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59.失ったものは戻らない

「セルナ……」


 夢から覚めた俺はボーと天井を見つめ呟いた。


 俺が見たのはレイジとセルナの記憶。いや、そこにあるべき感情も思いも何もない、ただの記録映像だ。


 いわば第三者の立場である俺には彼女の死を、心の底から悲しむ事なんて出来ない…………はずだ。


 なのにどうしてこんなに辛いんだろう。苦しくて、痛くて、胸が張り裂けそうな程辛いのはどうしてなんだろう。


 俺は彼女の事を何一つとして覚えてもいないのに……

 テレビで流れてくる悲しいお話を見たのと変わらないはずなのに……どうして俺はこんなにも悲しいんだろうか?


 その答えは一つしか思い付かなかった。

 俺は彼女の事を覚えているんだ。記憶じゃない。心がセルナと過ごした日々を、彼女に対しての思いを覚えているんだ。


「目を覚ましたんだね!レイ!」

「シャル…?」


 凄く久しぶりに見た気がするシャルステナの顔。シャルステナは満面の笑みを浮かべている。

 セルナの最後の顔も笑ってた。彼女はどうして死ぬ前にあんな笑顔を見せる事が出来たのだろうか?


 セルナの人生はお世辞にも良いものだったとは思えなかった。幼い頃に両親を亡くし、自分も難病にかかり短い人生を閉じた。

 あの笑顔はなんだったんだろう。

 あれは誰に対して、どんな思いで向けた笑顔だったのだろうか?


 誰……一人しかいない。レイジ、つまり俺に向けて。


 何を思って笑顔を見せたのだろう?

 彼女の最後の言葉、途中で途切れてしまったあの言葉がきっとあの笑顔を作ったんだ。

『次は本当の家族に………』

 なりたい。

 そう言葉が続いたのではないか?

 セルナはきっと死の先を考えて、笑顔を見せたんだ。俺と本当の家族になれる事を願って、死んだ。


「えっ…?ど、どうしたのレイ?」

「えっ…あ、涙…?」


 それは悲しみ涙か、それとも最後にセルナに、家族に会えた事への嬉し涙か、あるいはその両方……

 セルナも俺の事を家族の様に思ってくれていたに違いない。

 そんなセルナの最後に立ち会う事が出来た事が嬉しかったんだろう、レイジは。


 死の間際に家族に会いたくないとセルナは思わなかっただろう。きっと会いたかったはずだ。

 顔を合わせただけ。だけどきっとあの二人には救いになったはずだ。少なくともセルナにとっては……笑顔を見せた理由の一つであったに違いない。


「悪いシャル。何でもない…」


 涙を拭き、笑顔を見せる。それは演劇スキルを持っているとは思えない程下手で、作り笑いしている事が一目で分かる様な笑顔だった。


 案の定、無理をしていると感じたシャルステナは心配そうに見つめ、少し困った様な表情を浮かべていた。


 シャルステナは遅くなった事に少し怒りを覚えていた。

 だが、王都で二人の帰りを待っていると、ハクが必死の形相で飛んで来た。聞けばレイが崖から落ちて死にかけているらしい。それで慌ててハクの背中に乗って、怪我したレイを運び込んだ村の宿にやって来た。

 怪我は其れ程酷いものではなかった。頭を強く打ったせいで気を失っているようだが、体は打撲程度のものだった。そのことに安堵したのも束の間、治療したのにレイが目を覚まさなかった。数日経っても目を覚まさず、一週間経ってやっと目を覚ましたと思ったら、辛そうに泣いていた。


 シャルステナは心配になったが、何故泣いているのか分からず困り果てる。どんな言葉を掛けていいかわからなかった。


「……何かあったの?」

「何も……ただ悲しんでるんだ。俺でない俺が…」


 シャルステナにはその言葉の意味がわからなかった。余計困った顔をしている。


 俺はどう話していいか分からず、そんな答えしか言えなかった。俺の中でまだ整理もついていない。俺はレイなのか、それともレイジなのか、その答えが分かるまで俺は自分から打ち明ける事が出来ないかもしれない。


「ピィ」

「ありがとうハク。もう大丈夫だから」


 ハクは慰めようと頭を擦り付ける。甘えている様な動きだが、ハクなりに慰めてくれているんだ。

 そんなハクを撫でながら、俺は考える。


 ノルドは言っていた。俺がセーラを見捨てられないのはセルナとの記憶が原因だと。

 単純に考えれば、セルナと同じ境遇のあの子を俺は見捨てられないということなのだろう。


 だが、それを言って来たのがノルドと言う事が問題だ。あいつを常識で考えるべきではない。神と同等、あるいはそれ以上の力を持っている。

 俺を転生させるだけの力を最低でも持ってる。


 それに恐らくだが、セルナとの記憶を奪ったのはあいつだ。

 俺が忘れているだけなら、今思い出せていいはずなんだ。だけど、俺は何一つ思い出せない。それはきっと俺の中にセルナとの記憶が存在しないからだ。


 考えられるのは2つ。

 俺が記憶を本当の意味で失った。あるいは奪われた。

 前者の場合、失った瞬間はセルナを亡くした瞬間だろう。だけど、記憶を失うなんて事、そう簡単に起こるか?

 俺も前に記憶を無くした。それは限界を超えていたからだ。だが、全てを無くしたわけではない。幾つかの記憶が断片的に消えている様なものだ。

 レイジはあの時限界を超えていたか?そうは見えなかった。たとえ、超えていたとしても、全てを失うなんてあり得るのか?

 むしろ、そう考えるならば誰かに奪われたと考えた方が自然だ。そして、それが出来るとしたらノルドしかいない。


 じゃあ、何でノルドは俺の記憶を奪った?

 ノルドは前から俺を助けてくれていた。その目的は自分の解放。そして、もう一つは何かわからないが、分かるのは俺でないといけないということ。


 つまり、奴の目的の為に俺は絶対に欠かせない重要なピースであるという事だ。


 そんな俺の不利益になる事をあいつがするだろうか?

 ならば、ノルドは俺の為に記憶を奪った事になる。それはどういう意図がある?

 セルナを失ったレイジは酷く悲しんでいた。それを取り除きたかった?何故?それはセルナと過ごした日々の全てを奪う程価値のあるものだったのか?

 その価値があるとすれば、俺と言うピースが欠けたものになる事。つまり、俺がノルドの目的を果たす事が出来なくなるという事ではないか?

 悲しみでレイジが壊れかけていた。だから、記憶を奪った。それがノルドのやった事か?

 なら、何故それを俺に教えた?

 俺に疑いを持たれるとは思わなかったのか?

 そんなはずない。じゃあ今度の目的は何だ?

 あいつは何故俺にこんな夢を見せたんだ?

 単にセーラを見捨てられない理由を教えてくれただけか?

 そもそも、それは何だ?


 考えが堂々巡りになった。幾ら考えても、それ以上の事を思い付きはせず、ただ悪戯に時間だけが過ぎていく。

 ハクはずっと慰めてくれているが、シャルステナは俺が頭の中で何か考えている事を察して静かに見守っていた。


 そんな風に時間だけが過ぎていく中、部屋の扉がゆっくりと開いた。

 静かに扉を開けて入ってきたのはセーラだった。その顔は少し決まり悪そうな顔をしていた。


「…………」


 俺は入ってきたセーラに何も言わなかった。俺自身まだ整理がついてなかったからだ。

 セーラはそんな無言の視線を見て、ビクッと体を震わせた。俺が怒っていると感じたのだろう。


「あ、あの、ごめんなさい……」

「……それは何に?」


 意地の悪い聞き方だ。だけど、聞いておかなければならないと思った。


「えっと、それは、私のせいで怪我をさせちゃった事に……」

「そうか。それで?セーラはまだ死にたい?」

「…………死にたくない……だけど、私はずっと生きてはいられないから……苦しい思いだけするのなら………楽になりたい…」


 楽になりたいか…

 俺はこれを間違ってると感じた。だけど、それは俺の価値観であり、セーラのものではない。

 日本にも安楽死というものがあった。それと彼女の考えは似ている。だけど、一つだけ違う。彼女には助かる術がある。確かに厳しいものだ。だが、可能性はゼロじゃない。それを彼女は諦めてしまっている。


「そっか。セーラにとって生きる事は苦しい事しかないものなんだな。美味しいものを食べても、誰かと話をしても、面白い事があっても、セーラにとっては全部苦しい事なんだな」

「…違う……」

「何が違う?だって諦めたんだろ?生きるのが苦しいから諦めたんだろ?生きていても他に何もないんだろ?」

「違う違う違う違う‼︎私だって生きたい‼︎いっぱいしたい事だってある‼︎だけど!私には出来ないの‼︎」


 セーラはぶちまける様に大声で叫んだ。その叫びは悲痛なもので、本心をされけだしている様に感じられた。


「だから、諦めたんだって言ってるんだ。希望があるのに無理だと諦めてる」

「だって!神様も言ってた‼︎私はもう長くは生きれないって‼︎」

「神が死ぬと言ったから諦めた?えらく簡単に自分の命を諦められるんだな」

「だって、後二年で99なんて私には無理だし……世界樹になんて行けるはずかないもん…」


 セーラは辛そうにそう言った。自分の人生を諦めなければならなくなった理由を話すのは辛かった。改めて自分には希望がないんだと再確認する様なものだったから。


「それが間違ってる。セーラは自分を信じてやらないのか?私には出来るって」

「無理だよ……私には何も出来ないもん…」


 何一つまともに出来ない自分をどうして信じられるのとセーラは俺の言葉を否定する。


「何で出来ない?やろうとしてないだけだろ?」

「うるさいうるさいうるさぁぁい‼︎あなたに何がわかるの⁉︎ついこないだあったばかりなのに、何でそんな事ばっかり言うの⁉︎もう放っておいてよ‼︎」

「…………」


 俺はそれに答える言葉を持っていなかった。セーラに希望を持って欲しくて言葉を繋いできたが、俺自身がセーラを助けたい訳ではない。レイジの心がそれをさせようとしてる。


 まるで俺の意思を曲げる様なそれを俺は気に食わなかった。


 だけど、違うよな。あいつも俺なんだ。

 俺が俺の心の叫びを聞いてやらないでどうするんだ。それでは自分の心の叫びを聞いてやらないセーラと同じではないか。


「……俺の心がセーラを助けろと命じるからだ」

「な、何で…」

「さぁな。もう無理ならセーラは何もしなくていい。俺がどうにかしてやる」


 俺は自分の心に従い覚悟を決めた。

 世界樹に行く。そして、セーラが死ぬ前に戻ってくる。


「………」


 セーラは何も言わなかった。涙を必死に堪えている様な顔だ。

 嬉しいのかもしれない。彼女も死にたい訳ではないのだ。だけど、自分では無理だと諦めてしまっただけなんだ。


「レイ、どうする気?」

「ま、世界樹に行くしかないわな。それで何とか間に合わせる」


 どうやってセーラを助ける気か、また勝手に無茶される前に聞いて置こうとシャルステナが聞いてきた。それに計画性もクソもない考えを教える。


「幾ら何でもそれは……」

「待って!私も行く!」


 シャルステナの言葉に割り込む様にセーラが言った。それは希望にしがみつくかの様な、さっきまでの悲痛な叫びではない。

 生きたいという意思を必死に伝えようとしているように聞こえた。


「やっぱり諦めたくない!私一人じゃ無理だけど、だけど、お願い!私は…、私はまだ生きていたいの!」

「……そっか。いいよ」

「ちょっとレイ」


 あっさりと許可を出した俺の腕を掴み、シャルステナは部屋の外に連れ出した。


「なんだよ、いい感じに纏まってたじゃないか」

「あの子病気なんでしょ?世界樹まで連れてくなんて無理よ」


 声量を落とし、中にいるセーラに聞こえない様に話をし始める。


「無理かどうかはやってみないとわかんないだろ?それにセーラが付いて来てくれたら帰りの時間を考えなくていい」

「それはそうかもしれないけど……」


 行き帰りで歩いて二年以上。飛んでいけばおそらく一年程。セーラが付いてくるなら片道だけでいいから半年。

 単純に考えても十分間に合う。


「それにセーラが付いてくるなら、別に世界樹に行かなくてもいいかもしれない」

「えっ?どうして?」

「進化したら病気が治るんだ。後79レベであの子は進化出来る。あの子一人じゃ無理でも、俺がサポートすればこの一年でどうにか99まで持っていけると思うんだ」


 俺がセーラのレベルからカンストするまではおよそ二年かかった。

 だけど、それを短縮する方法を俺は知っている。それは魔物を狩ればいいのだ。当時の俺は魔物を精力的に狩っていた訳ではない。それで二年なら、サポートすればセーラを一年でカンストさせる事は不可能ではないはずだ。


「それこそ無理よ。あの子は私やレイとは違うのよ?」

「じゃ、ウサギにするまでさ」


 確かにシャルステナのいう事も一理ある。異常な俺基準で考えるべきではないのかもしれない。

 だけど、ゴルドやアンナが俺とシャルステナと関わった事で普通ではあり得ないレベルまできた事を考えれば、やはり不可能ではないと俺は思う。

 いや、可能にする。俺が諦めるわけにはいかない。それはセーラの命を諦める事と同義なのだから。


「ウサギ?」

「ま、何にせよ、セーラが行きたいって言ってるんだ。俺たちがどうこう言う事じゃないさ」


 セーラは自分で自分の命を助けようとしてるんだ。その事に俺らがどうこう言う事はない。手を貸してやるだけでいい。


 俺は話は終わりだと部屋に戻る。部屋に戻るとセーラはこちらを不安そうに見つめてきていた。

 シャルステナはまだ納得いかないといった感じだったが、この場でそれを話す気はもうないようだ。


「ピィイ」

「ん?なんだ?今日はえらく甘えてくるな」

『親悲しい。ハクも』


 ハクはまだ俺が悲しんでいる事に気が付き慰めてくれているようだ。

 セーラと話しながらも、俺の心は未だ晴れてはいなかった。一度目覚めてしまった感情はそう簡単には消えてくれないようだ。


「よし、じゃあ世界樹に行こうか」

「うん!」

「ピィイ!」


 セーラとハクは元気に返事をする。しかし、シャルステナが待ったをかけてきた。


「まって!武闘大会はどうするの⁉︎もうレイが出る事は決まってるんだよ⁉︎」

「あっ……」


 忘れてた……

 出ないって言ったらギルク怒るぞ?発狂しそうなぐらい怒るぞ、きっと。

 それにディクの事もあるし、どうしよ……

 ここは困った時のエロ王子は、今回頼れないから、シャルステナに頼もう。


「シャル〜」

「いや、私にそんな目向けられても……ギルク、武闘大会の虫だからね。きっと怒るよ?」

「だよな、だよな?面白にキレられるとかまじ勘弁なんだけど……」


 俺のプライドが傷つく。きっと逆ギレしてしまうだろう。


「レイが悪いんでしょ?何にも考えてないから…」

「失敬な。俺はいつも熟考に熟考を重ねて行動してるぞ」

「嘘ばっかり……それは何か仕出かす時だけでしょ?」


 そう言われると言い返せないな。俺は苦笑いし、誤魔化そうとする。

 そこで武闘大会を知らないのか不思議そうな顔をしていたセーラが聞いてきた。


「武闘大会って何?」

「簡単に言えば、学校別対抗戦だな。なんか色々やって、どの学校が一番か決めるんだ」

「うわっ、適当…」

「いやだって、どんな内容で、まだ自分が何に出るかも知らないんだぞ?」


 トーナメント以外何があるのか知らないのに一杯出るんだぞ?

 一体どこの馬鹿なんだって話だよ。いや、俺なんだけどさ……


「えっ?私レイにこれでいいって確認したよね?」

「あー、あの時は、ギルクが横でうるさかったから耳栓してて聞いてなかった」


 本当信じられないぐらいうるさかった。これとこれでいいよねとシャルステナ一人なら5分で終わる内容を何時間もかけて逐一詳細に変身しようとした時のテンションで話されたらたまんないよ。

 すぐに逃げたさ。

 無音の世界でこいつまだ喋ってんのかと呆れたもんだ。


「殴っていい?」

「どうぞ、ギルクを」


 笑顔に青筋を携え聞いてきたシャルステナに、ここにいないギルクを差し出す。生贄だ。

 そもそもあいつが悪いんだから、向こうを殴って欲しい。俺は逃げただけだ。例え、シャルステナがその間ずっと聞いていたとしても……

 シャルステナにも耳栓あげたらよかったな。


「私も出たーい!」

「いやいや、無理だから。学校行ってないと」

「えー‼︎レイお兄さんだけずるーい!」

「それを言ったらシャルもだぞ?」


 元気を取り戻したセーラが楽しそうに笑う。言葉とは違いその顔にはにこやかな笑顔が張り付いていた。セーラは彼女なりに俺たちに歩み寄ろうとしてるのかもしれない。


「シャルおねぇさんもずるーい!キャハハハ!」


 本当に楽しそうに子供らしい笑顔を見せるセーラ。

 そんなセーラに俺とシャルステナは目を合わせ小さく笑い声を漏らす。

 よかった。元気が出たみたいで。


「けど、本当にどうするの?棄権する?事情が事情だからなんとか私が学校に話してみるよ」

「うーん、やっぱ間に合わないかな?パーと行って、ピューって帰って来れないかな?」

「あと5ヶ月もないんだよ?流石にレイでも無理だよ」


 あと5ヶ月、片道2ヶ月半。

 歩いて1年の距離、飛んでいけば恐らく半年未満でいける。だけど流石にそれを半分に出来る程のスピードは出せない。せいぜい歩くスピードの1.5倍が限界だろう。それでも4ヶ月×2は必要だ。

 どう考えても間に合わないよな。

 武闘大会を諦めるか、方法を変えるつまり、武闘大会が終わってから向かうか、レベルを上げるかだな。


「うーん……」

「セーラは大丈夫だよ?頑張って耐えるから、時間はあるよ。二年は生きられるんでしょ?」

「いやでもな…」

「それにね、セーラも武闘大会見てみたい!それが終わってからでいいよ!レイお兄さんは武闘大会に出て!」


 気を使わせてしまったようだ。それも自分の命を賭けるかの様な気遣い。

 そんな彼女の気遣いを断る事も出来ず、俺は承諾してしまう。


「ありがとうセーラ。武闘大会も優勝するし、セーラの事も必ず助ける。約束だ」

「うん‼︎」


 よし、そうと決まれば武闘大会に向けて準備するぞ。最近サボってたからな。

 明日からは本気で修行しよう。


 セーラの事はそれが終わってからだ。半年時間を無駄にしてしまうが、大丈夫だ。

 きっと俺なら出来る。


 〜〜


「……こんにちは」

『よく来た。落ち着いたか?』


 俺は竜神のところへ来ていた。

 こないだケンカ別れみたくなっていたため、少し気まずさがあったが、何度も助けて貰った竜神に義理は果たしておかないとと思い、足を運んだ。


「はい。けど、俺はセーラを助ける事にしました」

『……我の言う事が理解できなかったか?言っておくが、我ら竜の力は貸さぬぞ。それをすればキリがない事は我は理解しておるからの』

「そうですね。キリがないのは頭では理解しているつもりですよ。だけど、俺の心がどうしても理解してくれないみたいなんで、それに従う事にしました」

『…若いな……。一つ覚えておくといい。其方は歳に似合わぬ力を有している。ゆめゆめその力の使い方を間違えるでないぞ』

「……わかってますよ」


 言われなくても、力の使い方は弁えてるつもりだ。


 俺は竜神の言葉を軽く受け取った。けど、竜神はもっと深い意味でそう言ったんだ。それに俺は気が付かなかった。


 後にして思えば、この時既に俺は調子に乗ってたんだ。

 何でも一人で出来ると、信じて疑っていなかった。



いよいよ武闘大会編突入。

そのプロローグ的なものを書いたので、キャラ紹介をパパッと書いて、夕方頃に投稿したいと思います。

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[気になる点] 転生で記憶が残ることのほうが異常なのに、どうして奪われたなんて発想になるんだろう? あえて記憶保護でもしない限りは消えるよね…? 夢の人も記憶残ってるの意外そうだったし
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