三年前の最後の会話。
「佐野、本当に、
この街を出ていくの…?」
「もう俺の、この身、
体も心も己で信じられないくらいボロボロに、なっちまってな…
しゃぎょう、むぎょうの、
ひびきあり、盛者必衰の理をあらわす……。」
「?…たしか、
勢いのあるもの、盛大に、なったものでも、
いつの日か勢いは無くなり、衰退していく…って意味だよね…?」
「それが分かる御前が同僚で良かった!
だが、
俺に、自身の滅びの美学は考えられない……
俺、
最近、
なにかと、
知り合いが、ある時、俺に掛けてくれた言葉を思い返してな…。」
「どんな言葉?」
「『生まれもった才能や、
初めから恵まれて育つ、
そういった環境に置かれていたことも含めて実力なんだ。』って物言いなんだけど、
何か成果や、結果が出たとき、
それは平等に評価されるべきだ!
と、俺は俺なりに噛み砕いて、
受け取っている…。」
「僕は、そう聞いても、
いまいち、ピーンと来ないんだけど…。」
「いやさぁ、
俺が、そうなんだけど、
何か己の思うようにならなかった時、
俺、
『自身にはチャンスが無かった…。』とか、
『元々、センスが無かった…。』とか、
『置かれた環境が悪かった…。』とか、
言いがち、
思いがちなんだよ…。
だけど本当に、そうだったか…?と、
よくよく思い返すと、
何も恵まれていない、では、
決してなかった…。
で、結局は、ズダボロになって長く勤めた会社を去るわけだが、
でも、
現状、俺は、
自身の『何か』を根本的に変えたい!と強く思っている…
じゃあ、何かアクションを起こさなきゃ!!って、ことなんだけど、
無鉄砲、
自暴自棄、なアクションは、あくまで避けたい…。
ほら、
インドに旅行へ行った日本人は、
既成の価値観が変わる…と、
よく聞くだろ?
が、
今の俺は、そんなリスキーなことは、
出来ない…。
俺は、
世の中、広いようで、狭い…。
を、
やっぱり世の中、広い!!
こんなワンダフルなことも、世界には、
まだまだ、あるもんだ!!と信じて、
それを、なるべく少額を用い、
証明してきたい!!」
「…もっと分かりやすく説明してよ!」
「…既婚者が、
パートナーに黙って隠れ隠れ遠方に、
不倫旅行に行った旅先で、
たまたま、
急遽、友人と旅行に来ていたパートナーと、
バッタリ、会うことがあるという……
俺が思うに、
確かに、そんなことがある世の中では、
あるんよ……
その例はバッドな奇遇だが、
俺は我が身をもって、
それを誰が聞いても、
ほんわかする良い奇遇が多々、確かに世の中には、あると信じて、
それらを探しに行く!」
「…つまり?」
「うちに、とじ込もっているだけでは、
体験できないことを
お金をなるべく使わずに、
そとに求めるというわけさ…!!!」




