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75.新人冒険者

 朝、日の出と共に目覚めた俺は軽く日課の素振りをし、それが終わる頃に目覚めたシャルステナ達と朝食を取ってからギルドに向かった。

 昨日軽くは見たが、もう一度改めて依頼内容の確認と受注をしておこうと思ったのだ。


 ギルドに入ると、そこは俺たちの話で持ちきりだった。昨日話した男性が事細かに広めたらしく、シャルステナがシャークヘッドを倒した事まで皆知っていた。

 入ってすぐに強面冒険者に話しかけられたシャルステナは少し怖がっていたが、相手に敵意がない事がわかると普通に話していた。


 話の内容はどうやって倒したのかとか、将来は何になるのかとかが殆どで、中にはパーティメンバーへ入らないかという引き抜き話まであった。

 シャルステナは一人一人丁寧に対応していき、誘いはバッサリと断っていた。


 やがてその人集りも消え、落ち着きを取り戻したところで、改めて依頼内容を確認する。


 飼い犬捜索願いの依頼から、魔物の討伐まで多種多用な依頼が並んでいる。数も非常に多い。

 俺はその中でも達成報酬が高い物を中心に見ていく。


『B級 ラビットラッシュの耳が欲しい。数が多い程報酬は上乗せします。最低でも耳は二つ。

 基本報酬 30万ルト

 追加報酬 耳一つ毎に15万ルト』


『B級 最近村の周囲でドーンワームに襲われる商人、旅人が多発。このままでは防壁を越え村に出現する恐れもあるため、早急に対応してもらいたい。

 基本報酬 一体につき30万ルト』


『B級 コヨーテ狩り。40匹級の大規模な群れを確認。既にこの群れの被害に合い死亡した者もいる。Bランククラスの実力者求む。

 基本報酬 100万ルト』


『D級 荒野に生える木になるライクの実が欲しい。ライクの実は風邪薬の材料としてよく使われるため、数は多い程いい。最低でも10個。

 基本報酬 5万ルト

 追加報酬 10個につき7万ルト』


 この4つだろうか。

 他は少々手間がかかりそうで、その割に報酬が安い。

 まぁ、見た所この4つは相場より高めだ。場所も村周辺の荒野に生息しているものばかりなので、手間も節約出来る。

 俺は掲示板から依頼書を引きちぎり皆に回す。


「よし、この4つをやろう」

「えぇー、このホワイトウルフにしましょうよ。B級のくせに毛皮一つで100万よ?これしかないでしょ」


 手下がリーダーの選んだ依頼にケチをつけてきた。そんなのよりこっちの方が楽でお得よと、何も知らない癖に言ってきた。


「素人が。そいつはな、年がら年中雪の降る地域にしかいないんだよ。こっから何日かかると思ってる?それだけで1ヶ月終わるわ」


 この依頼が難易度に合わない高額報酬なのは、その手間がかかるからだ。

 往復二ヶ月で最大数10体分の毛皮を手に入れたとして、1日の報酬は大体20万弱。Bランク冒険者としては妥当な報酬だ。


「あんた知識だけでも反則ね」

「だから言ったろ?負けるわけがないって。現役冒険者舐めんな」


 一体幾つの頃から冒険者としての心得を学んできたと思ってる?

 この程度の知識朝飯前だ。

 そんじょそこらの冒険者より知識は多い。


 そうして俺たちは依頼書を提出し、荒野へ向かった。

 依頼は早いもの勝ちだ。それは一般冒険者となんら変わらない。依頼を受けなくても達成出来る物は多々あるが、受けていれば他に取られる事はない。しかし、だったら全て受けてしまえばいいというものでもない。


 一般の冒険者ではランクに応じて一度に受注可能な依頼数に制限がある。D級までは一つ。C級二つ。B級3つとランクが上がる毎に一つずつ増えていく。ちなみに最大受注可能数は5だ。それ以上は上がらない。


 この競技ではその最大受注可能数まで受ける事が出来る。余り物だし、ギルドとしても消化したいのが大きな理由だろう。全パーティが5個ずつ依頼を受けたとしても、おそらくまだ半分程しか埋まらない。それ程に多いとミラ姐が愚痴っていた。


 また、他にも依頼を受注するメリットはある。未受注の依頼は他の街や村のギルドで、報酬を受け取る事は出来ない。それはそのギルドにその依頼そのものが置いてないからだ。

 しかし、受注していればギルドカードの裏面に記載されるため、報酬を受け取る事が出来る。そして、ギルドが収集した素材や、達成したという報告を届けてくれるのだ。


 この二つのメリットがあるため、わざわざ受注を行うのだ。だがまぁ、特定の討伐依頼や護衛依頼はその限りではない。こちらは受注しないと報酬は貰えない。

 中々冒険者と言うのもややこしいのだ。単純に魔物を倒すだけではやっていけない仕事なのだ。

 色々と他にも学ぶ事は多い。


 村の外に出たところで、今日の方針を説明する。


「まずはコヨーテを探す。大規模な群れだからすぐに見つかるだろう。ついでにドーンワームも探す。こいつらは土の中にいて俺の空間に引っかからない。だから、地道に探すしかない」

「うん」

「ほほーい」

「めんどぉ」


 シャルステナは小さく頷き、ゴルドはやる気があるのかないのかよく分からない返事を返す。そして、文句たれは面倒くさそうに顔を歪めた。


「昨日も言ったが足元要注意な。ドーンワームは下から襲ってくるから、ボーと歩いてたらパクっていかれて、明日には土の中に排泄される。少しでも地面が揺れたらその場から飛びのく事」

「なっ、なんてとこに連れてくるのよ‼︎昨日言っときなさいよ‼︎」

「昼しか活動しない魔物なんだ」


 ぞぉぉと一瞬青い顔をしたアンナは、次の瞬間には怒り出した。それを軽くいなすと、一息ついてからコヨーテ探しを開始する。

 まだ、出会った事はないが、資料で絵は見た事があるから、空間に引っかかればすぐにわかるだろう。

 それまでは地道に探し回るしかない。


 コヨーテはやせ細った犬の様な外見をしている。肉食で、死体を漁る事も多々ある。集団で動き、一番強い者をリーダーとして群れを形成。時にこのような特定の群れを倒す依頼が舞い込んで来ることもある。

 一匹一匹はそれほど強くはない。いいとこCだろう。

 ただ、連帯攻撃を得意とし、数匹同時にかかってくる。数が少ない群れならそれでもC級だろうが、今回はそこそこ多い。

 しかし、俺たちにとってそれは大した問題ではない。

 例え一人でも十分勝てる相手だ。


 小一時間ふらりふらりと荒野を彷徨う。

 そろそろ一休みするかと思ったその矢先、空間がコヨーテの姿を捉える。しかし、一瞬で空間外へとコヨーテは消える。

 慌てて反応があった方向に走り出す。


「ちょ、レイ⁉︎」

「何よ⁉︎まさかさっき言ってた奴⁉︎」

「ええっ⁉︎飛ばなきゃ!」


 突然走り出した俺にシャルステナは慌てた様子で付いてきた。アンナは勘違いして俺と同じ方向に逃げる様にして付いて来た。ゴルドはアンナの勘違いが伝染しその場で思いっきり飛び上がった。


「コヨーテがいた。こっちの方向に一瞬だけ反応があったから、このまま走っていけば捕まるはずだ」


 俺はシャルステナとアンナ、そして着地してから一度首を傾げてから追い掛けて来たゴルドに走り出した理由を説明した。


「ビビらせないでよ!何かと思うじゃない!」

「飛び損だー」

「黙れバカップル。勝手に勘違いしたのはお前らだろ」


 文句の多い手下二人を一蹴し、さらに速度を上げる。すると、いるわいるわ。わんさか反応が出てきた。


「目標確認。作戦は特にない。各個撃破しろ」

「はやっ!まだ見えてないんだけど⁉︎」


 俺しか確認出来ていない敵との戦闘の指示を出され驚くアンナ。こいつは俺が索敵の名手である事を忘れてしまったのだろうか?


「すぐ見える。あの丘を越えればすぐだ」


 先に見える少し台になった所を指差し言った。

 それから、剣を抜き戦闘態勢に入る。それに合わせ他も獲物を抜き、戦闘準備万端の状態で丘から飛び出した。

 眼前にはコヨーテの群、そして、行商の荷車があった。その周りにはコヨーテから荷車と商人風の格好をした中年の男を守る様に立つ三名の冒険者の姿があり、商人の男は行者台で腰を抜かし怯え、冒険者達は一様に手に持つ武器に力が入っていた。その身なりからおそらく商人に雇われた冒険者成り立てだと俺は推測する。


「待て待て‼︎こいつらは俺たちの獲物だぁ‼︎」


 第一声で今にも俺たちの討伐対象に意を決した様子で手を出そうとしていた冒険者達を止める。

 いきなり飛び出して来てそんな事を言う俺に彼らは唖然としていた。一方、コヨーテ達は冒険者から俺たちに視線を移し、威嚇するように唸る。


「ハク、爪であの冒険者達ごと荷車を守れ。手は出させるな?」

「ピィイ!」

「他は各個撃破だ」

「うん!」「ラジャ〜」「ヒャッホー!」


 俺の指示を受け皆その通りに動く。

 ハクは繭のように爪を伸ばし、彼らを丸々押し込めた。中から悲鳴が聞こえてきたが、安全は確保してあげた事だから我慢して貰おう。


 シャルステナは魔法は使わず剣で一体ずつ仕留めていく。相変わらず後衛とは思えない剣捌きだ。まったく危なげなく、着実に敵の数を減らしていた。


 ゴルドは両手剣を片手で放り投げ二体一気に仕留めると、魔装を纏い殴り殺していった。オーバキル過ぎる。


 アンナはやたらと無駄に高いテンションで、派手にコヨーテを切り刻んでいった。またおかしなものにでも目覚めたのだろうか?


 そんな彼らに目をやりながらも俺もしっかり仕事はしていた。近くにいるコヨーテを真っ二つにしながらも、空いている左手で短剣をコヨーテに投げつける。短剣はコヨーテの喉元あるいは、胸へと突き刺さる。


 そうして、僅か数分で40数匹のコヨーテを狩り終え、繭に閉じ込められていた人々を解放する。閉じ込めさせたのも俺だけど……


「助かった。強いんだな。俺たちとは大違いだ」


 冒険者の中のリーダー風の男だが、自嘲しながら礼を言ってきた。


「まぁ、学校に通ってるからね」

「学校かぁ、羨ましい」

「私の家が裕福だったらなぁ」


 俺の言葉に残りの2人が反応する。リーダーの男も含めこの三人はまだ幼さが残る顔をしている。俺たちとそれほど年も離れていない様に見える。

 そんな彼らからすれば学校に行くというのは憧れめいたものがあるのかもしれない。


 そのあと少し4人で話をし、どこに行くのかとか、ランクは幾らなのか聞いた。

 そして、ひと段落したところで、シャルステナが話しかけたきた。


「レイ、魔石と素材の回収終わったよ」


 そう話しかけてきたシャルステナに、男二人がポーと見惚れる。


 シャルステナの容姿は年を重ねる事に磨きがかかってきていた。背が伸び長い髪も前より遥かに彼女らしく、そして美しくなった。

 大人の女性に変わっていっていると言ったら良いだろうか?

 顔も段々と幼さが抜け落ちて、大人へと変わっていっている様に見える。


 そんな彼女を至近距離で見た男は大概こうなる。俺も気持ちはわかるから何もしないが、将来手を出そうと画策して来る奴がいそうで心配になる。どこにでも悪い奴はいるからな。そんな悪意から俺が彼女を守らないとと、彼氏である俺はいつも思うのだ。


「ありがと。じゃ、俺たちまだ依頼があるから、護衛頑張ってな」


 そう言って話を切り上げ、去ろうとすると、


「ま、待って!」


 とリーダーの男が引き止めてきた。


「あ、あの、あなたのお名前を教えてください‼︎そ、それと、で、出来れば今日しょ、食事にでも…」

「ああん⁉︎」


 俺は輩のように詰め寄った。殺気を滲ませ凄む俺にリーダーの男はひぃと怯え後ずさる。


「なにシャルに手出そうとしてんだ⁉︎殺すぞ⁉︎」

「れ、レイ、怖がってる、怖がってるから」


 そう言ってシャルステナは俺を止めようとする。しかし、簡単に止まるわけにはいかない。シャルステナを悪意から守らなければならないからだ。

 そう、これは嫉妬ではない。彼女を守るためなのだ。


 必死に止めるシャルステナ。それでも止まらない俺から逃げる様にリーダーの男は逃げた。それに続く様にもう一人の男も逃げ、残された女冒険者は若干羨ましそうな視線をシャルステナに向けてから、ゆっくりと二人の後を追った。


 ふう、シャルステナを守れたか。

 俺は怒りを収め、ホッと胸をなでおろす。


 男冒険者二人は岩陰に隠れ、それを女冒険者が引っ張り出そうと奮闘する中、商人の男が荷車から降り、俺たちの元へ近づいて来た。


「遅くなりましたが、助けて頂きありがとうございます。何分商人なものでこういった争い事には不慣れでございまして、少々腰を抜かしておりました。お恥ずかしい」


 中年の商人は子供だからと舐める様な仕草はせず、きちんとした話し方で、礼を述べた。


「こっちも依頼だったんで、気にしないでください」

「全員若いのに相当な手練れのようだ。どなたかうちで雇われてもらえませんか?」

「俺は遠慮しておきます。他は……」


 俺は即答で断り、他のメンバーに関しては振り向く事で自分で言えと伝える。


「私はレイについていくので、やめておきます」

「僕もやめとく〜」

「あたしも〜」

「…だそうです」

「そうですか。残念ですな」


 断られる事がわかっていたのか、言葉とは裏腹にそんな様子は微塵も感じさせず呟くと、商人はさらに言葉を続けた。


「では、せめてこの先の村まで護衛して頂けませんか?無論、報酬は出します」

「すいません。他にも依頼があるので」


 そう俺は断ろうとした。しかし、尚も商人は食い下がる。


「それが終わってからでも構いませんよ?見た所あれ程の大群を相手に、貴方達は誰一人かすり傷はおろか疲れてさえもいない。このまま村に行くより、貴方達のパーティの後を付いて行く方が安全というものです」


 こう言われては俺に断る理由はない。少しでも報酬は欲しいところだし、今日はあの村に戻るつもりだから不都合もない。


「あなたがそれでいいなら構いませんが……ドーンワームと戦う事になりますよ?」

「尚更頼もしいですね」


 先に俺たちの討伐対象の中で危険がありそうな相手を伝えたが、それでも彼は依頼をしたいようだ。

 断る理由もないので、俺はそれを了承し、また荒野をあてもなく彷徨いはじめた。


 〜〜


「な、なぁ、レイはシャルステナちゃんの彼氏なのか?」

「ああ。手出したら殺すからな?」

「し、しねぇよ」

「お、俺も」


 俺の脅しに怯える二人。

 この二人の名前はリーダーの方はデュラン、もう一人はハング。そして、この三人の中で唯一の女性冒険者はアルルというらしい。将来このままでは三角関係に突入しそうなパーティ構成だ。


 みなDランクにあがったばかりのニュービー達で、年は俺たちより3つ上。この世界では15歳で成人とみなされるため、すでに三人は成人した大人という事になる。

 ただ、高校生を思い浮かべてもらえばわかると思うが、まだまだ子供感が抜けきっていない。なんちゃって成人だ。


 そんななんちゃって成人達と、一緒に護衛する事になり、必然会話をする事になる。

 すると出るわ出るわ。魔物が。会話を始めようとすると出てくる。そのため、今までまともに会話出来ずにいた。


 今は昼時のため、昼食休憩だ。

 しかし、護衛依頼の最中であるため、全員でとはいかない。なら、パーティで分けるかといえば、不安が残る。必然、二パーティ入り混じって交代で休憩をとることになる。

 そうして、男と女+ハクに分かれての食事となった。


「三人はどこから来たんだ?」

「こっから南の方にある、海が見える街から来たんだ」

「海?えらく遠いな。よく三人で来れたもんだ」


 いっちゃ悪いが、その距離を三人だけで歩いてこれる程の実力があるとは思わない。

 途中で魔物にやられるのが関の山だろう。


「もう一人いたんだ、ほんとは」

「……悪い。気が回らなかった」


 俺はデュランの言葉を仲間が死んだという意味で受け取った。

 よくある事だ。冒険者にとっては死は隣に立って一緒に歩いている様なものなのだ。実際、俺も王都のギルドに出入りする様になってから、何度も知り合いが死んだ。ほんの二三言話しただけだが、それでも思うところはある。

 こうして仲間が死ぬ事もあるんだと、俺は自分に置き換えて、仲間を失い嘆く冒険者達を見ていた。


 思えば初めてそれを見た時、俺は冒険者の現実を見たのかもしれない。それまでは夢見がちで、ああしてこうしてと妄想ばかりしていた俺だが、冒険者の現実を見るようになった。

 より一層貪欲になって知識を集めた。それが自分を仲間を守る事に繋がると思ったから。


 そんな風に回想をしていると、デュランは苦笑いで否定してきた。


「いや、違うんだ。そいつは死んでなくて…」

「デュランとケンカして出てったんだ。アーシュって奴なんだけど、そいつがうちの中で一番強かったからさ、俺たちでもここまで来れたんだけど……」

「なるほど。そいつはパーティとしては痛手だな」


 なんだ死んだんじゃないのか。俺のシリアスな思考を返せ。


「まっ、痴話喧嘩みたいなもんだからすぐ戻ってくるさ」


 ハングはそう軽く言った。慣れているかのようだった。


「ち、痴話喧嘩じゃない!あいつが勝手に訳のわからない事を言ってキレて出てっただけだ」


 デュランは立ち上がって大声で否定した。それを見上げる様にして見ていた俺にハングがコソコソ耳打ちしてくる。


「あいつ可愛い子見たらすぐナンパする癖があってな。その度に昔からこんな風に痴話喧嘩してるんだよ」

「なるほど」


 俺もトーンを落とし頷く。デュランは自分が如何に悪くないか力説していて俺たちのコソコソ話には気が付いていないようだった。

 そして、デュランの力説をゴルドはボケーとした表情で聞いていた。心底どうでも良さそうだ。あそこまで興味なさそうにされると、相手も逆に気持ち良さそうだ。


「レイ〜、この人の話つまんないよ〜」

「グハッ」

「ゴルド、思っても言わないのが気を使うって事なんだ」

「グハッ!」

「いや、ほんとそうだよね。俺も常日頃からデュランには気を使いまくってるよ」

「グハッ‼︎」


 ゴルドのストレートな物言いを皮切りにデュランイジメが始まった。デュランは徐々にダメージを蓄積させ、ダウンした。

 かなりのダメージがあったようで、デュランはその後ピクリとも動かなかった。


「シャル交代だ」

「あ、うん。じゃあ、後よろしくね」


 皆食事は食べ終え、さらに一息つけたので、シャルステナ達と交代しようと、未だ昏睡中のデュランをハングが引きずり、それぞれ持ち場に着く。

 シャルステナ達と馬車を囲むように立っているため、会話をする相手もいない。

 そして、穏やかな荒野。


「はぁぁ、……ねむ」


 食後の眠気と退屈から来る眠気のダブルパンチに俺は欠伸を漏らす。せめて退屈だけでも紛らわせようと、千里眼と透視を使い周囲を見渡した。


 ほぼ平らな荒野を浮き出た岩石まで透視して、焦点を変えながらあたりを一望した。

 あー、そういえばウサギと木も探さないとな。

 明日に回そうかと思っていたが、昼までにコヨーテを見つけられたし、ドーンワームが出てくるまでそれでも探すかと、目的を持って視界を切り替えていく。


「あっちか。こっちにもあるな」


 すぐに見つかったのはライクの木。あたらこちらに点在する様にある木の方向を足元の地面にメモしていく。

 やっぱりこの組み合わせは索敵には向いていないな。一々焦点を変えなきゃ見えないから、動く相手だと見過ごしてしまう。地道に空間で探すしかないな。


 ひと通りメモが終わると、振り返りシャルステナ達の様子を見る。三人と一匹で楽しそうに会話しながらも、少しずつ食事を口に運んでいるようだ。

 まだ結構時間ありそうだな。


「シャル、ちょっといいか?」

「何?」

「向こうにライクの木があるからちょっと取ってくる。ワームが来たら、シャルが指揮とってやっといてくれ」

「うん。わかった。すぐ帰ってくるんでしょ?」

「ああ」


 シャルステナに指揮権を譲り、暇つぶしにライクの木へと向かう。護衛はゴルドがいるから問題ないだろう。馬車のすぐそばにはシャルステナをはじめアンナとハクもいる事だし、万が一も起こり得ないだろう。

異夢世界をお読みいただきありがとうございます!


今日はもう一話投稿出来ると思います!

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