タイトル未定2026/03/25 23:02
キィッギャー
大きな車がこちらを向く
スポットライトが僕を包んだ
それが“僕“の最後の記憶
ヒュール ヒュルヒュー ピヒョ!
鳥の歌に起こされる
夢を見ていた、夢の中のくせに
使用人の逃げた屋敷の中は、ネズミの声が聞こえてきそうなほど静かだ
まぁ、どうでもいい
両親の痴話喧嘩に首を挟んでも碌な事にならない
2階の自室から窓を飛び越えて、僕は魔法の練習のために屋敷裏の小さな森に足を進めた
いつもの森に見慣れない足跡がついていた
自分より小さい足跡、珍しくて追いかけた
別に何がいてもよかった
ただ、退屈な日々に色がつけばいい
結果的にいえば、そこには女の子がいた
足から血を流し、白い肌にはまばらに花が咲いている
確か、父親が引きずってきた新しい愛人?だったか
多分…
今屋敷にいる女は母親と父親の愛人だけだ
流石に自分の母親の顔は間違えないだろう
暇つぶしに話しかけようと、一歩進む
パキリ
小枝が折れた音にそれが反応する
こちらに気づいたみたいだ
僕の顔を認識すると、目を見開いて硬直する
逃げないのは都合がよかった
僕はそれに近づいて目線が合うように、地面に膝を立てる
「こんにちは、いい天気だね」
出来る限りの笑顔で言った
しかし、
それは震えて
「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
同じ言葉を繰り返す
話がしたかったんだけどな
だんだん興味が削がれていく
宙を泳ぐ視線を、ミルクティーの髪を掴んで向けさせる
「僕はスランバー、君は?」




