93.世界樹の森
豊かな自然を育む土地は、余す事なく世界樹の恩恵を受けていると言われている。世界に張り巡らせれた根が恵みを与え、自然を育てる。
それを可能としているのは、世界樹の守り女の存在。またの名を妖精神。全ての妖精の始祖である彼女が、世界樹の恵みを世界に与え続けているのだ。
その彼女が守る天高く伸びた巨大な世界樹があるのが、7大秘境の一つ、世界樹の森。この世界で最も強く恩恵を受けた土地。白霧が立ち込めるその森の中に入れば、方向を見失う事は避けられない。そこから転じて、こう呼ばれる事もある。迷いの森と。
彼の森に挑む者は多い。何故ならその秘境には、確かな褒美が用意されているからだ。
あらゆる怪我と病を治すと言われている世界樹の雫。それが、世界樹の麓に辿り着いた者には与えられるのだ。
それを求めて人々は、彼の地に挑戦し続ける。しかし、生きて帰ってきた者は少ない。一度迷えば、外に出る事も困難を極め、迷いの森に囚われ続けいずれは死に至る。命を救う水を求め、命を落とすというのは実に忍びない。
褒美に目が眩んだとて、忘れてはならない。そこが秘境である事を。
半端な実力で挑む者に待つのは死のみである。
ーー冒険者の夢より抜粋




