院に行って修道士になりたい!っていう人を巻き込むべきよね?

 皇太子殿下だけでなくて……ん、誰かいる?っていうか、その人を巻き込んで私が断罪される方法?

 え?分からないんだけど……。

「フランソワーズからよく噂を聞いているからね」

 ん?お姉様から噂を聞いているから会いたかったってことは、興味の対象は、お姉様が話をしている私ってことで。

 殿下はお姉様が好きってことよね?

 って、待って、待って!噂って何?

 まさか、私がお姉様のものをなんでも欲しがるということを、告げ口されている?

 だったら、私はすでに悪印象……ここからどうやって殿下を虜にして冤罪をお姉様に吹っ掛けて、そのあと私が断罪されればいいのかしら?

 ……?

「どうかした?」

 殿下が首をかしげる。

 この顔は、私を憎んでいる感じではない。はっ!お姉様も妹の悪口を言えば印象が悪くなるのだから告げ口なんてしてないのでは?

 コンコンとノックの音が聞こえる。

 やばい!お姉様がもう来ちゃったんだわ!

 仲良さげに楽しそうにお話しているのを見せつけないと。

 殿下を笑顔にしないといけないんだった。

「フランソワーズです。失礼いたします」

 お姉様がドアを開いた。

 笑顔をさせる、笑顔に。

「で、殿下!布団がふっとんだ!」

 殿下が私の言葉に目を見開き、ぷはっと楽しそうに笑った。

「あら?楽しそうですわね」

 お姉様の言葉が背後から聞こえる。

 よし、お姉様は私の言葉で笑った殿下を見た。

「お姉様の代わりに私が殿下のお相手をしていたのですわ!」

 殿下がまだ笑っている。

「私といると殿下は楽しくて笑ってしまうようですの!」

 勝ち誇ったような顔をすると、お姉様がむっとした顔を見せる。

「殿下ずるいですわ。一体私の大切なミュリアーズとどのようなお話をしていたのかお聞かせ願えますか?」

 あれ?

 私に怒らずに殿下に怒ってる?

 一体どういうこと?

「ああ、それはね」

 殿下がまだ肩を震わせながら私を見た。

「な、内緒ですわ殿下!お姉様には内緒、二人だけの秘密ですわ!」

 殿下がうんと頷く。

「分かったよ。……と、いうわけだ。フランソワーズとはいえ、教えるわけにはいかないな」

 よし。

 お姉様の婚約者と二人だけの秘密を持った。

 ふへへへっ!

 我ながらよくやった。うん。また一歩修道院への道が開けたわ!

 るんるん気分で部屋を出ていく。



■■フランソワーズ■■


「殿下、そんなに笑って……いったい、ミュリアーズと何をお話になったの?」

「いくらフランソワーズの頼みでも、秘密にすると約束したからね」

 声を立てて笑う殿下の姿など、初めて見た。

「しかし……君の言う通り、本当に型破りでかわいい子だな」

 妹を褒められて、思わず笑顔になる。

「でしょう。でも、あげませんわよ!ミュリは私の大切な妹だもの!皇太子妃なんて苦労を背負わせたくはないわ!」

「もし、彼女が皇太子妃になりたいと言ったらどうする?」

 殿下の質問に即答する。

「殿下のような腹黒狸に大切なミュリは渡しません!私が全力で守ります!どんな手を使ってでも!」

「くっくっく。僕はそんな妹思いの君が大好きだよ。他の人を妃にするつもりなんてないから安心して」

 殿下が私の頬に口づけする。

「もうっ!私は本当は殿下の妃になど望んでないって知ってますよね!ミュリを妃にしないために仕方なく……。できれば、私とミュリ以外の者を妃にしてくれません?今ならまだ、侯爵令嬢も伯爵令嬢も婚約者のいない子がたくさんいますわよ?ほら、真実の愛とやらに目覚めてはいかがですか?」

 はぁと殿下が大きなため息をついた。

「僕が嫌いなの?」

「いえ。王室に入ると、ミュリにめったにあえなくなるではありませんか」

 殿下が頭を抱えた。

「んー、そうだ!」

 ぽんっと殿下が手を叩く。

「側室の子がいるんだよ。これがまぁ、誰に似たのか、面倒見がいいのはいいんだが、少々真面目過ぎて心配になるくらいなんだが……。今12歳。ミュリアーズにちょうどいいと思わないか?」

「え?」

「第二王子妃ともなれば、妃教育も一緒に受けられるぞ?結婚してからも王宮で毎日会えるぞ?」

 なんと素晴らしい提案なのでしょう!

「殿下!私、初めて殿下が素敵に見えましたわ!」

「……あー、いや、喜んでいいのか……?」

「喜んでいいに決まっています!殿下にも、かわいい義妹ができるんですもの!ああ、素敵!なんて素敵な未来!殿下、根回しいたしましょうね!殿下の腹黒さが役立つ時が来ましたわ!」

 殿下が複雑な顔をした。



■ミュリアーズ■


 数年後。


 どこで、どうして間違った?!



楽しくかけました。

エピソードどんどん思い浮かぶよ。空回りヒロイン大好きだわww


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― 新着の感想 ―
シリーズ化で読んでみたいです(о´∀`о)
[一言] まあ、王城なら本も沢山有るだろうし書類仕事も沢山有るんだろうし珍しいお菓子とかも食べれるんでは?w
[良い点] これって、お姉様が王太子妃になり、弟が公爵家の婿養子に入りハッピーエンド? [一言] ハッピーエンド万歳
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