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第三章 言い訳
「雨谷...違う...」
「違わないだろ...今...目の前で...」
違わなかった。僕は確かにヘリオさんを殺した。そしてそこを見られた。雨谷が思うこととすれば、安易に想像がつく。
「雨谷、トラちゃんとヘリオさんは、2人は人狼なんだ。」
「人狼?」
怯えていた声が、突然強くなる。
「人狼なんて信じられるはずがないだろ!何故人狼だとわかる!?その証拠は?どこで見た?何故知った!?たいした確証も無しに!本人に聞くことも無しに!後ろから襲ったのか!?
十分な理由無く人間を殺す!そんなお前こそ!人狼と呼ばれる"それ"じゃないか!腹を満たすためだけに人間の命を奪う人狼と!小さな確証で人間の命を奪うあつが!
一体何の違いがあるって言うんだ!」
僕は言い返せなかった。その圧に負けているうちに、雨谷は自我を取り戻したかのように、走り去っていった。雨谷からしたら、僕が殺しにこないとも限らない。当然の反応だ。
僕は雨谷にああまで言われたが、トラちゃんのことを殺しに行く気は失せていない。
雨谷の声を聞いてトラふぁるが付近に来ている今こそ、殺るチャンスなんだ。