ゴブリンの長を調査せよ
クロム「金はある…次やる依頼も決まっている…足りないものは…情報か…!」
我が家…今ではパーティーのたまり場と化している安息の地のベッドに寝転がりながら、俺はそう呟いた。
セレナ「次やる依頼では働きたくないんですけど~…」
クロム「普通は休みなんてないんですけどね…それにまだわからないですし。」
次やる依頼は前回のゴブリンの群れの親玉、デカめのゴブリンだ。
名前が弱そうだななんか。でもまぁ正式名称なんてないからなぁ…ゴブリンの長とでも呼ぼう。それがいい。
ただし、俺らがゴブリンの群れを討伐したことで見つけた化け物のため、情報がないのだ。
そもそもゴブリンというのは群れであまり行動しない。というか群れであそこまで量が多い場合はかなり稀なのだ。
だから俺はゴブリンの長はゴブリンを生み出せるのではないか、と考えている。
しかし、やっぱり詳細な情報がないと厳しい。どうしたものか…
クロム「俺が働くか…!」
俺はそう言いながら立ち上がった。
ネックレスをかたどった魔道具を身に着ける。こういったものを戦闘用アクセサリと言って、二つ以上つけるとぶっ壊れて爆発する、どう考えても店頭に置いたら危ないだろと思う商品だ。市場で買った。
これは一回だけ死んでも家にテレポートできる便利な戦闘用アクセサリだ。
ただ最近の冒険者ではどちらかというと身体強化系の戦闘用アクセサリを使用するらしい。まぁ使い切りだしな。
今回は俺が捨て身で向こう側の調査をすることにした。なるだけ生き残れたらラッキー程度で考えよう。
クロム「ここかぁ…!」
洞穴までの道を歩き、前回より広く感じられる洞穴についた。ゴブリンがいないからだろう。
ただ広いぶん大きさも感じる。前回にはなかった威圧感がある。
クロム「さてと…ゴブリンの長の性質…ある程度わかればいいな…!」
そう自分を鼓舞して一歩踏み出すのだった。
クロム「なんだこれ…!キッモォ!!」
俺は開始早々大声を上げていた。
結論から話そう。ゴブリンの長からつばをかけられ、かけられたところからキノコが生えた。
いやキモいだろ。
さらにそのキノコからゴブリンのようなものが排出されるではないか。
俺の動きも鈍くなってきたし。なるほど、なんとなくわかったきがするぞ。
これは生物に住み着いてそいつの栄養からゴブリンを増やしているんだ。キモ。
それにあのつばかなり多かったし。防げないだろうな。キモすぎ。
その割にゴブリンの長は全く手を出してこず、ただただつばを吐きかけるだけだ。
俺はやる気をなくし、そうそうに自殺して家に戻ることとなった。
クロム「という訳です。」
レイバ「なんつーか…ご愁傷様」
キノコを一応もいで持ち帰ったのだが、これは使えるのか?
疑問に満ちた視線をその汚物に向けて投げかけながら会話を続ける。
クロム「レイバさん、キモかったですあいつ。」
レイバ「わかったって。落ち着けよ。」
クロム「…そういえばレイバさんの友人に鑑定できる人がいるんでしたっけ?その人に鑑定してもらおうかなコレ…」
レイバ「なるほど…そうだな、一応連絡してみるよ。」
突破口…あってほしいな…いやないだろうな。
なかったら無駄足だったな。にしてもキモかった。
二つの理由で頭を抱えながら、鑑定の人を待つのだった。