表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Battle Galaxy FullーDive  作者: ネムノキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/36

第一回イベント前哨戦……の前哨戦1

 『JP1船団』は、BGFD初のイベント『アギタリア星系争奪戦』に向けた()()()でてんやわんやしていた。

『この調子で二週間後のイベントまで保つのか?』

 ゲーム内外を問わず、掲示板ではそんな話がなされるほど、忙しかった。


 ジャンク部品ショップ『オウルズヤード』の店主な私はというと。

「エネミージャンク多すぎ!」

 次から次へとやってくるエネミージャンクの処理に悲鳴を上げていた。


 元からあったジャンク倉庫二、ガレージ一,五、ジャンク部品展示場〇,五に。貯めた貢献度を使って、エネミージャンク倉庫二、ガレージ二,五、エネミージャンク部品展示場〇,五を増やした。

 出入口から見て、奥に長い長方形の室内に。真ん中を貫通するようにガレージがあり。その右奥をジャンク倉庫が。左奥をエネミージャンク倉庫が。手前の右脇にジャンク展示場が、左脇にエネミージャンク展示場がある形だ。


 エネミージャンクの修理に必要となる機材も、一通りちゃんと購入して、稼働させているのだけれど。軍属NPC(ソルジャー)民間人NPC(ワーカー)を雇えるようになる条件を満たしていないので、残念なことに未だボッチのガレージ作業生活だ。

 それでもやれているのは。

「どれだけ『エネミージャンクの装甲』人気なの!?」

 オウルズヤードに、お客さんが要求するジャンク部品が、エネミージャンクの装甲一色だからだろう。

「いやね、普通のジャンク品は『リックスショップ』さんと『中古屋レミュエル』さんに任せたから大丈夫だけど。

 ステーション・ワン含めて、エネミージャンクを扱えるのが私だけなのはキッツイなあ」


 これまで、船団側にエネミー由来の品を取り扱う部門は、そんなになかった。せいぜい、ステーション・ワンの一角の『エネミー研究部』で研究が行われている程度だ。

 そんな中に、ジャンク部品とはいえ、エネミー由来の品を扱えるお店が現れたものだから、プレイヤー(キャスタニカ)だけでなくソルジャーも大興奮。エネミージャンク部品をキャスタニカだけではなくソルジャーも買っていくせいで、ここがフルダイブゲームでなければ倒れていたであろうほど忙しかった。


「ゲームでこんなに忙しくなるなんて思わなかったよ……」

 それでも、私はこのゲームをすごく気に入っていて。楽しいからやるけれど。この感覚を楽しめない人からすると『クソゲー』になるのだろう。

「ま、こんなに楽しいことはないから遊ぶんだけ……」

 作業をしながら一人言を言っている最中に、プルルルルル、とフレンドコールが鳴った。

「ん? マサトミから?」

 何の用だろう、と思いつつ、作業を中断してコールに出る。

「もしもしマサトミ?」

『オウルか。今時間あるか?』

「大丈夫だよ」

『なら良かった。実は相談なんだがな』

 マサトミはワンテンポ置いてから、とんでもないことを言い出した。

『私の船『アサギリ』にエネミーの兵器を乗せたいのだが、出来るか?』

「……はい?」

 思いもしなかった言葉に、私は素っ頓狂な声を上げる。

『実はコルベット級エネミーを鹵獲してだな。そいつは今エネミー研究部に預けているんだが。

 そいつの使っていた『シールド』を俺の船に搭載したいんだが、研究部の連中が『それは出来ない』と言い張っていてな。

 オウルなら、出来るか?』

「出来るか出来ないかなら出来るけど……」

『本当か!?』

 歓喜の声を上げるマサトミに、私は言う。

「出来たとしても。今現物がエネミー研究部にある以上、そっちから許可を取らないと駄目かな?」

『グヌヌヌ』

 何故かマサトミはうなる。

「ん? 何か不都合あった?」

 尋ねると、マサトミは深刻な口調で言った。

『研究部とは伝手がなくてな。許可を取れそうにない』

「ああ、そんなこと」

 あまりに深刻な口調で言われたけれど、私には問題がなかった。

「大丈夫。私、エネミー研究部の部長とフレンド登録し合ってるから」

『……はい?』

 マサトミは信じられない、といった口調で尋ねてくる。

『エネミー研究部の部長は、ソルジャーだろ?』

「だね」

『ソルジャーと、フレンド登録出来るのか?』

「ステーション・ワンに常駐してる相手とだけ、ね」

『なるほど。その情報は、掲示板に上げたか?』

「上げたけど。マサトミが知らない、ってことは、イベント回りの情報に流されたんだね」

『そうか……』

 マサトミはしばしうなって、こう言った。

『フレンド登録の件は、こちらで裏取りして、攻略サイトに上げよう。構わないか?』

「いいよ」

『助かる』

 ふう、とマサトミが息を吐く音がする。

『話を戻すが。エネミー研究部の部長と、この件について話し合いたい。アポを取れるか?』

「ちょっと待ってね」

 サッとエネミー研究部部長にチャットを送る。


~~~~~

オウル:今時間いい?

ビート:暇してるから大丈夫よン?

オウル:コルベット級エネミー手に入れたんだってね

ビート:よく知ってるわねン

オウル:それ鹵獲した人が、そのエネミーの部品使いたいんだって

ビート:ふむン。その人とオウルで、ちょっとエネミー研究部の本部まで来てくれないかしらン?

オウル:了解。時間は?

ビート:いつでもいいわよン

オウル:分かった

~~~~~


「マサトミ、今からエネミー研究部の本部まで来れる?」

『行けるが……』

「部長さんが私同行で会ってくれる、ってさ」

『分かった今すぐ行こう。エネミー研究部本部前のトランスポーター広場で良いか?』

「そだね。そこで待ち合わせしよう」


~~~~~

オウル:今から行くね

ビート:待ってるわン

~~~~~


『ところで、その部長は、どのような人だ?』

「どんな人?」

 マサトミの質問に答える。


 彼女を言葉で表すとしたら。

「本物の天才」

 それ以外、ないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] この口調だと女子? 白衣に眼鏡? さらに幼女 萌えること [気になる点] 漢数字にカンマは横書きだと少し読みにくい 「ジャンク倉庫二,五、ガレージ一,五、」 [一言] 研究所の所長で天…
[一言] 更新ありがとです。 軍用品で重さかさばるのは装甲板だからねぇ。 軽いのにアップデート出来るっていわれたらそりゃね。 しかし、オネエの天才率高すぎないだろうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ