第四話 訓練
目を醒ますとミハルが横に居なくなっていた。
周りを見渡すと朝食を作るミハルの後ろ姿があった。
もうこの光景も慣れてきたなと思いつつも
「おはよう」と声をかけるとミハルはびくっとして
「お、おはようございます」と顔を赤くして返事をした。
今日の朝食はいくつかの草と実を混ぜて、その上に酸味のある果汁をかけたもの。
モンスターの肉を薄く切ってこんがりと焼き上げたもの。
後は薄い茶色で柔らかい不思議な食べ物だった。
「これは何だ?」と尋くと
「玄米です。まさかここにあるとは思わなかったですけど。」と言われた。
初めての食感だったがとても美味しかった。
また、ミハルは家の掃除もやってくれた。
長らく使っていなかった竈も掃除したから再び使えるようになった。
ミハルが来てから1ヶ月ほど経ち、ミハルの傷がほぼ完治した。
全力で走ってみても大丈夫な様子なので訓練を開始。
教えるかどうかはだいぶ悩んだ。
くだらない理由だったら却って命が危険に晒すことになる。
力を持っていたら目をつけられたり、ないとは思うが人を傷つけてしまうかもしれない。
でも、彼女には覚悟と理由があった。
もしかしたら勝機がなくても仇を討とうとしてしまうかもしれない。
だから俺は彼女に戦い方を教えることにした。
また、「しばらく帰れなくなると思うが大丈夫か?」と聞いたら「家族とかはいないので大丈夫です。」と返ってきた。
悪いことを聞いてしまったのかも知れないと反省した。
最初は武器選び。
倉庫に置きっぱなしになっていた様々な武器を取り出す。
「ずっと置いておいたが定期的に手入れはしているから。
怪我に気をつけろよ。」
「はい。」
何故武器選びからなのかというと使う武器種によって必要となる筋肉が異なるからだ。
一つ一つ武器を持ってみたり、振ってみたりしていく。
一通り見た後、ミハルは一つ、いや一組の武器を手に取った。
双剣だ。
攻防一体で連続攻撃を得意とするが、使いこなすためには腕の筋力と全体的な敏捷性を上げなくてはならない。
その日からは軽めの筋トレと双剣の素振りを始めた。
感覚というのもとても大事な要素だ。
双剣がスムーズに振れるようになったあたりから反応速度や剣の操作などの練習も取り入れた。
双剣の練習と同時並行で魔法も教えてみたが物凄い速さで習得していった。
そんなこんなで訓練開始から七ヶ月が経った。