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5−4






無理矢理決定になった俺の主役、そして明日香のヒロイン。


亮平は俺の友人役、優華さんは亮平の恋人役、沢先輩はスキーを俺達に教える教師役だそうだ。


「では、役名発表も終わったことだし、さっきも言ったとおり指令の紙を引いてもらおうか」


「んじゃ、私からいくぞー!」


そう言って最初に立ち上がったのは沢先輩だった。


ガサガサと箱の中を漁って、引いた二枚。


「お、二枚とも当たりか」


当たりとは何もかかれてない、すなわち何もしなくていいってことだ。


「じゃあ、次は私が…」


隣にいる五十鈴が立つ。亮平が持つ箱の中から指令を二枚取り出すと、残念そうな顔をして、ガックンと首が垂れた。


「大丈夫か?」


「変なの引いちゃったよぉ」


「どれどれ?」


…立ち話できそうな場所? ぱっと見て感動できる場所…。


「なんか意味が不明だな。特に一枚目」


「でしょ!?」


五十鈴は思いっきり目を光らせた。って、そこ光らせるところじゃないだろう?


「立ち話をする場所っていうのは、簡単に言うと外だ。そんなに難しく考えなくていい。最低、5箇所ぐらいは探してきてくれ」


「ご、5箇所もですか!?」


五十鈴はビクッとなって亮平の顔を見た。


「あぁ。案外簡単に見つかるぞ? なんだったら、去年同じ指令を出された風紀に聞くといい」


五十鈴はチラッと俺の顔を見ると、亮平の言葉に返事をした。


そして順々と引き、気付いたときには俺と明日香、そして優華さんだけとなった。


「じゃあ、俺から行かしてもらいますね」


俺は立ち上がって、箱の中に手を突っ込む。


サッと引いた紙の中身をその場で見ると、意味不明な指令が入っていた。


「優華のお世話?」


「あ、それ私が書いたのだぁ」


ニコッと笑いながらそう言った優華さんのほうを見る。


「なんかね、箱の中に入れたい指令をひとつだけ書いてもいいよって言ったからね、私のお世話って書いたんだぁ。だってほら、今マネージャーいないじゃない?」


「だからって…」


「風紀、指令は指令だ」


「……」


ちなみにもう一つの紙に書かれていた言葉は、亮平の字で「がんばれ」と書かれていた。多分、当たりと同じ意味なのだろう。


「お世話って言うのは、いったいどういうことをすればいいんですか?」


「ん〜、とりあえず私の相手してくれたらいいよ。暇にさせないでね、風紀君っ!」


「相手…ですか」


俺は意味深そうにそう呟くと、亮平は空気を読んでくれたのか、明日香の名前を呼んだ。


「次は明日香取って」


亮平はそう言って明日香の元へ行き、指令の紙をひかせた。


「なんだろうこれ?」


「大当たりじゃん」


亮平が明日香が取った紙を覗くとそう呟いた。


二枚目を開いた明日香の顔は、ちょっと喜んでいるように見えたから、多分当たりを引いたのだろう。


明日香は紙を持って俺の隣に戻ってきた。


「何を引いたの?」


俺がそう聞くと、明日香は何も言わず引いた紙を見せた。


「部長と一緒に、スキーをしにいく…って、ただの遊びじゃん!」


「それは違うな」


優華さんが楽しそうに紙を引いているとき、遠くのほうで亮平は俺達の会話に参加してきた。


「ちょっと色々見つけたいポイントもあってな。一人じゃ探しきれないから人手が要ったんだ。決して遊びに行こうだなんて思ってないぞ」


「思ってるだろ」


「本心はちょっとだけだ」


…駄目だこいつ、なんとかしないと。


「明日香、気をつけろよ? こいつ何をし始めるか分かったもんじゃないからな」


「え? 何がぁ?」


せっかくの心配を明日香は一瞬にして蹴散らした。


「…だから、その亮平に気をつけろよ?」


「だから、亮平君の何に気をつけるのよぉ!」


ここまでくれば、相当な天然だ。


「…亮平、手を出したら分かってるだろうな?」


「はいはい」


亮平は面倒くさそうに手をヒラヒラとした。


「では、優華さん何を引かれました?」


優華さんに亮平が問いかけると、紙を亮平君に渡して自分の席へと戻ってきた。


「えっと、片方は当たりで、もう一枚は休憩所を借りてくる、ですね。それが終われば楽しんで北海道旅行でもしていてください。もちろん、風紀をどんだけ使っても構いませんよ」


「本当に? ありがとー!」


優華さんはニコッと笑って、俺のほうを向き『楽しみだねっ♪』と呟いた。


「よし、全員引き終わったな。ちなみに、この指令は明日いっぱいが期限だ。明日の就寝前に指令が出来たかどうか確認するからな。しっかりと探しておくんだぞ。もちろん、部活内での協力は極力避けて欲しい。まぁ、毎年そう言っておきながら、協力するやつも居るんだけどな」


亮平はチラッと俺のほうを見ると、再び話し開始する。


「それじゃあ、ここで一旦解散とする。今日の夕食もここで食べるから、しっかり時間までには戻ってこい。集合時間は19時だ」


その言葉に、みんなは軽く返事をする。そして皆席を立って、ある場所に集まり出した。それはもちろん、スペシャルゲストの人たちのところだ。


「お久しぶりです、沢部長!」


幸助が真っ先に部長のところに向かう。


「おう、久しぶり。それにしてもお前…」


「あ、分かります? ちょっと痩せたんですよ! この辺とか、この辺とか、こんなところまで!」


「お前、誰だ?」


沢部長は頭の上にハテナを浮かべ、幸助の顔をじっくりと見た。


「さ、沢部長、ひどいっすよぉ!」


幸助は涙目になりながら、その場を走り去っていった。


龍先輩には、意外にも苺が寄っていっている。なにやら楽しそうに会話をしているぞ…。


俊はもちろん、アイドルである優華さんの元へ。


「はじめまして、篠井 俊と申します。この度はお目にかかれて光栄です」


なんて紳士ぶっているが、優華さんは全くと言っていいほど相手をしていない。


「じゃあ、風紀君いこっか!」


「え、どこにですか?」


「もちろん、私たちの部屋だよ?」


優華さんの部屋は確か、明日香と同じだったはず。


「って、え! なんで!?」


「私の相手してくれるんでしょ? ほらほら、早くぅ!」


優華さんは俺の服を引っ張ろうとしたそのとき。


「風紀に触っちゃ駄目です!」


そう、明日香が叫んだ。






















更新がやや遅れてきています。

というか、遅れてきちゃいます。


リアルが忙しくて、小説になかなか手が回らない日々が続いているんですよね。

今回のように、少々お時間が空くときがあると思いますが、Tokiを見捨てないでやってください。


5-4読んでくださってありがとうございました。

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