アイザック工房 01
アイザック工房、言わずと知れた有名店。
ここに就職が決まった時は嬉しかったし誇らしかった。
工房長のアイザックさんがいない時に職人さんから少し無茶な頼みを軽々しく聞いて失敗して設備を吹き飛ばした。
怪我人が出ないように調整はしたけれど代わりに設備類のほとんどと商品の一部が吹き飛んだ。
現場の臨時責任者に叱責され解雇を言い渡された。
そんなアイザック工房にアイリと共に入っていく。
「こんにちは、農具の追加購入をしたいのだけど」
店員に気軽に声をかけ
「付与のほうはどうします?今オーナーをお呼びしますね」
付与とは魔法で様々な効果を付随できる。
農具でいえば身体強化に先を鋭くして簡単にサクサク作業をこなせるようにするのが一般的だ。
「よう、よく来たな、アイリの嬢ちゃん」
「もう成人したんですし嬢ちゃんはやめてくださいよ」
アイザックさんを前に俺は緊張の為に鍔を飲み込む。
「あの、アイザックさん工場吹きとしばしてしまってすみませんでした。」
「クロードも来てたのか、ありゃ、お前さんのせいってだけでもなくてな、ただ規模が規模なんで庇うわけにもいかなくてなぁ、今はどうしてる」
「アイリの所で下働きみたいなことをしてます」
「いやぁ、正直猫の手も借りたいぐらいに忙しいから助かってますよ」
「そりゃ、よかった。で付与はいつもの奴でいいのか?」
「従業員も増えたことだし一式そろえておこうかと思って」
「凡庸タイプとカスタムどっちにする?」
凡庸は人を選ばず付与の効果をカスタムは使う人に合わせてより使いやすいように調整を加える。
「カスタムでお願いします、クロードように」
「よしわかった、そしたらこれに手を載せてくれ」
アイザックさんに促され測定板に手を載せる
あっという間に測定が終わり
「これで終わりだ、納品はでき次第届けさせる。後、これは親父さんに頼まれてた罠一式だ。ついでだから持って行ってくれ」
「早めに設置したかったので助かります」
ずっしりとした袋の中に虎バサミが収まっていた。
森や山から獣や魔物がおりてきて畑を荒らすことがある。
畑の近くに設置して被害を未然に防ぐと同時に大事な収入源の一つになる。
「明日は家にある奴とそれで罠を仕掛ける作業ね」
明日も中々ハードな1日になりそうだ。