55.病
修学旅行最終日。色々とあった修学旅行も後は帰るだけとなった。
今は皆帰る準備をしたり、最後に海へ遊びに行ったりしている。
そんな中、俺はギルクを捕まえ、シャルステナと付き合う事になったと話した。ギルクには報告しておかなくては、という義理ではなく単なる自慢だ。誰かに自慢したかったのだ。
「…という事なんだ」
「死ね」
俺の一方的な自慢を聞かされたギルクから辛辣なお言葉をもらった。
「わざわざ呼び出してまで、自慢するか?俺は帰り支度で忙しいんだ」
そう不機嫌になりながら、ギルクは去っていった。俺はもう言いたい事は言ったので、ギルクを引き止めはしなかった。
用は済んだ。後は好きにしてくれ。
「俺も帰る準備しないとな」
ギルクがいなくなったので、部屋の荷物を片付ける。と言っても、元々、使い終わったら収納する癖があったため、残っていた荷物は殆どなかったのだ。そのため、パッパッと収納していき、すぐに帰り支度を終えた。
そうこうしている内に、ウェアリーゼと旅に出ていたハクが帰ってきた。実に短い旅だったな。
「ピィイ!」(ただいま!)
「おかえり。どこ行ってたんだ?」
「ピィ」(島)
島に行くなら別にここでよかっただろ。そう思ったが、竜同士仲良く遊びに行ったのだと思って、何も言わなかった。
ハク達が行った島が無人島ならいいけどなぁ。人がいたら大騒ぎだっただろう。竜が二匹、しかも片方は成竜。大混乱が起きないわけがない。無人島であった事を祈るばかりだ。
「わかってると思うけど、今日帰るからな。準備しとけよ。ま、お前は何も持ってないだろうけど…」
『持ってる』
「はっ?」
今、ハクが喋った気が……
いや、まさかな。無意識に竜語を変換しちゃったんだよ、きっと。
『これ、持ってる』
ハクは光る石を見せてきた。宝石だ。どこで見つけてきたのだろうか。普段なら聞くところだ。
しかし、今はそんな事はどうでもいい。
喋ってる……
人間の言葉を喋ってる……
「ハク!」
俺はハクを抱き抱えた。嬉しかったのだ。
ウェアリーゼみたいに、いつになったら話せるのだろうと思っていた。成竜にならないと無理なのかと思ったりしていた。だから、嬉しかった。やっと、ハクが話せる様になった。
『痛い』
「ハク話せる様になったんだな!こうしちゃいられない。みんなにも知らせないと」
「ピィ…」(眠い)
ハクは眠いから嫌だと言った。しかし、それを無視して俺はハクを連れ回した。まずは家族の元へ行き、ハクの成長をみんなで喜び、その後シャルステナの部屋に向かった。
「シャル、大変だ!一大事だ!」
「ど、どうしたの⁉︎」
慌てて出て来たシャルステナは顔が赤かった。それは俺の顔を見ると余計に濃くなった。恥ずかしいみたいだ。いつものシャルステナだな。エロ魔女タイムは終了か〜。
「ハクが、ハクが!」
「ハクがどうしたの⁉︎」
俺の慌てっぷりが伝わったのか、シャルステナも少し取り乱した様子で聞いてきた。心配の色が見えた。
「喋れる様になった‼︎」
「……はい?」
「だから、ハクが人間の言葉を話したんだ!」
「あぁ、そういう事……心配して損したわ…」
脱力するシャルステナ。しかし、実際に聞くと俺と同じく、騒ぎ立てる。
『親、慌て過ぎ』
「ホントだ‼︎話してる!凄い!」
「だろ?今日はお祝いだ!」
そうして部屋の前で二人で騒ぎ始める。やがて、その騒ぎを聞きつけてやって来たアンナ達も加わった。
みんなハクの成長を喜んでくれた。その中でハクだけは眠そうに欠伸をしていた。怠惰な所は変わらないな。
〜〜
王都に帰ってきた。
ギルクとリスリットの二人に、口の中は嫌だと散々ごねられたので、帰りは船に括り付けてあげた。括った縄の辺りで模擬戦していたら、物凄い悲鳴をあげていた。面白くて、わざと縄すれすれに剣を下ろしてやった。彼らの絶叫は耳に新しい。
王都に着く前にシエラ村近辺で母さん達を下ろした後、ほんの一瞬だったが二人を船に乗せてあげた。二人ともぐったりした様子で、ようやく乗れた船についての感想はなく、横たわっていたが……
遊び疲れてしまったようだ。修学旅行を楽しんでもらえたようで何よりである。
王都に着いた後は、忘れ物するなよと言って、全員船から下ろした。ここまで運んで来てくれたウェアリーゼにお礼を言って全員下船したところで、解散を言い渡し、殆どの者は家路についた。
残ったのは、シャルステナ、ハク、シーテラだけだ。俺が降りてくるのを待ってくれているみたいだ。
「ごめん、先帰っててくれ。俺は明日帰るから」
「えっ?どこ行くの?」
「ウェアリーゼ送ってくる。道分からないんだって」
「ええっと、明日帰って来れるの?それは…」
ウェアリーゼを送る事には文句はないようだ。ここまで好意で送り迎えしてくれた親切な竜だ。文句が出る筈がない。
代わりに、明日帰って来れるのか心配していた。
「うーん、明後日になるかもしれないな」
「……うん、もういいわ。いってらっしゃい。二人は私が見とくわ」
「ああ、頼む」
よくよく考えれば、明日帰ってくるには寝ずの飛行が必須だった。明後日にしよう。それを言葉にすると、シャルステナは諦めたと言った顔で、二人の面倒を見てくれると言ってきた。なので、シャルステナにお任せする事にした。
ハクとシーテラだけじゃ不安だ。不安しかない。誰かに面倒を見てもらっていないとオチオチ眠れもしない。
そんな風に考えていると、ハクが自分も行くと言ってきた。
「ピィイ!」(ハクも行く!)
「ああ、いいぞ」
ハクは飛ぶ事が出来るので、一緒に行くのは構わない。帰りも飛んで来れるから、時間も変わらないしな。むしろ、足手まといは俺だろう。ずっと飛んで生活してきたハクの方が、飛ぶのは上手い筈だ。俺はまだまだ下手くそだからな。
『マスター、私も行きます』
「悪いけど、シーテラは残ってくれ。飛べないと明後日に帰ってこれないからな」
『わかりました。ここで待っています』
「ちゃんとシャルのいう事聞けよ?」
少し不安を覚えたので、シャルステナのいう事を聞くように言い付ける。
ここで待つとは、王都の城門前で待つという意味の気がしたのだ。不安だ。なるべく早く帰ってこよう。
〜〜
「ウェアリーゼ、本当にありがとう」
『気にするな。妾も楽しかった。旅行というものは初めてだったが、普段とは異なる生活、景色を楽しむという事を知れた。妾達竜の文化にはないものだ。これを機に取り入れるとしよう』
ウェアリーゼは旅行を気に入ったようだ。何百年も竜の谷で生活していたから、余計に外の景色や、違った生活を送る事が楽しかったのかもしれない。
だが、竜の文化に取り入れるというのは待って頂きたい。旅行先が大変な事になる。無人の場所を選んで行ってもらいたいものだ。
「これ、一応お礼」
前もって用意してあったお礼を収納から取り出す。
『有難く頂こう。して、これは何じゃ?』
「人間の食べ物なんだけど、甘くて美味しいよ」
俺が渡したのは透明で金色に輝く竜だ。
初めは何か使えそうな物をあげようと思っていたのだが、竜が使えそうな物が思い付かなった。ならばと、食べ物を作ろうと思ったのだが、サイズが違い過ぎて、凝った料理は作れそうになかった。
それで、どうしようかと悩んだ挙句、大量の砂糖を買い込み、火で熱してべっこう飴を作った。初めは光る岩みたいな形だった。それを芸術スキルで竜の形に加工したのだ。それがこの輝く竜だ。
『これは食べられるのか……勿体無い気がするのう』
「日差しに当てたり、暑い所に置かなければ、形は持つと思うよ。食べれるかはちょっとわかんないけど…」
賞味期限なんて考えてないから、いつまで持つのかは分からない。だけど、形は溶かしたりしない限りは崩れたりはしないだろう。
『そうか。では、妾の寝床にでも置いておこう。彼処なら、常に凍っておるからの』
氷竜であるウェアリーゼは寒い、いや冷たい場所を好む。ならば、火竜の寝床は火山のようなところだろうか?谷の中には一体どれだけの過酷な環境が隠れているのだろうか?
余り谷の中にはお邪魔したくないな。
ウェアリーゼと別れた後、俺とハクは近くの町で宿を取った。竜の谷についた時には、夕日が沈みかけていたのだ。なので、今日帰るのは諦め、明日帰ろうと宿を取った。
今日はゆっくり寝て、明日の朝出れば、明後日には着くだろう。
〜〜
朝、日の出と共に目を覚ました。そして、寝ているハクを叩き起こし、朝食を取りに宿の一階に下りた。
テーブルに腰掛け、朝ご飯を頼む。朝食は別料金だそうだ。その方が俺にも嬉しい。好きな分だけ食べられるからだ。
「朝が早いんだねぇ、坊やは」
朝食を持ってきた宿の女将さん。ふくよかな体で、優しそうな人だ。
「中身がお爺さんなので」
「ははは、面白い坊やだ。坊やは確か王都に戻るんだってねぇ」
「はい。王立学院の生徒なので」
「そうかい。こんな辺境までよく来たもんだ」
「ええまぁ」
女将さんと軽く話しをしてから、朝食を食べ始める。ハクは話しをしている最中に食べ始めていた。礼儀を教えないといけないかもしれない。言葉を話すなら、人の礼儀を知ってもいいだろう。
食事を取った後、少しゆっくりしてから、部屋へと戻ろうとした。そこで、痩せこけた少女とすれ違った。この宿の子供だろうか?
その割には細い。女将さんと正反対だ。病気なのかもしれないな。可哀想に。
そんな事を考えながら、部屋へと戻った。
部屋に戻ると部屋を片付け、荷物を収納してから部屋を出て、チェックアウトしに受付に向かう。
「ゴホッゴホッ!」
苦しそうに咳き込む声が聞こえその方向を見ると、膝をついて口を抑える先程の少女がいた。
「大丈夫?」
「ゴホッゴホッ、す、すいません。大丈夫です」
そう言って、少女は弱々しく立ち上がり、フラフラと歩き出した。とても大丈夫な様には見えない。
俺は心配になりもう一度声を掛けようとした。しかし、それより早く少女の足が崩れた。
咄嗟の事で反応が遅れた俺は、少女が倒れるのを止めれなかった。少女はそのまま顔から床に倒れた。
「だ、大丈夫か⁉︎」
返事はない。
気を失っているようだ。頭を打ったからか、それとも病気のせいかは分からない。だけど、放置は出来そうにない。
少女を抱えると、女将さんのところへと向かった。この子が客なのか、ここの子供なのかは知らないが、女将さんに聞けば分かると思ったのだ。
「女将さん!この子が急に倒れたんです!」
「セーラ!」
朝食の準備をしていた女将さんは、少女を見るなり血相変えて、走り寄ってきた。その様子から、この子が宿屋の娘であると俺は推測した。
「取り敢えずこの子を寝かす所に……」
「ありがとう、坊や‼︎こっちの部屋に‼︎」
女将さんに案内され、奥へと通された。そこは生活感のある部屋で、宿の部屋とは違った。ここで女将さん達家族が生活をしているのだろう。
そして、部屋にあったベッドに少女を寝かした。顔色は悪い。医者に見せた方がいいんじゃないか?
「セーラ……」
心配そうに横になった少女の手を握る女将さん。
「この子、病気なんですか?凄く顔色が悪い様に見えますけど…」
「……数年前からね、肺を患ってるのよ、この子は」
「そうですか……」
肺か……
それは治るんだろうか?
この世界の医療はお世辞にも高いとは言えない。魔法がある分、怪我は治りやすい。例え、死に掛ける程の怪我をしたとしても、治癒魔法をそれなりに使えれば治す事が出来る。
だが、病気は違う。魔法で怪我を簡単に治せる代わりに、この世界では病気の治療が進んでいない。薬師と呼ばれる薬で病気の治療をする者たちはいる。だが、日本の医者のように、高度な技術を持っている訳ではない。せいぜい風邪や、二日酔いに効く薬しか作れない。
だから、この少女の様に肺を患ってしまえば、治すのは絶望的なのだ。治療法がない。いや、本当はあるのかもしれない。ここにないだけで。
大きな街、王都などに行けば、治療出来る人がいるかもしれない。
だが、こんな小さな村なら、治療法を探すどころか、薬師がいるのかさえ怪しい。
シエラ村にはいなかった。治癒術士が一人いただけだ。この村にもどちらか一方しかいないだろう。
「……この子はね、昔は元気で明るい子だったんだよ。だけど、この病気を患ってからは、外で遊ぶ事が出来なくなってね。だんだんと暗くなっていったんだ。近頃では、1日こうしてベッドの上で寝てるよ。もう……長くはないかもしれないわね」
そう辛そうにしながら、女将さんは話した。
「…治療法はないんですか?」
「ここにはないんだとさ……」
やっぱりこの村には、治せる人はいないのか。
こんな小さな少女が長くないのか…
どうにかしてやりたい。だけど、俺に何が出来るのだろう?治癒魔法も苦手、薬の知識も病気の知識もない。はっきり言って、役立たずだよな。
薬の材料が足りないとかなら、俺でもどうにか出来ただろうに…
そう上手くはいかないもんだよな。
竜神に聞いてみようか…?
ここなら近いし、あの物知りな神なら何か知ってるかもしれない。俺にはどうもこの少女を放置する事は出来なそうだ。
どうしてだろうか?
俺はお人良しだったのかな?
俺は黙ってそのまま離れた。期待させる様な事を言って、何もわからなかったら、心労をかけるだけだだろう。
だから、何も言わずに外に出た。
「ハク、先に帰っててくれるか?俺は竜神に会ってくる」
『どうして?』
「あの子、可哀想だろ?単なる自己満足ってのはわかってるんだけど、出来る事はしてやりたいんだ」
『ハクもしたい』
ハクも何かしてやりたいのか…
優しい竜に育ってくれているようで良かった。よく人を馬鹿にして笑ってるから心配だったが、根は優しい竜に成長してくれてるみたいだ。
「ハクはシャルに遅くなると伝えてから、王都で情報を集めて来てくれないか?あそこなら何か方法が見つかるかもしれない」
「ピィイ!」
竜神が知っているかはわからない。なら、王都でも情報を集めるべきだ。実を言うと、治せる薬には心当たりがある。世界樹の雫だ。あらゆる怪我、病を治すと言われている薬だ。
だけど、それが貰える場所は物凄く遠い。飛んで行ったとしても、今の俺の速度なら一年近くかかる。
そんな時間は今の俺にはないし、あったとしてもそれはやり過ぎている様に思えてならない。
残酷なようだが、あの子一人を助けるためにそこまでする訳にはいかない。
おそらく、世界には他にも沢山の子供が、似たような状態になっているだろう。その子達を一人一人助ける為に、世界樹へ行く。そんな余裕は俺にはないし、世界樹にもないだろう。
もし世界樹に余裕があるなら、もっと世界に出回っている筈なのだ。きっと、かなり貴重な物なのだ。
だから、それは諦める他ない。
あの物知りな神なら何か知ってるだろう。また世話になろう。
今回は何もないが、次に行く時はお土産でも持って行こう。毎回世話になるだけでは申し訳ない。
〜〜
ハクと別れ、竜化して竜神のところへと飛んできた今回はウェアリーゼには乗せてもらっていない。昨日別れた手前、気恥ずかしかったのだ。
そんな訳で、自分の翼で飛んでやって来た。
『竜化を身につけたか』
「はい、なんとか」
相変わらず大きな体の竜神。この人ずっとここにいるけど、普段何してるんだろうな?
「また聞きたい事があるんですけど、いいですか?」
『申してみよ』
「ありがとうございます。肺の病気を治す方法を知りませんか?」
『其方の質問には一貫性がないな。毎度異なる事を質問してくる』
確かに…
魔獣と魔物の違い、強くなる方法、そして今度は病気だもんな。インターネットみたいな使い方してるな。
『まぁよかろう。肺の病気だが、どんな病気かによって治す方法が変わってくる。病の名は何という?』
「それがわからないんですよ。ただ、今の技術じゃ治療が難しいという事は間違いないと思います」
『ふむ。すまないが、それでは特定出来んな。10は心当たりがある』
「そんなに…」
多いな。それ一つ一つ確かめる様な時間は、俺にも彼女にもなさそうだぞ。
『それに我の知らぬ病かもしれぬ。我はそれほどその分野は詳しくない。ただ、一つだけ方法がある』
「それは世界樹の雫でしょうか?」
それしか方法がないのなら、諦める他ない。たぶん、後悔する。見捨てた事を。だけど、後で後悔するか、今するかの違いだ。
酷いようだが、線引きはしておかなければならない。
『それは難しいだろう。確かに世界樹には怪我や病を治す力がある。だが、万能という訳ではない。あらゆる怪我は治せるだろう。しかし、あらゆる病とまではいかぬのだ』
世界樹の雫は万能薬ではなかったのか…
しかし、それに近い効果はあるみたいだな。だけど、今回はどっちらにしろ無理だからな。
今後使う機会があるかもしれないから、覚えておこう。
『我が言う方法とは、進化を使った治療法だ』
「進化を使った?」
『そうだ。これは如何なる病でも、怪我でも癒す、いやなかった事にする治療法だ。古き器を捨て、新たな肉体を得る事により、病や怪我をなかった事にするのだ』
つまり、肉体を新しく作る事で、古い肉体の怪我や病気がなくなるって事か?
なんだその最高のシステムは……
不治の病になったとしても、進化すれば治るって事だよな?何て便利な代物なんだ…
次99になったら、進化しないでおこう。あ、けど、前にシャルステナが進化しないとまずいって言ってたような気が……
…………99になってから考えようか…今はそれどころじゃないし……
『これが我の知る方法だ。察するに病気の者が待っておるのであろう?早く知らせてやるといい』
「はい、ありがとうございました。また、何かあれば聞きに来ます」
『ふむ。楽しみにしていよう』
竜はやっぱり親切だ。とっても優しい。長生きだからだろうか?
ほんとこの谷の竜は良い竜ばかりだな。他の地方の竜もこうなのかな?
俺は谷を飛びながら、そんな事を考えていた。少女の病気に希望が見えたから、他の事を考える余裕が出来た。後は何とかして、レベルを上げればいいだけだ。
早くあの二人に伝えてあげよう。
〜〜
「本当かい⁉︎本当の本当に、セーラの病気が治るのかい⁉︎」
「はい。神が言ってたので間違いないと思いますよ」
村に戻った俺は早速女将さんに治療法を伝えた。女将さんは掴みかからんとする程驚き、慌てていた。
「ありがとう、ありがとう、坊や。本当に…ありがとう」
泣き崩れた女将さんは、床に大粒の涙を落とした。そして、お礼を口にする。
治療法が見つからず、娘の命を諦めるしかなかった女将さんにとって、それは神の言葉の様に聞こえたのかもしれない。まぁ、実際そうなんだが…
「僕はただ放って置けなかっただけですよ。気にしないでください。それより、早くあの子にも伝えてあげてください」
女将さんは俺の言葉に涙を拭きながら頷き、奥へ入っていった。
これで一件落着かな。
最近、王都進行編に関してのご指摘が多いので、書き直そうかと考えています。しかし、どう書き直すかまだ決め兼ねていまして、ひょっとしたら大幅に内容が変わる可能性があります。その際、今ある話はそのまま残すか、それとも削除するかもまだ決めていませんが、前者の場合、改訂版として新しく投稿し始める事になると思います。
どうなるかはまだ決めていませんが決まり次第、また後書き、活動報告、あらすじにてお知らせします。
次は↑の経過次第。




