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狐が異世界に召喚されました  作者:
第1章:狐の旅立ち
8/18

5

「はい、じゃあ話が纏まったところで、ウィルもこれつけて」

「これは?」

「ウィルだって顔ばれしてるんだから当然変化してもらうよ」

「3人で揃いのブレスレットなんですよ」

「ギルドチームのマークっぽくて、いいよね!」


ノリノリの2人にそう言われて手にしたブレスレットを見れば、ちいさな花の紋様が描かれた上品な意匠のとても優美な品で、冒険者が着けるとは思えないものだった。どちらかと言うと女ものっぽいが、さくらは勿論、アレンも綺麗な顔立ちの青年なので問題なく似合っている。だが、少し厳しい雰囲気をもつウィルには合いそうもない。


「ウィルも変化させるって言ったでしょ、大丈夫だから着けてみて」


表情からブレスレットを着けることを躊躇っていたのが分かったのか、さくらはそう言ってウィルを促す。

どのように変化するのか実のところ興味があったので大人しく装着し、用意のいいさくらから手鏡を受け取った。


「これは……」


全くの別人になった自分に驚きを隠せず思わず頬をつねってしまうが、確かに鏡の中の人物は自分であるようで同じくつねられ若干痛そうな表情を驚きながらも浮かべてこちらを見ている。容貌は黒髪黒い瞳と割りとポピュラーな色合いの、目が少し垂れているのが印象的な優しさが目立つ穏やかそうな人物である。

それを見てさくらも、さっと変化してみせた。


「サクラさんとウィルはまるで兄妹のようですね」

「正確には親子なんだけどね。私の兄さんと母さんの姿だよ」

「サクラさんは父親似ですか?」

「うん、だからウィルには兄さんになってもらった」


さくらは今、ウィルと同じく黒髪黒い瞳の少し垂れた瞳が甘やかさを感じさせる綺麗と言うよりは可愛らしい少女の姿をとっていた。

その姿には全くさくらとの共通点が見当たらない。

それはともかくこれで3人とも全くの別人となったわけで、自由気ままに旅を満喫できるだろう。


「さて。これで本当に旅の準備は万端だね!って事で最後の仕上げをしちゃいましょう」


そう言ってさくらはイタズラっぽく微笑むと、何処からともなく真っ白な紙を取り出した。




*****


「シキガミですか、なんとも便利な存在ですね」


たった今部屋から見送った自分達そっくりな存在に、ただただアレンは感心していた。

朝食のあと、さくらは自身の血を用いた人形ーー俗に式神と言われる存在を紙から3体作り出し、其々を自分達に化けさせると城下で旅の準備をし旅立つよう命令を下し部屋から出したのだ。

強い妖の血を用いた式神は意思を持って主の命に従うので、これで暫くは追手を騙すことが出来るだろう。

追われつつの旅だなんて、当初の予想以上に楽しそうでさくらは大いに満足していた。


「あの子達は何も手を加えなくても1ヶ月は動いてくれるからね。調査したい『森』まで最短ルートで行って、中に入るくらいまでもつんじゃないかな」


血を与えてあるので、視界などの感覚を共有することも可能で実際に問題の箇所に入る前の事前調査も兼ねようとさくらは目論んでいた。


そもそもこの世界にさくらが召喚された理由は、『森』の調査の為という一見地味なものだった。

この世界は、海がなく代わりに森で囲まれている丸いジオラマような世界だ。『森』と言えば世界を囲む膨大な境界のそれを表す言葉であり、それ以外には存在しない。森の先に何があるかは分からず、この世界に住むもの達は森と共に生きていた。

だが、生活の要でもある森がここ数年おかしい。

奥から禍々しい生き物が時折現れるようになり、周辺の街や村に犠牲が出ている。騎士団を送っても手に余るような存在まで出現するようになり、人の住める地域がいくつか失われてしまっていた。

しかもじわりと森が広がりつつある。


と言う説明を始めに聞いたさくらの感想は、この世界の森の奥に魔王が生まれたんだ!といったなんともテンプレな予想だったので冒頭へと繋がるのだが、何かしらの悪意が森の奥深くに生じたのではないかと言うのはアレンも予想した事だったので、強ち的外れでも無いのかもしれない。


と言うわけで、一応当初の予定も覚えていたらしいさくらの言葉にアレンは内心ほっとしていた。


「森の魔物がどれくらい強いのか早く知りたいなあ。でもギルドの活動もしたいし、冒険者っぽく事前に情報収集もしておきたいし。何から手をつけるか迷う~!」


さくらのまるで年頃の少女がショーウィンドウを前にはしゃぐかのような有り様に、アレンは苦笑を浮かべ、ウィルは頭痛を押さえるかのようにため息をついた。


「情報収集は楽しむためにするわけではなく、必要だからやるんだ……」

「分かってるって!自国は十分だから他国で情報を集めるんだよね?

でもさー、手っ取り早く立ち入り禁止になってる街とかに行って、腕試しってのもいいかなって思うんだけど」

「いきなりすぎはしませんか?」

「ま、後で決めよ。取り合えずギルドに行かなくちゃ!」

あああ、ギルドまでが長くなって申し訳ないです、表現力が未熟で削れない。。。

次でちゃんとギルドカードゲットしてるので、見捨てないで頂けると幸いです(*_*)

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