龍帝陛下と胡蝶蘭
悲恋に挑戦したけどこれで良いのか不安です。私は悲恋は普段見ない派なので、当ってるのか不安です。やっぱ私にはハッピーエンドが合っている気がします。
私はラン、今年で16歳になるの。私の夢はこの世界を冒険することと世界の美味しい物を食べることが夢なの!だけどそんな私を嘲笑うかのように私に興味のなかったお父様が私に婚姻話を持ってきたの。
「お前がついに役に立つ時が来たぞ!」
そう言いながら私の部屋とも呼べない場所にお父様が入ってきた。お父様は私の腕を掴むと侍女達に私の事を任せるとルンルンな様子で去っていった。
私は侍女達に風呂に入れられた後豪華な服に着替えさせられた、その後トントン拍子で私は結婚式をする暇もないままこの国の龍帝陛下に嫁いだ、が龍帝陛下は初夜には顔を出さず、仕事に明け暮れているようだ。部屋の外に居た侍女がそう言っていた。クソが、花嫁を放って仕事に明け暮れるか普通、普通に考えておかしいわよ!まぁ、冷遇されるのにはもう慣れたわ。
こっちがその気なら私にも考えがあるわ!おほほほほほほほほ!見てなさいよ!クソ龍帝が!おほほほほほ
そんなこんなで私は自身に与えられた離宮で自由気ままに畑を耕していた。クッ!そう簡単に見返せるもんですか!どうすれば龍帝を見返せるのかしら?う〜ん悩み所ね……そうだわ!私が逃げ出したらどうなるのかしら?うふふふ、逃げ出したらさぞ驚くでしょうね!でも、下準備が必要だわ。どうしようかしら。
「何してるんだ?」
う〜んまずは資金調達よね!次に必要なのは服ね、貴族の服じゃ目立っちゃうし。
「おい」
後、必要なやつはあったかしら?……………………あ〜!?そうだわ地図が必要よね!危なかったわ〜気づいて良かったわ。
「おい!」
「おわっ!?」
あらやだ、驚きすぎて変な声が出ちゃったわ。てゆうか誰なの?コイツ、コイツって言っちゃダメね!このお方は誰なのかしら?
「俺が誰かか?」
「あ、はい」
私が何を考えてるのかわかるの!?
「さっきから百面相してるから何を考えてるのかわかるぞ」
マジか!いやだわ〜バレてるなんて
「で、ここで何をしてるんだ?」
「え?畑仕事ですけど」
何言ってんだ?この人、畑にいるんだから畑仕事でしょうに
「何故畑仕事をしてるんだ?食料は毎日届けられているだろう?」
は?何言ってんのこの人?マジ意味わかんない、私の元に食料なんざ届いてないわよ。知らないのかしらこの人
「食料なんて届いてませんよ?だから畑仕事をしてるんですよ?」
「なんだと!?」
なんだなんだ?いきなり怒ってカルシウム不足か?
「いきなり怒ってどうしたんです?」
「あ、あぁすまない、ここには毎日食料が届けられていると報告されていたからな」
「へ〜そうですか」
私は、だろうなと思いながら手を動かしていた。
だってあの侍女達感じ悪かったものね〜本来なら私の侍女になる予定だったみたいだけど、完全に私を舐め腐ってるのよねあの子達。まぁいいけど別に。
「すまない」
「なんで貴方が謝るの?」
「いや、つい」
私は不思議に思いながらも畑仕事を再開すると男は私に質問してくる
「君の名前はなんだ?」
「ランよ」
私は応えながら畑仕事を続ける。
「そうか、ランか……何歳だ?」
「16」
「何故ここにいるんだ?」
「なぜって?だってここに居るのは必要なことなんだもの」
「そうか」
暫くの間沈黙がこの場を占める。私は仕事の手を止めて男を見、質問する。
「貴方の名前は?」
男は下げていた顔をバッと上げると嬉しそうな顔になり応えてくれた
「リウだ!」
「そうなの……なんでここにいるの?」
「……ここにはちょっとした用事が近くであったからついでに来てみたんだ」
「ふ〜ん」
私は目線を畑の方に向けて仕事を再開した。男、リウは私の畑仕事をずっと見続けた、正直ちょっとウザかったわ。
あの日から暫く経過したがリウは毎日私の元に来るようになった。そういえば、リウが初めて来た日の翌日から食料が届くようになったのよね〜リウが誰かに言ってくれたのかしら?
リウと過ごす毎日が当たり前になってしまった私はリウが来るのを待ちわびるようになってしまった。
私、毒されているわ!あ〜嫌だ!べ、別にリウのこと好きじゃないんだからね。まぁそんな冗談は置いといて、本当に毒されてるわ。どうしましょう?リウがいるのが当たり前になってしまったわ。ウガッ〜!
「また百面相してるぞ」
そう言って私の鼻を摘んだリウは微笑んだ。それにドキッとしてしまった私は本当にリウに毒されてるんだろう。
「してないわよ、今日はどうゆうご用事で?」
「秘密だ」
そう言って微笑んだリウにまたもやドキドキさせられた私は素っ気なく返した
「……そ」
リウは気にした様子はなく、私に話しかけてきた。
「相変わらず、畑仕事をしてるな」
「えぇまぁね」
「何故だ?食料は届くようになっただろう?」
私はその言葉を聞いた瞬間リウの手を取ってキラキラした目で言う。
「そうなのよ!食料が届くようになって料理のレパートリーが増えたのよ!もう毎日が幸せだわ!」
「そ、そうか」
はっ!?つい興奮気味に話してしまったわ、引いてるかしら?
そう思ったのと同時にリウが笑いだした
「アハハハ!面白いな、ランは」
「どこがよ!」
「全部だ」
「ちょっとレディに対して失礼じゃない!」
私が怒るとリウは謝りながら涙を拭っていた。
リウは私にいきなりあの日のように質問してきた
「ランは夢はあるか?」
「ゆめ?」
リウが頷く。私は自分の夢を語るのを恐れた、またあの時のように馬鹿にされるのでは、と。だが今まで見てきたリウはそんなことをする人ではないことを私は知っている。
「私の夢は世界中を冒険して美味しい食べ物を食べることよ」
「そうか、それは良い夢だな!」
私はそんなリウの言葉を聞いて安心した。あぁ、やっぱりリウは馬鹿になんてしないわ!良かった、良かった。
「大丈夫か!?」
そう言って私の目元にリウの手が触れる。私はいつの間にか泣いてしまっていたようだ
私はそんなリウの優しさに触れて笑顔になった
「嬉し涙よ」
リウはホッとした顔になって微笑んだ
「そうか」
二人して笑いあっている日々、そんな日々が私にとっては楽しかった。あの日が来るまでは。
ある日のこと私が久々に読書をしていると部屋の扉からノック音が聞こえた。
私はリウだと思って返事をした
「どうぞ」
扉が開き入ってきたのは真面目そうな侍女だった。私はおかしいなと思いながらも侍女の方に体を向けると侍女は私に向かって衝撃の一言を落とした
「龍帝后様、今夜龍帝陛下がお越しになられます」
私は目を見開いたまま固まった。そして続けざまに侍女は爆弾をおとした
「今夜閨をするのだそうです」
そう言うと侍女は「失礼しました」と言いながら去っていった。
私はとても焦っていた
「どうしようどうしようどうしよう」
私はグルグルと部屋の中を周りながら考える。
どうしよう!閨なんてしたくないわ!私はリウが好きなのに!はっ!?認めちゃったわ!?………………うゔ〜認めるわよ!好きよ!リウのことが!どうしよう?本当に、やりたくないわ。あぁ嫌だ!
……そうだわ!
私は思い付いたことを実行する為、リウが来るのを待った。
リウが私を見つけて微笑む。私もリウに微笑んだ、リウは私の元に来ると笑顔で
「今日は龍帝陛下が来るのだそうだな!」
私は固まった。
リウは龍帝陛下が私の元に来ることを望んでいるの?
ううん、今はそんなことを考えている暇はないわ。たとえリウが望んでいようと、ね。
私はリウに抱き着くとリウは慌てだした
「何してるんだ!?」
私はあの作戦を実行した
「リウ!私とキスをして!」
「何を言ってるだ!?できるわけないだろう!?」
「……そう」
私は一言呟いた後、リウから離れた。リウは今頃何か私の様子がおかしいことに気づいたようだ
「どうしたんだ?」
そう言って私に触れようとしたが、私はリウの手を弾いた。私はリウに嘘の笑顔を向けた
「さようなら、リウ」
そう言って私はリウを追い出した。リウは最後まで何か言っていたが私は聞こえなかった。
悲しんでいる暇はないわね、早く早く、龍帝陛下が来る前にいなくならないと。
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同日、午後9時龍帝陛下が龍帝后の死体を発見。遺言書には自分には愛する人がいるということが書かれてあった。
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(リウside)
どうしてだ、どうしてランが死んだんだ。何故だ?ランの愛する人は誰なんだ。
「龍帝陛下」
俺は侍女を見た。侍女頭は土下座をして俺に言う
「申し訳ありません!わたくしのせいでございます!」
「なんでだ?申してみよ」
侍女は悲痛な顔をしながら
「わたくしがあの日、龍帝后様に閨があると申しました。だから龍帝后様は……………」
途中で侍女は黙った。
そうか、ランは俺と閨をしたくなかったんだな。ハハハッ
俺はポロポロと涙を流した。
どうすればランが死なずに済んだんだ?ラン……ラン!
俺はずっと涙を流し続けた。
あの日、初めてランに会った時俺は一目惚れをした。
ランと話す日々は俺にとっての幸せだった。だからランの素性を調べたらランは俺の妻だった!嬉しかった、あの日のことをよく覚えている。とても喜んだ。
なのに、ランは死んでしまった。どうすれば良かったんだ?ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!ランランランランランランランラン!俺を置いて逝かないでくれ!
俺は泣き崩れた。側近達が駆け寄るがそれを気にしていられる程の余裕は俺にはなかった。
くぅ〜ランとリウが可哀想ですね〜すれ違った末の結末、まぁ私には関係ないので知りません。私は責任は負いませんからね!