城 奨大の救い方
この物語は、死神と選ばれた人間のお話。選ばれた人間(城 奨大)は死神と契約を交わし、色々な人を救っていく。だが、救われ方は人それぞれ。その問題をどのように解決するのか。
死神と選ばれた人間
「ねぇ、君。生きたい?死にたい?」
「いつか幸せになれる。いつかきっと。」
ずっとそう思って生きてきた。
5歳ぐらいの時は泣き喚いていた。小学生の頃は泣きながら痛みに耐えていた。中学にあがると、絶望からか涙も出なくなっていた。
4月10日午前1時。俺はいつものようにベランダで勉強をしていた。母親は水商売、父親はパチンコ。電気代の無駄だから電気をつけない、そんないつも通りの日だった。
月明かりに照らされた5ミリくらいの文字がたくさんあるノートを大きな影が覆い尽くした。
「ねぇ、君。」
上を見上げると知らない人が立っていた。
「ヒュッ」
汗がこめかみから頬につたうのが分かった。
「生きたい?死にたい?」
「こ、ここは、さ、3階、ですよ。」
声がふるえた。
「うん。知ってる。けどまぁ、階数とか関係ないから。」
言っている意味がわからなかった。
「あっ、消えた、、。」
「ここだよ」
「ヒッ」
その人は知らない内に家の中に入っていた。靴を脱いで。
「な、なんで、な、中に」
「それはね、この死神のおかげ。」
「し、死神、、。」
そいつはいかにも死神という格好をしていた。ありえないほど足が細く、端がボロボロの黒いローブを着て、デカい鎌を持っていた。そして、肌はありえないほど黒く、見た目の全てが死神だと物語っていた。
「この死神のおかげで、瞬間移動ができる。」
これは夢なのか?死神とかこの世にいるわけないし、まずこの人だれ!
「まずは自己紹介が先か。怖がらせてごめんね。俺の名前は城 奨大。こいつはヨネ。言葉は話せない。でも、俺はこいつの言葉が聞ける。」
「なんで分かるんですか?」
「うーん、ちょっと長くなるけど、聞く?」
「、、、はい。」
次回は、城 奨大の過去が明かされる。奨大はなぜ死神を呼んだのか。死神とどんな契約をしたのか。死神と奨大の関係は!