プロローグ
私が産まれた時、ちょうど桜の満開日だったらしい。
だから、名前は「サクラ」。
なんて、安直。
いつだったか、小学校の宿題の一環として自分の名前の由来を聞いたとき、「桜の様に華やかで美しく」「桜の咲く春の様な暖かく穏やかに」…たくさんの意味を教えてくれたけど、全部後付けじゃないかと思えてしまう。それに、産科の病室から本当に桜が見えたのかも疑問である。
まあ、こんなに捻くれた感情を抱くのは、私は桜が嫌いだからだろう。
毎年、開花宣言をする程今か今かと待たせたかと思えば、あっけなく散ってしまう。満開からは1週間ほどで散るらしい。儚い、といえば聞こえはいいかもしれないが、そんなに期待して待たせたのなら、折角ならもっと楽しみたい。
それに、桜は「オンナ」の人生も彷彿させる。
結婚が、満開日。
それに向けて、めいっぱい着飾って、良いオトコを品定めして、人生のピークを迎える。
そこからは、仕事と家事と育児を両立し…やっと育児から解放されたかと思えば、親の介護。
「結婚」と共に「オンナ」は散っていく。
散ると分かっているのに。
私―――サクラは、今日も結婚の未来の為に、生きている。




