《マルチ ユニバース》
「直に会った時、その女性のこと、
もっと詳しく聞かせてよ♪」
「僕、彼女、今、いるよ!」
「僕は、もう彼女とか恋人は、いらない…結婚もしたくない……しいて言うなら、今の僕の愛車がloverだ…!」
… … …
… …僕が営業マンをやっていたころ、かなり年上の従兄弟が隣の県から我が家に遊びに来て、
僕はマイカーにて助手席に彼を乗せ、我が県を案内した…。
バイパスをゆったり車は行き、
天気も快晴であった。
助手席の従兄弟が、ポツリと呟いた。
「どこも、かしこもイオンだらけだなぁ…。」
僕は運転に集中しつつも、
従兄弟と会話する。
「さっきバイパス沿いで、
通りすぎたイオンは、元々、ジャスコだったんだよ♪確かに、今はイオンばかりの世の中で、ダイエー、ユニーなんて消え去ったね…。」
「俺が聞いた話なんだけど、
百貨店って、まぁ、デパートのことだが、
運営する側が、高級店意識、強かったみたいでな…百貨店に行く客も、そりゃ良い商品を求めてデパートに出向いたのが、昔だ、そうだ…。」
彼は続けた。
「だが、デパートの運営が、
それではダメだ、みたいに、いつしか、なっていき、安物も色々、置こう!
みたいな提案が、あった時、
デパート側は、それをあくまで嫌ったんだな…で、子会社として、ダイエー、ユニーとか作り、庶民的な百貨店として世に出したら、それが大当たり!!
まぁ、歴史だよな…令和の今は、どこも、かしこも、イオンだなぁ…。」
「大型のイオンが昨今は大人気らしいね。
イオンに行けば、とにかく何でもある…
雨の日も雪の日も関係なく買い物できる…
オシャレして出向くくらいでも、あるし、
そんな気取らずに店内を回れる雰囲気も、ある…
どっかのイオンなんて、
おじいちゃん、おばあちゃんに、
ただ店内をウォーキングしに来てください♪って、推奨してるくらい!
ほら、まぁ、そんな、おじいちゃん、おばあちゃんも喉が乾いたら、テナントの喫茶に入ったり、
小腹が空いたら何かしら、フードコートで食べたり、
雑貨が見たい、
見ていたら買いたい!
とかになるんだよ♪」
… … …
… … …
…営業車両でオフィスに戻ってきた俺は、
ソッコー、チーフに相談した。
「利用者さんが、花柄の車椅子に乗りたい、って、言うんですけど、どうしたものか?…と。」
チーフが言う。
「レンタル車椅子で、そんなん、ないぜ…うちに卸してくれる業者のカタログ見せて、そこの中から、なるべくカラフルな車椅子だな…。」
「レンタルじゃなくて、購買なら、選択肢は広がりますよね…!」
「…なぁ、色々と提案してあげるのは、いいが、うちでは出来ること、出来ないことあるの、
おまえ、忘れんなよ……あと、ネクタイ、緩ませすぎや!オフィスでは、もっと、しっかり締めとけ!!」
「はい!」
チーフは去り、車椅子のカタログをパン片手に食べながら見ていた俺の前に、いつのまにか、経理の野田順子さんが座っていた。
彼女は、来年、定年である。
野田さんが、俺に言った。
「あなた、来月、入籍なんでしょ…
したら早く子供つくりなさいね…!」
俺はカタログから自身の視線を、
野田さんの顔に移す。
野田さんは続ける。
「子育て、って若くないと出来ないのよ!
もう、大変なんだから…!!」
俺は、モグモグしながら、
野田さんに返した。
「チーフは、お子さん、3人いますが、
『子どもなんて、勝手に育っていくもんさ…!』って、言ってましたよ…。」
「チーフの家庭は、そうだったかもしれないけど、今や、もう殆どが共働きで、子供には塾だ、習い事だ、そして、その送り迎え…
わたしは、今の時代で子育てしなくて良かったわ……まぁ、おばちゃんの小言でした…♪」
そう笑い去る野田さんの後ろ姿に、
僕は声を張って言った。
「あの…野田さん、ありがとうございます!!」
「仕事に根つめるのも、ほどほどにね~♪」
… … …
… … … …
… …【…僕には二歳下の弟がいる。
弟と、僕は、ツーカーなのだ…。
弟が言う。
「兄ちゃん、あのアニメ番組も、
《サザエさん方式》だ!(笑)」と。
みんな、歳をとらない。
日本人の、あるべき姿が、
永劫に繰り返される……
クレヨンしんちゃん、も、そう……
誰も歳をとらない…
しんちゃんは、野原ひろし、が、
30の時に授かった子である…。
もう、そういった呪縛から、
僕を解放してくれないか……?
国民的アニメ番組…
こうあるべき日本家族像… …
そこに届かなかった今の僕にとって、
かつての『夢』、『理想』、『目標』は、
もう『呪縛』でしかない……。】
佐野 大地
「彼女、ほら、あれだ……アルバイター!
昔で言う…」
僕
「…フリーター?」
そう、それ!!
…佐野、君は3年も何処に、いたのだ…?
その彼女……今は何処に、おり、
何をしていて今年、何歳に、なるんだ……?.




