82.アーシュの奮闘
本日4話目。
本戦が遠い……
「どういう事よ⁉︎聞いてないわよ⁉︎何⁉︎チート⁉︎」
アーシュ女化作戦会議二回目。
「昨日言ったよな?S級倒したって」
初めの議題は先の戦いについて。
「言ってないわよ‼︎ドンパチしたとしか聞いてないわよ‼︎」
「ドンパチして負けたら俺死んでるじゃん」
「そんな事知らないわよ!」
アーシュは本当に年上か?と思うほど騒がしい。もう少し落ち着いて話せないものだろうか?
「まぁこれでも飲んで落ち着けよ」
「あら、ありがッ⁉︎炭酸⁉︎」
俺が特製ジュースを渡すと、中身を見てコップを落としそうになるアーシュ。
「そっちのチートもありなの⁉︎」
「そんなのないから。とりあえず落ち着けよ」
この中だと音が反響して煩いんだよな。叫ぶのはやめて欲しい。
「ゴクゴク、う〜ん、この感覚久しぶり〜」
頰に手を置き、久しぶりのしゅわしゅわを味わうアーシュ。
「中々上手に再現出来てるだろ?結構苦労したんだぜ、それ」
「完璧よ!もう一杯頂戴」
はい、と手渡されたコップに特性ジュースを注いでやる。それを再びゴクゴクと飲み干し、風呂上りのおっさんの様な息を吐く。
「最高よ〜」
「そりゃよかった。さて、そろそろ本題にもどるか」
「そうね。君どんなチート持ってるのよ?」
「そっちじゃねぇ」
俺の話じゃなくてお前の話だよ。
もういいだろ。さっさと本題に入ろう。
「とりあえず抱き枕作戦は続けるとして」
「続けるんだ…」
「次は……色気だな」
「色気?それならバッチグーよ。見なさい、このボンキュボンの体を。転生様様よ」
後ろ髪を手でかきあげ、ポージングを決めるアーシュ。俺は思うんだ。こういうのが、デュランの認識を男で固定させているのではないかと。
モデルの様なクールさも、ポーズを決める事に恥じる様子もない。言ってしまえば、女の子っぽさがないのだ。
「まずその気持ち悪い笑みをやめろ。普通に笑え」
「なっ⁉︎まったく、これだからガキは」
わかってないわね、と馬鹿にする様に頭を振るアーシュ。
「この悩殺スマイルがわからないなんて、まだまだガキね〜、君も」
「どっちかと言うと、悩殺するどころか近寄りたくもない笑顔だな」
不気味だ。高笑いしてるし、目が私を見なさいと血走ってる。色気というより寒気を感じる。
「よし、こうしよう」
このままこいつの色気のなさを話していても時間の無駄なので、簡潔に次の作戦を話した。その結果は、また明日わかるだろう。
〜〜
「うにゃーー‼︎」
今日もアーシュの叫び声で目を覚ました。昨日と似たような光景。だが、少し違う。
今日のアーシュは非常に薄い布しか纏っていない。つまり、生に近い感覚をデュランは味わえたわけだ。
それでも昨日と扱いが変わらないのは、一重にアーシュの色気のなさが原因……なのだろうか?
結構色気あると思ったのだが……デュランに意識させるには足りないようだ。
しかし、作戦はこれで終わりではない。
「ああ〜ん、腰が抜けちゃった〜。デュラン〜」
「ったく仕方ねぇ野郎だな。ほら、肩貸してやる」
アーシュは上目遣いで甘える様な声を出し、デュランを誘惑する。しかし、鉄壁のデュランは崩れない。それどころか揺るぎもしない。まるで手のかかる妹を世話するかの様な仕草で、アーシュに手を貸した。
「…………ありがと」
不満気なありがとうを口にしたアーシュ。それに対し何を言うでもなく、おうとデュランは返事した。
アーシュの恋は険しい道のりかもしれない。
〜〜
昼下がり、目的地に到着した。そこで、依頼内容の確認を行う。
「今日はここで、軽めの依頼をやりたいと思う。A級をたった三体倒すだけの簡単なお仕事だ」
昨日は何十と狩った。それに比べれば楽な仕事だ。昨日は何もしなかった俺以外からすれば、今日の方がしんどいかもしれないが。
「俺たちの価値観がずれてんのか?」
「デュランの価値観が正しいと思うよ。レイがズレてるの」
俺が戦って勝てないかもしれないシャルステナの援護により、デュランはだよなぁと頷く。
ただ、シャルステナも本心では楽だと思ってるはずだ。S級を瞬殺するぐらいだし。
「せっかくだし、デュラン達に戦わせてみるのもありか」
「いや、なしの方向で」
ハングは無理無理と手を横に振った。
「大丈夫よ、ハング。私がいるんだから。年下に負けてばかりじゃ、立場がないわよ?」
一方、アーシュはありのようだ。なしのハングを説得しようとしている。
「俺は立場なくてもいいんだけど……」
「私はアーシュに賛成。覚えた魔法使ってみたいし」
ここにもありの奴がいた。パーティの中で割れる意見。こういう時はリーダーが方針を決めなければ。
「もちろんやるぜ‼︎この一週間鍛えた力を見せてやる‼︎」
ガッと拳を握り、一週間の成果を試そうというデュラン。
だが、一週間じゃ大した成果はないと思う。
「はい。てことで、一体はアーシュ達に任せる。残りは、誰かやりたい奴いるか?」
誰にやらせるか困ったので、立候補を募る。すると、ストレスがすぐ溜まるアンナがすぐさま手を挙げ、アンナがやるなら僕もとゴルドがそれに続く。
「よし、アンナはこの方向に、ゴルドはこっちにまっすぐ進め。オーガがいるはずだ」
「了解よ」
「アイアイサー」
普通に返事をしたアンナと、敬礼の様なポーズをとったゴルドは、それぞれ別々の方向に走り去った。
それを見送ってから、一番近い所にいるオーガの場所までデュラン達を案内する。
「見えるか?」
オーガに気付かれないよう声を抑えて、4人に問うた。全員、一度オーガのいる方向を見てから静かに頷く。
「あれがオーガだ。見ての通り、俺たちの3倍ぐらい大きい。動きは鈍足でD級のお前達でも何とかついていけるはずだ。だが、硬い。ただの剣じゃ弾かれて終わりだから気を付けろ」
手短にオーガについての説明を入れてから、ゴーサインを出した。
ハング以外はやる気に満ち満ちていて、嬉々として飛び出した。その後を、トボトボとやる気なさ気についていくハング。しかし、飛び出したデュラン達に気付いたオーガが咆哮をあげると、慌てた様子で剣を抜いた。
「燃える燃える真っ赤な太陽」
アルルがシャルステナから教わったらしい魔法の詠唱を始めた。シャルステナの唱え方と違う事から、その詠唱は自分で考えたのがわかる。
まだ一週間でよくもまぁそんな事が出来るものだと感心した。
アルルが詠唱を始めると、注意を惹きつけるためかデュランが魔力も通っていない剣で、オーガに斬りかかる。
「ああ⁉︎」
「バカッ!弾かれるって言ってたじゃない!」
剣がガキンと弾かれ驚愕したデュラン。話を聞いていたのかとアーシュが責める。
その間にもデュランを標的に見据えたオーガは拳を振り下ろす。それをカバーしたのは、アーシュだ。
反転空間で拳を弾き、自分は魔力強化した剣でオーガに一撃入れる。
「かったぁい‼︎」
しかし、オーガの腹に入った一撃も浅く皮膚を切った程度。明らかに威力にかける。
俺も初めは苦労した。オーガを倒すのに必要なのは、攻撃を弾いて一撃入れるテクニックでもなく、様々な魔法で相手を翻弄する事でもない。オーガの皮膚を貫き、決定打を入れる一撃の威力だ。
アーシュは剣を振り抜いた後、バックステップで後退した。思ったよりも深く入らなかったため、オーガの皮膚の抵抗によりアーシュの手は痺れていた。そのため、一旦距離を置くことにしたのだ。
入れ違いで遅れて出たハングがオーガの前に立つ。
「大人しくしててくれよ」
ハングは無闇に攻撃する事はなかった。的確に相手の攻撃を躱し、自分に引きつける。
そして、足のホルダーから何か取り出し投げつける。それはアーシュのつけた傷跡に見事に吸い込まれた。
「ほほー、お見事」
動きながら小さな的に当てるとは中々の命中率だ。剣を持ってたから、前衛かと思っていたが、中衛か後衛向きかもしれない。
残念なのはそれが大した意味を持たない事だ。
「ハング交代だ!」
「了解!って何それ⁉︎」
デュランの指示に従い下がろうとしたハングは目を見開いて驚愕した。見ればデュランは何を思ったか、どデカイ岩を両手で持ち上げていた。
「これはこうするんだよ‼︎」
そう言って、デュランはオーガに岩を投げつける。斬るのが無理なら、打撃でどうだといわんばかりに思いっきり投擲するデュラン。
直結1メートルあるかないかの大きさの岩は、狙ったのかオーガの顔面にぶち当たる。偶々だろうが。
さらに偶然が重なったのか、頑丈なオーガがフラフラとよろける。うまい具合に顎に当たったのか、脳がシェイクしているようだ。魔物に脳があるのなら。
「おっしゃー‼︎狙い通り‼︎」
「ナイス!デュラン!」
調子付くデュランにアーシュがグッドサインを送る。
「落ちて炎界とかせ、サンフォール‼︎」
アルルの詠唱が終わり、魔法が発現する。
オーガの体が赤く染まった。真上に出現した大きな火の玉が、オーガの青い肌を赤く染め、猛々しく燃え上がる。
中級魔法、サンフォール。それは至ってシンプルな魔法。ファイアボールの数十倍はあろうかという火の玉を落下させるだけの魔法。
シンプルだが、それなりの威力を持つ。
一週間やそこらでこれだけの火を作り出すとは恐れ入った。やはり火魔法に才があったらしい。
しかし、惜しむべきは……
「うおぉぉ!燃えるーー‼︎」
「熱い熱い‼︎」
仲間を巻き込み兼ねない事か。
連帯がまるで取れていない。魔法ありの戦闘が初めてだから仕方のない事かもしれないが……
火の海から命からがら帰還した2人にアルルはごめんごめんと謝る。
「アルル、今度から気をつけてよ〜」
「ほんとだぜ。丸焼けになるところだった」
「ほんとごめんね〜。張り切り過ぎ、ちゃ、あれ?」
アルルは言い終える前にフラフラとよろける。それを真近で見ていた2人は何事かと戸惑う。
「魔力切れだな。フラッとするだろ。今のアルルはあの魔法一発が限界って事だな」
バランスを崩し倒れかけたアルルを手で支え、心配している2人と張本人にフラついた理由を教えてあげる。
「ありがと」
「気にすんな。それより、ハング一人で頑張ってるけどいいのか?」
「「「えっ?」」」
俺の進言に素っ頓狂な声を漏らし、ハングを見る三人。そこには、焦げ跡が残るも元気に暴れるオーガとそれから必死に逃げ纏うハングの姿があった。
焦げ跡はアルルの魔法でついた跡だ。だが、決定打には程遠い。
「は、はやく助けてーー‼︎」
悲痛な叫びをあげるハングは涙目だ。悲鳴で助けを求め、それにアーシュとデュランがハッとなって駆け出す。
「ご、ごめーん!」
「まだ倒れてなかったのか。悪い」
ハングに謝りながらも、2人はハングに代わってオーガを迎え撃つ。しかし、顔には焦燥が張り付き、打つ手はない。自然、攻撃は後手に回り、逃げ纏う姿が目立つ。
アルルは魔力切れでダウン。他は肩で息をし、体力が切れるのも時間の問題に思えた。
潮時かな。
「アーシュなんかドカンとする技ないのか⁉︎」
「何よ、ドカンて!そういうデュランこそなんかないの⁉︎」
前衛で頑張る二人は、オーガの拳を躱しながらお互いにオーガを仕留められる必殺技か何かないか探り合う。
しかし、どちらもそんな物は用意してないようだ。
俺はアルルを地面に座らせる。そして、瞬間的に加速し、オーガと二人の間に移動すると、魔力を剣に通わした。
「時間切れ」
一言そう言ってから、二人の返事を待たずにオーガを縦に切り開いた。
これ以上やらしても危険が増えるだけで、彼らの成長には繋がらないだろう。死闘を超えて強くなる事もあるが、そこまでする必要はないだろう。
「う、うっそー……」
唖然とするアーシュ。同じ魔力充填でも使い手が変わればここまで切れ味に差が出る。見た所アーシュ以外魔力充填を持っていないようだから、きっと彼女は比べた事がなかったのだろう。
だから、魔力を通しただけで満足してしまっていた。きっとこれはいい見本になる。アーシュにとっても、他の魔力充填のスキルを持っていないデュラン達にとっても。
その証拠にアーシュはマジマジとオーガの血がしたたる剣に目を向けている。
「どうやったらそんな切れ味に……」
いわば、これは冒険者にとって必須と言って過言ではないスキルだ。アルルは後衛になろうと奮闘しているからまだしも、前衛、中衛は持っておいた方がいい。欲を出せば、シャルステナの様に持っている事が望ましいが……
「まぁ、要練習だ」
バッバッと剣を宙に振り血糊を落としながら、アーシュに向けてそう言った。
魔力充填は奥が深い。込める魔力、魔力の分布、あと魔法と合わせればその性質を変える事だって出来る。
気長に練習あるのみだ。
「さてと、こっちは終わった事だし、バカップル回収して次行くぞ次」
〜〜
「はっきり言おう。お前は妹だ」
「い、妹……?」
衝撃の事実が明かされた的なノリで始まった第3回アーシュ女化作戦会議。だが、実は俺がアーシュの兄貴だったのだ、とかそんな話をしたいのではない。
「つまりだ、デュランのお前に対する評価は妹に近い評価なんだ」
「えっ?えっ?」
混乱するアーシュ。しかし、一瞬後、拳を掲げ勝ち誇った様なポーズをとる。
「きたきた‼︎妹との禁断の恋‼︎」
「いや、違うからな?血は繋がってないからな?禁断どころか、推奨されるべき恋だからな?」
混乱から立ち直ったと思ったら、まだ混乱の最中にあったアーシュの間違いを正す。
「意識的な問題だって話だよ」
「けど、それはもう妹っしょ?血の繋がってない兄妹なんていっぱいいるわよ?」
「……確かに」
間違いを正すつもりが、逆に正されてしまった。
「と言うわけで、禁断の恋を叶える為の話し合いをするわよ!」
「そう言われると手を貸したくなくなるんだが……」
ドロドロに俺を巻き込まないでと言いたい。そういうのは昼ドラでどうぞ。
「ていうか、それだと今までやる事変わんないよな?デュランにお前が女だって意識させる事が目的になるんだから」
妹だとしても意識させなければ始まらない。自然、前と変わらぬ作戦会議をしなければならない。
「それもそうね。その場合、私としては君のドキッとする状況を聞いて見たかったり?」
「ドキッとする状況か……」
つまりシャルステナにドキッとした時の事を話せばいいわけだな。
「あれは不気味な雲が空にかかってた日だった」
「えっ?心霊話?そっちのドキドキじゃないんだけど……」
話し出しが心霊チックになってしまったため、誤解を招いた。その誤解は続きを聞いてもらって解くとしよう、
「あの日、俺は死にかけてた。それを助けてくれたのがシャルだった。意識が戻った時、シャルは泣いてた。そして、抱き付いてきた。その時、ドキッとしたな」
「なるほど、命を救って涙ながらに生還を喜ぶのね」
アーシュは自分なりに俺の言葉を訳した。
「いや違う。抱き付かれてドキッとしたんだ」
「初めの方入れた意味は⁉︎『俺、抱き付かれてドキッとしたんだ』じゃダメなの⁉︎」
俺の声真似までして突っ込みを入れてきたアーシュ。
「シチュエーションって大事だろ?」
「それはまぁそうだけど……」
俺の言葉を頭の中で反芻する様に確かめるアーシュは、次第に顔がだらしなくなっていく。デュランと頭の中で何をしているのやら。
「だろ?シチュエーションは大事だ。例えば、飯食ってるときにいきなり抱き付かれてもドキッとは……するな」
「するんかい‼︎」
パチンといい音を立てて突っ込みが炸裂する。
だが、よくよく考えれば、ドキッとしないシチュエーションが思い付かない。
「……結論、抱き付かれたらどんな時でもドキッとする」
「ぐだぐだ⁉︎この作戦本当に大丈夫なの⁉︎毎朝、抱き付いてもアイアンクローしか反応見せてくんないんだけど⁉︎」
言ってる事がコロコロ変わる俺にアーシュが不安を訴える。
「任せとけ。俺に一つ考えがある」
〜〜
「…………なんだこの状況……?」
「スー、スー」
腹部に違和感を感じデュランは目を覚ました。そして、違和感を確かめる。
「何でアーシュが抱き付いてんだ?また抱き枕にされたのか?」
窒息の危険がないため、落ち着いて状況を把握するデュラン。そうなってくると自然、これからどうするかに思考が移っていくのだが、アーシュの寝顔を見てデュランの顔が少し赤く染まる。
抱きつく場所をたった数十センチ下に動かしただけでここまで反応が変わる。
「……っと、何考えてんだ俺は」
ハッと正気に戻ったデュランは打開策を考える。いつものようにアイアンクローという考えは、その時全く浮かんでいなかった。
そして、デュランは待ちを選んだ。
「ぐおー、ぐおー」
わざとらしいいびきをかきながら。
それをこっそり息を殺し見ていた俺は吹き出しそうになる。
下手過ぎる。演技が。
しかも、寝たふりしてるアーシュが恥ずかしさと嬉しさで震えていた。
どっちも演技下手!
俺も寝たふりするのがきつくなってきた。吹き出しそう。
〜〜
「やってくれるじゃん。腹痛くて死ぬとこだった」
「う、うるひゃいわよ!」
笑い死にそうだったと腹を押さえる俺と、恥ずかしさで悶え死にそうになっているアーシュ。
朝起きたら皆に暖かい目で見つめられ、見られていた事を知ったアーシュ。一気に恥ずかしさが込み上げてきて、今はそれに悶えている最中だ。
「死にたい。みんなに見られてたなんて」
顔を抑え、羞恥に悶えるアーシュ。
「まぁ、よかったじゃねぇか。あれは完璧にお前の事意識してた顔だった」
「君いつから見てたの⁉︎」
「初めから。ちなみに一昨日からみんなこっそり見てたからな」
アーシュしか知り得ないはずのデュランの様子と新事実を教えてやると、顔を真っ赤にして再び顔を隠した。初めから見られているとは思っていなかったようで、それがアーシュの羞恥をさらに加速させる。
「もう死にたい……」
「一昨日俺に命大事にねとか言っていたアーシュさんの言葉とは思えないな」
俺のからかう様な言葉も、羞恥マックスのアーシュには届かない。
「まぁ何せこれで作戦は一先ず成功だな」
作戦の第一目的であったデュランに意識させる事に成功したわけだ。俺は作戦終了を言い渡した。
「それは嬉しいんだけど……恥ずかしい!」
その後、出発する直前までアーシュが顔を上げる事はなかった。




