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小鬼奮闘記  作者: 源助
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-ゴブリン集落編6-

満身創痍になりながらも、剣鹿との戦いを終え集落へと担ぎ込まれた後。

血を流し過ぎた事と、剣鹿を狩ったことで得たマナの活性から来る尋常で無い睡魔に抗えず、意識を手放したのが太陽が傾き始めた頃だった。


空腹と喉の渇きに目を覚ませば、集落では宴の真っ只中の様で、能天気なゴブリン達の喧騒が聞こえてくる。

全身に漲るチカラに全能感を覚えるも、食いっぱぐれてなるものか、と意気込み宴へと向かえば主役の登場だと言わんばかりの大喝采。


いつも騒がしいゴブリン達に影響されてか、荒んだ心が少しだけ癒された気がして、ゴブリン生活も悪いことばかりじゃないか、と思えてくる。


どうにも功労者である自分を待っていたらしく、今か今かと浮き足立つゴブリン達を尻目に奥に座るボスゴブリンへと視線をやれば、こちらを試す様な視線を返され少しばかり苛立つ。


(アンタ程の貫禄はねぇが、舐められたままじゃ終われねぇんだよ!!)


己の心に住み着いた鬼は負けることを、嘲笑される事を拒絶する。


「ぐぅぉぉおおぉおおおおおお!!」


己の武威を示せと言うならば、全身全霊で示そう。

もはや、己は最弱の臆病だったゴブリンでは無いのだと知らしめよう。

この咆哮は過去への決別だ。

己の血肉となった老ゴブリンへの餞別だ。


この身体に流れる青い血は、立ち止まる事を許しはしないだろう。

己に住み着いた鬼は、闘争から逃げ出す事認めはしないだろう。

この心は、何度負けようと折れることは無い。

最下層種族?上等だ。

俺はここから成り上がる。


こっから先は修羅の道。

もう止まれねぇ。

今いる場所が底ならば、上だけ見てりゃいいんだから簡単な話だ。


全部喰らって、這い上がる!!


僅かに口角を上げ挑発的な笑みを浮かべるボスゴブリンを視界から外せば、こんがり焼けた剣鹿に群がるゴブリン達に思わず苦笑い。


あの宴の晩に老ゴブリンと食べた腿肉をもう一度、とゴブリン達を押し退け進みどうにか確保。

離れた場所で見ていた雌ゴブリンへと近付き、その口に押し付ければ口一杯に頬張る姿に思わず笑みが溢れてしまう。



一度折れた心は、老ゴブリンの死により復讐と渇望という歪な形ではあれど、その姿を取り戻した。

その心に宿った小さな鬼は、この世界にどれほどの影響を及ぼすのか。


篠宮るいのゴブリン生活、これから物語は加速していく。

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