準備不足の耐寒マラソン
私の卒業した高校は、統廃合され現在は存在しません
高校時代、毎年2月になると「耐寒マラソン」という行事があった。
1・2年生合同、男女別のコースをおよそ10km走る。10位までが表彰される、冬の恒例行事だ。
長距離を走ると横っ腹が痛くなるという話をよく聞くが、私の場合は少し違った。
痛むのは決まって両足首の内側。じわじわと、確実に、足の感覚を奪っていく。
1年生のとき、序盤は余裕があった。
しかし残り2kmほどで、いつもの痛みが顔を出す。
残り500mでは、もはや足が自分のものではないようだった。
それでも歩かずにゴールした。途中で二人に抜かれたが、完走できれば十分だと思った。
結果は11位。あと一人抜かれなければ入賞だった。
そして迎えた2年目。
「今年こそ入賞する」と意気込んだものの、特別な練習はしなかった。
気合いで乗り切れると信じていた。
痛みに負けなければ、きっと報われる。
そんな根拠のない自信だけを握りしめてスタートした。
しかし現実は去年と同じ。残り2kmで痛みが始まる。
私はなぜか、星飛雄馬の大リーグボール養成ギプスを思い浮かべていた。
「痛みに耐えれば強くなれる」
幼い頃に刷り込まれたその物語を、都合よく信じていたのだ。
だが、あと100mというところで転倒し、右足を捻ってしまった。
保健委員に両脇を抱えられ、コースを離れる。
入賞どころか、完走すらできなかった。
幸い大事には至らなかったが、そこでようやく気づいた。
「苦痛に耐えれば必ず報われる」のは、意味のある苦痛に耐えたときだけだ。
気合いだけでは、何ひとつ解決しない。
入賞したいなら、練習すればよかった。
毎回足が痛むなら、その原因を探し、靴を見直せばよかった。
ゴールまでの道筋を、気合いではなく“仕組み”で整えるべきだった。
「仕事は準備が9割」
今の自分を支えているのは、あの冬の耐寒マラソンで学んだ、そんな当たり前の教訓なのかもしれない。




