2.転生
夢を、見ていた。
見ているのではなく、見せられている。そんな印象を覚える受動的な本物の夢を。
《汝──理外から到し、理の者よ》
そこに、己の意思の介入はない。いや、自己の定義すら曖昧だ。
全と個。個と全。溶け合い混ざりゆく、感情と記憶の混沌は、坩堝に溜まりて回帰する。
《汝が選択せし理に、汝は異を唱えるか》
それが、この夢の理なのだと、俺は認識させられていた。
だが、いつまで経っても、俺が還る時は来ない。まるで俺が加わる事を全が拒むかの如く、一人そこに取り残された。
《汝に、輪廻の理を与えよう》
薄れゆく意識。閉ざされていく認識。失われていく夢の記憶。
最後に差し込んだ光の道標が、俺をその混沌から掬い上げた。
〜〜〜〜
死が、終わりだと何故俺は思っていたのだろう。
何度も終わりのない死を経験して、自分だけはとでも考えていたのだろうか。
不意に意識を取り戻した時──
「──4+<^☆」
眼前にあったのは、知らないおばさんの顔だった。
茶髪を白い布で覆い、額には汗をにじませている。30代半ばくらいだろうか。
優しげな顔に安堵の表情を浮かべている。
俺はふと、おばさんの顔から視線を外し、自分の今の状況を確認した。
「……ッ!」
驚愕が全身を駆け巡る。
何だこれは⁉︎
俺は今、目の前のおばさんの手で持ち上げられていた。
小さい手。ムクムクと太った手足。生まれたばかりなのか、ネバネバした液体と、紫の皮膚が目立つ。
驚き喚いても、口から出る言葉は日本語ではなく、赤子の叫び声。
ど……どうなってんだよ?
俺は死んだんじゃなかったのか?
いや……確かに死んだはずだ。腹を刺され、死んだはずだ。何度と夢で経験した事がある終わりと同じ。命が溢れ落ちる瞬間を、確かに俺は感じた。
ならば……この状況は……
これまでに経験した事のない状況に激しく動揺していた俺は、抱き上げられたまま向きを変えられ、強制的に周囲の景色を見させられた。
質素な木造の部屋と、どこか見覚えのある格好の人々。日本とは作りの違う生地の服を着ており、髪色は実に色鮮やか。黒髪は一人もいない。
言葉はわからずともその誰もが歓喜していることは見てわかる。
まさか……これは夢なのか……?
死の直前に見ている夢。それが、この状況を説明するのなら、今回はこの赤子がキャラ……そういう事なのか……?
ギリギリの妥協点。納得出来なくはない解を得て、ほんの少し動揺が収まった。
やはりここは夢の中なのか……?
そう、推測を立てる俺の視界に、金髪の見目麗しい女性の姿が映る。ベットの上で、汗だくで、激しく呼吸を乱す胸の大きい彼女は、震える手をゆっくりと伸ばし俺の体をソッと抱き寄せた。
いわゆる金髪巨乳美女に抱き寄せられた俺だったが、それに性的な何かを感じる余裕はなかった。
「#@*×%」
耳元で知らない言葉が囁かれる。
俺はその言葉を聞きながら、困惑を隠せなかった。
それは、何となく理解してしまったからかもしれない。
夢との幾つかの相違点。そして、自分が死んだという自覚。
それらから導き出せる答えが、ふと頭に浮かんだ。
──俺はもしかして…………転生したのか……?
〜〜〜〜
あの日から、およそ3ヶ月の月日が流れた。
あの日というのは、俺が死んで、新たな生を授かった日だ。
3ヶ月も経てば精神的にもだいぶ落ち着いて、状況理解が進んできた。
俺はどうやら本当に転生してしまったらしい。あるいは、永久に醒めない夢の中にいるかだが、それはもう転生したと言っても同じ事だろう。
とにかく、俺は現実の世界へ、3ヶ月経っても戻る事はなかったのだ。それはつまり、もう永久に現実へと帰還する事はないという事だ……と俺は自分の希望を多分に含めて、そう決め付けた。
ようやくあのクソッタレな世界から抜け出せたのだ。そう、安易に考えてしまうのも無理はないと許して欲しい。
とにかく、今のところわかっているのは、言葉など違う点は多々あるが、魔法のある夢に良く似た異世界へと俺は転生してしまったらしい。
いったい俺の身に何が起きたのだろうか。
よくわからない事だらけだが、少しずつ今俺が置かれている状況についてはわかってきた。
まず俺の名前は、レイ。
家名があるのかないのかは未だ不明だが、何度も俺に向けて、その発音が向けられたからまず間違いないだろう。まだ言葉の理解は進んでいないが、ひとまず名前だけでもわかっただけマシか。
母親と父親の名前は、まだ明言できないが、おそらくミュラとレディクだ。
ミュラは俺の誕生の日、俺を抱き締めた金髪巨乳美女だ。レディクは、その日家にはいなかったが、数日経って帰ってきた。
帰って早々泣きながら筋肉ダルマが俺に迫ってきたのは、恐怖だった。ちょっとチビったのは俺と、オシメを変えたミュラだけの秘密だ。
恥ずかしい……!
ある意味これが転生した最大のデメリットかもしれない。いや、もちろん筋肉ダルマの方じゃないよ? 俺の精神の方の話だ。
今俺の精神は何故か、羞恥心みたいな普通の感情はそのままなのに、尿意や食欲のような本能に近い感情の自制が全然効かなくなっている。
だが、一方で食欲に耐え切れず喚くと、与えられるミルク。これをミュラから貰う際、俺には性欲の一欠片も湧き上がってこない。腹が減ったという感情だけだ。
まぁ、だが思春期を経験した者として一つだけ言っておこう。
ピンクだった。
それはそれとして、おそらく体に合わせて、精神が一部劣化してしまっているのだろう。例を出すと、尿意が来ればすぐ漏らすし、腹が減れば喚いてしまう。羞恥心に殺されそうな毎日だ。
どうせなら羞恥心も含めて劣化したかったというのが、この件についての結論であるが、今日も今日とて、俺の黒歴史は着々と刻まれ続けている。
そんな早急な解決が望まれる些細な問題はあるが、概ね俺はこの世界の有り様に満足している。
地球で言えば、ここは中世の世に近い。しかし、地球にはないものが存在するこの世界では、全く同じというわけではない。
例えば、魔石。
どこから持ってきたかは定かではないが、どうやらここには夢の中で見たものと非常に似通った魔石が存在するようだ。似通ったというか、逆に違いがわからない。
いや、死ぬ直前に俺が狩ったゴブリンとはえらく形も大きさも、色も異なるのだが、それは夢で異なる魔物を狩った時とも同じ事が起きるわけで、一概に違うとは言えないのだ。
正直、ここから夢との相違点を見つけるのは至難の技。早々に諦めた。
他には、先にもチラリと出したが、魔法がそうだろうか。
中世では、魔女狩りがあったそうだから、ひょっとしたらという可能性はあるが、大っぴらに魔法を使うこの世界とはまた異なる。
この魔法を初めて目にしたのは、俺が暇と退屈に耐え兼ねて脱走を図った時の事だ。
ハイハイで囲いなどない布団から抜け出した俺に、段差という大きな壁が立ちはだかった。俺はその段差に向けて、赤ちゃん言葉で、勇ましく挑戦状を叩きつけてから、とう! っとハイハイで飛び出した。
その結果……
「オギャァァァア──!」
俺は段差から転がり落ちて、あまりの痛さに泣き喚いた。腹を刺されても泣かなかったのに、ちょっと顔を打っただけで泣いてしまった俺だが、すぐに俺の泣き声を聞いて駆け付けたミュラによってどうにか事なきを得た。
どう事なきを得たかというと、そう、魔法だ。魔法によって痛みが取り払われたのだ。何の魔法かまではわからなかったが、ミュラの手が白く光ったのをこの目で見たから間違いない。
あれは魔法だ。それか、それに準ずる何か、だ。
まぁ、この際面倒でもあるので、それを魔法と決め付けて話を進めるが、この世界は、魔石と魔法のある非常に夢と似通った世界であった。
おそらく魔物などもいるのだろう。
そう考えると、転生してから見れなくなった明晰夢にも諦めが付く。いや、むしろ、明晰夢よりも俺にとっては好都合な世界だ。
夢ではかれこれ50回程は体を入れ換えてきたため、いわばゲームの途中で強制中断させられたようなものだった。
しかし、今のこの状況は、おそらくエンディングまで続けられる異世界冒険記だ。つまり、もう強制中断はない。
「あぅ」
後はこの体さえ、どうにかすれば…………
〜〜〜〜
──さらに3カ月後。
俺が生まれてから、半年が過ぎた。半年も経てば、かなり言葉の習熟度も上がってきた。ひとまず、8割型会話の内容は理解できるようになった。
しかし残念ながら、喉の発達がイマイチなのかまだ話すことはできない。
いい加減、この家にも飽きてきた。初めは珍しいものが一杯で、言葉を覚えようと必死だったから、退屈はしなかったが、半年も経てば飽きる。
加えて、何故か家に一日中いるようになったレディクが、赤ん坊の俺に剣を教えようとしてくるのが、非常に鬱陶しい。
出来るわけねぇだろ、アホんだら。
そういうわけで、言葉の習熟と歩く練習を同時進行で進める事にした俺だが、まだハイハイを脱却出来ていない。黒歴史からもだ。
転生って初めは面白かったけど、結構面倒臭い。転移の方が楽だ。もっと言えば、憑依の夢は最高に楽だった。ある程度キャラが習熟してたから、現実では出来ない動きが簡単に出来たし、苦労したのはバランスと視線の高さぐらいだった。
……まぁ、文句を言っても仕方がない。今は我慢だ。
しかし、そんな折──
「レイ、今日はお出かけよ」
ミュラがそんな魅力的な言葉を言ってくるではないか。
思わず雄叫びをあげて、飛び跳ねてしまったではないか。飛び跳ねたはいいが、思いの外痛くて黒歴史が増えてしまったではないか。
そうして、黒歴史の最中、お着替えさせられて、ローテンションで外に連れ出されてしまったではないか。
しかし──
「あう──!」
一気にテンションが膨らんだ。
閑散とした荒野の中にある街のような道。しかし、遠くには緑の山々が見える。周囲にある家々は木造で、大きな丸太の柱が建物を支えている。
一言で言えば村だろうか。遠くには畑が広がり、道行く人は女性ばかり。男は今頃農作業だろうか。
何もかもが珍しくて、俺の好奇心を煽る。最近溜まっていた憂鬱が一気に吹き飛んだ気がした。
そこで、ふと俺はレディクを見た。
こいつ……働けよ。みんな働いてんぞ。
「ふふっ、喜んでるわ」
「流石は俺の息子だ。しっかり俺の血を引いてやがる」
「はぁ……馬鹿にならないか心配だわ」
憂い顔を浮かべたミュラ。対して、レディクはがっはははっと豪快に笑いながら、言った。
「心配するこたぁねぇ。オメェの血も引いてらぁ」
「だといいけど……まぁ、それもガバルディに行けばわかることね」
「おうよ」
ガバルディ……?
何だろうそれは?
いや、話の内容からして、どこかの場所か、地名ってとこか。
けど、聞き間違いかな?
今のだと遺伝情報を見に行くみたいな話だったが、そんな技術がこの世界にあるのだろうか?
色々と疑問に思う事はあった。しかし、残念ながらそれを口に出して聞く事はまだ出来ない。
俺は疑問を抱えたまま、村の出入り口らしきところへ停まっていた馬車に乗って、ガバルディという場所へ向かった。
〜〜〜〜
「あぅう──!!」
これはまた凄い!
さっきまでいた所とは全然違う。さっきのが田舎だとすれば、今いる場所は都会だ。
建物の造りからして、木ではなく石を使っているものが多いようだし、何より道が真四角の岩で補強されている。それに、街全体を囲い込む大きな壁。とても頑丈そうで、村にあった木製のオンボロとは違う。
なんか不安になってきたぞ? あの村大丈夫なのだろうか?
「ガバルディの街も久しぶりね。ウルケルは元気かしら」
「あの毛むくじゃらは、ギルドで踏ん反り返ってらぁ。偉くなったもんだぜ」
「実際そうなんだから、仕方ないわ。私達の中で、一番出世したのは彼なんだから」
何やら人名などが出てきたが、この二人の知り合いには興味はない。それより俺が気になったのは、ガバルディの街という発言。
やはり、この街の名前がガバルディというものらしい。
「じゃあ、早速教会に行きましょうか」
「おうよ」
どうやらこの街に来た目的はその教会とやらにあるらしい。うちの家系は何かの宗教にでも入っているのだろうか?
と、思いボーっとミュラの顔を見ていたら、彼女は朗らかに微笑んで、説明してくれた。
何やらこの世界では、生後半年の赤ん坊を連れて、教会に行くのが習慣らしく、そこで『誕生の儀』なるものをするらしい。
それに何の意味があるのかは知らないが、その習慣のお陰で家から出れたのだ。俺に文句はない。
せいぜい今のうちに外の世界を楽しんでおくさ。
教会は日本で見たものとあまり変わらない気がした。あくまで形は。
ただ、十字架はなかった。まぁ、キリスト教ではないから当たり前か。代わりと言っては何だが、9つのシンボルが教会の建物には彫られていた。
大地の上に立ち太陽を背負う人が剣と玉を空に掲げているシンボル。
鋭い牙と引っ掻いた爪の跡が重なっているシンボル。
杖を掲げる女性の周りを小さい人影が飛び交っているシンボル。
剣とトンカチのようなものが交差しているシンボル。
祈りを捧げる女性の姿を描くシンボル。
竜の横顔を模したシンボル。
大きな木の前に立つ羽を生やした女性のシンボル。
マントを羽織る骸骨が手に鎌を持っている様を描いたシンボル。
荒波の上に立ち、三又に分かれた槍を持つ男のシンボル。
どれも形は違う。一つ一つが異なる紋様を示している。
これは何だろうか?
この教会が崇めているものなのだろうか?
その答えを得られぬまま、俺は教会の中に入った。
教会の中は、横に長い椅子が並び、その前に祈りを捧げる場所があった。その前に立つ、白い服の男性。いわゆる神父だろうか。
その男性に、ミュラとレディクが近付いていく。いよいよ、誕生の儀とやらを行うのか。初めて見る文化に俺は、どんなことをするのだろうと、少しだけ興奮していた。
そんな俺を見て神父は。
「本日は誕生の儀をお受けに来られたのですかな?」
「ええ。名前はレイです。生まれてから半年程が経ちました」
「そうですか。では、こちらへ」
そう言って、手招きされたのは、祈りを捧げる祭壇。そこに俺を抱いたままミュラが立ち、その前に神父が立つ。神父は一枚の板を取り出すと、目を閉じて祈るように唱え始める。
「其方、レイの誕生は神に聞き入れられた。レイの名を持つものよ。我はそなたの魂が刻む才を示し、さらなる魂の成長を望む者なり。神前にてその声に応えよ」
そう唱えて俺の頭の上に手を置いた神父。その手が、唱え終わると同時に薄く白い光を帯びる。そして、その手を板の上に置くと、光が手から板へと移動し始めるではないか。
俺は期待以上の何かに、目が釘付けだった。
今のは何だろう?
そう、答えを求めてミュラの顔を見上げると、彼女は後でねと笑いながら言うのだった。生殺しだ!
そうして、誕生の儀が終わると、光の収まった板を受け取り、村へと引き返した。
俺は、帰りの馬車でソワソワして落ち着きなく、ミュラの顔を見たり、レディクの顔を見て、『あうぅ』と板を指差したりしたのだが、その度にミュラが後でねと言うのだ。
酷い生殺しを受けた俺は、拗ねて馬車の外を眺めた。気を紛らわせようと思ったのだ。すると、遠くに見えた幾つかの影。あれは……
「あら、魔物がいるわね」
「ん? どんな奴だ?」
「オークよ、オーク」
へぇ〜、あれがオークか。夢と同じだな。まぁ、個体差はあるだろうから、ちょっとした違いはあるけど、一見したところ違いはわからない。
豚の鼻と耳。醜く太った腹には汚い布が巻かれている。武器も持っているようだ。
俺は段々と近付いてくるそれを見ながら、ふと馬車の中を見た。すると、ミュラがその視線に気が付き、どう思ったのか、オークの説明を始めた。
「あれはね、オークという魔物よ。基本的に世界のどこにでもいる、数だけは多い魔物よ。けど、魔物は人を見かけたら襲ってくるから気を付けなきゃダメよ? まぁ、オークはそれ程強くはないわ。たとえば……ファイアボール」
視界が赤く染まる。それは、馬車のすぐ側に火球が出現したからだ。
轟々と火球の中でうねる焔。その玉は真っ赤で、近くにいるだけで肌が焼けそうな程熱い。
その火の球は、一瞬にしてオークへと飛んでいくと、轟っと爆ぜた。オークは全身を火に包まれて、呆気なく蒸発し、チリとなって消えた。
「……っという風に簡単に倒せるわ」
「…………あぅ」
……この人は怒らせてはいけないタイプの人かもしれない。
そんな風にちょっとだけ怖い思いをした後、家に戻った俺は、早速二人を『あぅう──!』と言って問い質した。
さぁ、はよう!
早く、それが何なのか教えてくれ!
もう生殺しの時間はおしまいだ。とっとと、その不思議な板が何なのか教えるがいい!
と、あうあう言いまくった。
すると、二人は優しく笑いながら、俺に板を手渡してきた。
俺はすぐにそれを奪い取っ…………読めねぇ……
板には知らない文字でいっぱいだった。赤ん坊の掌には余る大きさの板だが、そこには文字が色々書かれてあって何一つとしてわからない。
俺は説明を求めた。読んで! と。
「あう!」
「はいはい、見せてくれるのね? どれどれ…………ッ! す、すごい。レディク見てこれ! この子もうスキルを持ってる! それにこのレベル……」
「おおっ! こりゃすげぇ! さすがは俺の息子だぜ!」
おっ? おっ?
スキル? レベル?
なんのこっちゃ。
「あう──!」
さっさと説明しやがれ! と、上げた声に、ミュラが興奮隠せぬ様子で、一つ一つ説明してくれた。
彼女曰く、この板は俺のステータスを表示してくれるらしい。ミュラが教えてくれたステータスを纏めると、今の俺のステータスはこうだ。
名前:レイ
種族:人間(幼児)
年齢:0歳
レベル:47
生命力:17
筋力:5
体力:3
敏捷:1
耐久:3
器用:2
知力:18
魔力:26
通常スキル
「観察」レベル2:対象の状態を認識し易くなる。
「空間」レベル2:自身を中心とした空間内の動きを把握できる。
固有スキル
「経験蓄積」レベル1:過剰な経験を蓄積する。自動で発動。蓄積量0
○¥°%#
称号:「@&☆$」
ひとまず思ったのは、このレベルだ。俺はもう47あるらしい。何かをした記憶といえば、ウザい親父から逃げた記憶しかないのだが、いったいどうやってレベルが上がったのやら。
しかも、47にも関わらず、この能力値の寂しさはなんだ? 100でカンストだったら完全に詰んでるぞ。
筋力5が、この赤ん坊の体の力が示しているのなら、絶対高いわけがない。
しかし、能力値を上げる方法は確実にある。それは、この二人の興奮具合からわかる事だ。
さすがに転生しただけはあるって事だろう。おそらく今の俺は他と比べて、飛び抜けているはずだ。
不安はある。
だが、せっかくだ。こんなチャンス二度あるかわからない。しかも、なんの意味があるかはわからないが、ユニークスキルまである。
どうせなら、この転生チートと謎のスキルを使って成り上がってやろうじゃないか。
そして、この世界を徹底的に遊び尽くしてやる──