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ワンダーティース!  作者: 梢田 了
始まりの町の大事件!
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第一話 あたしは、ヒーローなんだ! ~夢の中の冒険譚!~

 ようやく一区切りついたので投稿してみました。

 ここまで来るのが本当に長かったので、頑張って更新していきたいと思います。

 突如として、荒野に咆哮が轟いた。地が震えるほどの雄叫びだ。

 荒野に溶けるような土くれの色をした怪物が、大の大人でも震え上がりそうな目で盾を構える者を見つめていた。

 盾を構えていたのは、まだあどけない顔をした少女だった。赤いハチマキが風に揺れ、砂埃に汚れた短い髪を指ですく。

 一瞬のにらみ合いの後、少女は怪物から背を向けて走り出した。それと同時に巨大なトカゲのようなそれはおぞましい声を上げて猛進する。

「ご、ごごごごめんなさいーっ」

 思わず叫ぶが、その怪物はすぐに少女へ追いついた。

 耳元で鳴る鼻息に慌てて横へと跳ぶと、その怪物は反応できずに少女へ首を向け、体勢を崩して地面を滑走する。

 それを見届けた少女は、背に負う自身の身の丈に迫る大きな剣を構えた。地に切っ先を当て、低く構えた姿勢は巨大な盾に身を隠しているようにも見える。敵意を弾き返さんとする如き構え、剣は磨かれても見れぬ鈍い光沢ながらも、空から降り注ぐ陽の光を照り返して力強く輝いている。

 激しく舞い上がった砂埃の中から、怪物が立ち上がるのを確認する。少女は、その小柄な体には合わない大剣を逆手に握り直し、持ち上げた。

「――むうぅああああああああああああああああああああッ!」

 気合と同時に助走をかけ、全身をバネにして大剣を力任せに投げつける。その刃は怪物の顎に突き刺さり、削ぎ落とした。

 悲鳴をあげるも、それの目から戦意の光は消えていない。

 少女は、盾の内側に装着された剣を抜く。淡い赤色をしたその剣は、刃に幾何学的な模様が描かれていた。

「……はあ、はあ、……ふぅーっ」

 構えた盾に剣を添えて呼吸を整える。

 どす黒い血を吐き散らしながら、再び猛進する怪物に、少女は怯えた。この怪物に弾き飛ばされる自分が容易に想像できたからだ。

 怪物は手負いだが、見た目ほどのダメージは受けていない。

(どうしよう……終わっちゃうかも……)

 息が震える、心臓が跳ねる。膝が震えて恐ろしい怪物の姿から目を背けたくなった。

 しかし。

(……いや、あたしは負けない……あたしは、ヒーローなんだ!)

 腰を落とし、敵を真っ直ぐに睨みつけて体を前へ傾ける。

 ――来るなら来い、と、まるで逆に弾き返してやると言わんばかりだ。

「目、閉じてて」

 そんな少女の肩に、軽く手が置かれた。

 突然のことに思わず振り返ると、鉄製の帽子を頭に乗せた女が、少女に向かって微笑んでいる。

 女はすぐに怪物へと向き直ると、右手を前へ出した。同時に、その手から数センチほど離れた場所に赤い軌跡が走る。

 それは素早く、赤き残光が消える頃には、複雑な幾何学的模様、魔方陣が浮いていた。

「吹っき飛べッ!」

 女の声と同時に光が炸裂し、その奔流は怪物を飲み込んだ。

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