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(第20話)試練は続くよ、どこまでも!

初出勤の日。

朝食会場、売店と渡り歩いて3時間。

9時過ぎ。

もう、一日分は仕事した感じ。

お客様も、ほとんど出発され館内は静かになった。

先ほどの戦場みたいな喧騒は、どこへやら。

もうこれ以上の試練は、

ないやろうと内心ヤレヤレ。


本田さんの後ろをついて行きながら

「次の仕事はなんでしょう?」

と聞いてみた。

本田さん、例によって一言。

「どんでん」

どんでん?なんやろ?

ま〜行ったら分かるか。


エレベーターで7階に。

しばらく歩く。

畳の敷いてある大広間。

団体客の朝食会場だったのか、

食べ終わったお膳が、

ズラァ〜っと4列に並んでいる。

すでに和服姿の仲居?さんと男性スタッフが

片付けにかかっている。

 

あ〜これのお手伝いか。

これならと思って、お膳を持とうとしたら

「イカン、イカン、邪魔、邪魔。

 あんた初めてか?座椅子をあっちの倉庫に

 持って行って」

(私)

「ハイっ」返事だけはエエ感じ。


座椅子の座布団を後ろにのけて

折りたたんで。

これを2回やって

両手に、一脚づつ持って、倉庫に行こうとしたら。

「コラっ〜〜〜〜〜おみゃ〜遊んどんか。

 あそこの人、見てみ〜〜」


あそこの人を見れば

座布団を座椅子の後ろに、座椅子を折りたたみ、

積み重ねる。

それを7、8回。

腰の高さぐらいになった座椅子を、足早に倉庫へ。

一連の動きに、ムダがない。しかも早い。

至高の領域。練り上げられた肉体。

柱だな。

鬼滅の刃風に言えば、SANZUの柱かもしれない。


見惚れていると、「邪魔〜〜〜〜〜」

私の後方から仲居さん。

一列に並んだ座布団を前に前に。

10枚ぐらい積み重ね、ヒョイと持ち上げる。

タスキをかけ、うしろ姿のバッテンから

羽根が、はえているみたい。

まるで蝶のように、軽やかに舞って去っていく。


鬼滅の刃風に言えば、柱の一人か?

この人の名前は、しのぶさんに違いない。


怒涛の片付けは、瞬く間に終わった。


本田さんが近寄ってきた。

「11時から、ここで結婚披露宴があります。

 その準備」


私は、それやったら座椅子と座布団、

なんで片付けたんやろう?と

不思議やった。


責任者みたいな人が、手をパンパンと叩き

「じゃ今から、どんでんいきます。

 適当に、左右に分かれて」


どんでん???


みんな、慣れているのか、

だいたい同じ数で、二手に分かれる。


左右の一人が畳を一枚

はがす。

その畳を別の人が、受け取り運び出す。

最初の人は、はがした横の畳を起こす。

別の人がそれを運び出す。

端の一列が、なくなっていくと

そのスペースに人が入る。

次々と畳を起こし運び出す。

これを理路整然と

こなしていく。

それを、左右から横一列で、真ん中に攻めていく。

畳の下は、大理石風?の床である。


私は、畳を持ったことなんかないので、

なんとも、自分でも恥ずかしいぐらい

不恰好に運んでいる。

10枚ぐらいは運んだ。


どんでんが終われば、

見事に大理石風の床が出現した。

畳の大広間から

立食のパーティ会場に模様替えである。

そうか。どんでん返しの

どんでんか。


責任者が、手をパンパン。

「皆さんありがとうございました」


本田さんが近づいてきた。

「ホテルでの仕事の流れ。ほんの一部ですが

 少しは理解できましたか?」


(私)

「正直のところ、ホテル業を甘く見てました。

 そして当然ですが、

 皆さんプロフェッショナルでした。

 私だけが、ど素人。」


(本田さん)

「誰でも初めは、ど素人です。

 先輩や同僚から、教えられ、怒られ、励まされ。

 お客様に鍛えてもらう」


こりゃ、

とんでもない所へ、就職したもんや?


でも、

さらに、感動と驚きの光景が待っていようとは!


           つづく


次回(21話)魅せる!


       をお楽しみに





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