布が欲しい
街の城壁だろうか、立派な装飾が施された門が見えるが。白い髪であるルーちゃんをこのまま中に入れるとすぐに気付かれるらしく、少し考えていた
フードや何か布でもあれば髪を隠せるんだが、そもそもそういったものをいくらで、どう買うのかがわからない
最低限の情けなのか、言語はわかるが。どうしよう
蝶を追いかけてるルーちゃんの姿は最初の頃よりかなり大きくなった、日本でいう中学生くらいではなかろうか
その姿を目で追っていると、民家のようなものがポツポツ存在しているじょとに気づいた
「お、ええやん!」
ルーちゃんの手を引っ張り、その民家に向かっていく
「主人様、どうするの?」
不思議そうに俺を見る彼女に作戦を伝えた
「一枚布を頂戴する(奪う)」
「ふぁい…」
なんだか眠そうだが、寝てもらっては困る
街から一番離れたところにある民家に忍び寄る
完全に泥棒の近寄り方だが、致し方ない
だがこの家、妙にボロいな
ツルが屋根まで伸びているし、まるで手入れされていない
恐る恐る、割れた窓から中を見る
幸運なことに布切れがあるではないか、それも結構な数だ
「もしかしてここ、誰も住んでいなのか」
人の気配が全く感じられないので、隠れる必要もないと確信した
「失礼しまーす」
と俺が扉を開けて中に入って瞬間にルーちゃんが叫んだ
「主人様!!」
「ん?」
天井から蜘蛛のようなクソデカモンスターが俺に向かって飛んできた
「くっ!!」
両手で体の全面を守るがそれより先に、ルーちゃんの手から出た炎が蜘蛛を焼き殺す
ボッ…
焼け死んだその死体が地面に落ちる
「デカすぎんだろ…」
俺の身体とほぼ同じサイズの蜘蛛を見て寒気が起こる
こいつのせいで誰も住んでいなかったのか
「ありがとうルーちゃん、君がいないと死んでたよ」
「うへ…」
何か俺に期待するように、モジモジしている
「お、こうですかい?」
頭を撫でると頬を赤くして喜ぶ
そしてある程度の布を手に入れたが、一応物色しておこうと思い。あたりを探る
「なんかいいものないかなぁ〜」
ゲームの時と同じように、こうした序盤では探れるところは全部探っておきたい。価値はわからないが、まぁ今は気にしないでおこう
「お」
木箱のようなものの中からペンダントを見つけた
よくわからないが、とりあえず首にかけておこう
「このぐらいでいいだろう」
布の汚れを大体落とし、ルーちゃんに被せる
「これいやぁ…」
「すまんな、ちょっとの間我慢してくれ」
髪が見えないように布をつけると
俺たちは街へ向かった