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いつもの火曜日  作者: マジコ
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いつもの火曜日 その2

講義室に入るとまだ時間までだいぶあるからか俺以外には一人しかいなかった。その一人は女性でたぶんおれと同じ学年だろう。確証はないが、そんな気がするのである。その女性は肩まで髪が伸び眼鏡をかけていた。彼女は席に座らず立って窓の外を見ていた。いつもそうであった。彼女がおそらく一番乗りし、そのあとに俺が二番目に入る。俺が講義室に入った時には彼女は窓の外を眺めているのだ。ちらりと顔が見える時があるが、その顔は穏やかなのびやかな表情をしている。何が彼女をこんな優しい微笑んでいるような大袈裟に言うと仏様のような顔にさせるのだろうか。

ぼんやりと彼女を見ているが、彼女の方はこちらが見つめているのに気づいてないのか窓の外を静かに見ている。外を眺めるのがそんなに楽しいのかいつもああしている。

一度、声をかけてみようかと考えたことがある。結構、好みだし、親しくなりたいなと思ったりする。しかし、話しかけるにはいたらなかった。勇気がなかったのも理由だろう。俺はあまり女子と話したことがない。そのため恥ずかしいからというのもあり女性と話すのが少し苦手なのだ。これは小学生の頃からの性分である。男友達とは冗談言ったり出来るのに何故だか女子には上手く出来ない。まぁ、青春期にありがちな症状なのだろう。

こんなんじゃ彼女なんて出来ないよな。女子と話すのは苦手だが、嫌いという訳ではない。ただ、情けないことにもじもじしてしまうのだ。女友達のいる人には鼻で笑われそうだが、こういう性分なのだからどうしようもないのだ。いつになったら彼女が出来るのだろうか。

さて、物思いに耽っていると彼女は腕を伸ばしてのんびりとしていた。ふと、思った。いつも彼女は彼女の友人が来るまでの間すごくリラックスしているように見える。温もりを感じているようである。やっぱり、女性の人間関係というのは男と違い大変なのかなと勝手に思ったりする。または大変ではないが、一人でいることにホッとしているのかもしれない。俺も一人でいる時はどこか安心感というのがある。友人といるのはそれはそれで楽しいが、一人で例えば勉強するのも楽しい。彼女も同じなのかなと思った。この講義を受講するようになってから彼女を今のように見かけるようになり、その様子からそう思えるのだ。

彼女が東洋思想の講義の前に一人のんびりとしているのを見ていると何だか気になる。つい軽く観察してしまう。俺のことが好きなのかなと過ってくる。理由はない。ただ、そんな気がするだけである。

人間観察もほどほどにしようと思い俺は鞄から本を取り出して読み始めた。お昼前のの長閑な時間。いい気分になりホッとするような気持ちになる。

しばらく二人だけののんびりとした時間を過ごしていると彼女の友人が入ってきた。三人来た。ちらりと彼女の方を見ると彼女はその友人たちに気づいたようでにこにこして話始めていた。その顔がまた可愛らしかったりする。俺、あの娘のこが好きなのかなとちょっと思ったりする。何かと自分に有利に考えるのが人間の悪い癖である。

本を読んでいるとあっという間に講義の時間になった。気づくといつも来ている学生が座席に着いていた。講義室は賑やかな様相を呈してきた。鐘が鳴った。それとほぼ同時に教授が入ってきた。さっそく講義が始まった。

講義の内容は孔子の論語についてである。歴史を勉強している俺にとっては孔子の論語の話は難しいが面白い。なるほどなと思うところがいくつかある。自分なりの解釈するのもまた一興である。

講義中は真面目にノートをとっていたくらいのことしか書くことはないので講義中の様子については割愛する。

講義終了後、俺は次の講義室に行く前にこの部屋で昼食を食べることにした。昼食を食べながらちらりと講義前にのんびりと窓の外を眺めていた彼女を見る。どうにも気になるのだ。彼女は他の友人たちと一緒に昼食を食べているようだった。楽しげなその顔に可愛いなと思ってしまう。人の顔を盗み見て可愛いなとか考えるのは趣味悪いなと思い昼食をさっさと食べ終えこの講義室を後にした。

次の講義室へと行く道すがらコンビニでお菓子を買った。ポテトチップスにした。コンソメ味である。うすしおやのり塩も良いが、今日の気分はこれだった。お昼時なのでコンビニはえらく混んでいた。たぶん食堂もすごく混んでいることだろう。外もベンチは満席で、とてもじゃないけど外では食べられない。なので、俺はこの時間帯は講義室で過ごすことにしている。お菓子を買った俺は次の講義である外国史をやる講義室へと向かった。外国史の講義室は6階にある。ここはエレベーターで行きたいところであるが、次の講義に向かう学生でごった返しているから仕方ないので、階段で行くことにした。階段も混んでいるが、エレベーターよりは早く着く。

講義室に入るともう何人かの学生が勉強したり友人とおしゃべりしていたりする。俺はお菓子を食べながらのんびりとした。席は前の方に座った。講義をしっかり聞きたいからである。

その後は外国史の講義を真面目に聞き、講義終了後は図書館で卒論の調べものをしていた。講義がない時の午後は夕方まで図書館で過ごすのが日課であった。一人の時は読書か勉強。友人といる時は雑談して過ごす。こうして俺のある日の火曜日は過ごすのである。

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