農作業 01
改めて僕はクロード、クロード・ホース。
現代日本からよく似た異世界に転生を果たした。
この世界の最大の特徴は人々が魔法を操ること。
転生前は火事で亡くなったせいか僕の得意魔法は火だ。
「クロードぼーっとしてないでここを耕しておいて、それが終わったらあっちね」
彼女は幼馴染のアイリ・カエデ。
ニートで家なき子になった僕を拾ってくれた恩人ではあるのだけど人使いが荒いのが玉に瑕だ。
「うへ、この範囲を僕一人でやるの?肉体労働に向いてないって知ってるだろ」
文句を言いつつ言われた範囲に鍬を立てる。
この世界の農業は現代日本よりは楽だといっても基本的な部分は変わっていない。
品種改良によって虫がつきにくく不作にはなりにくくなっているが苗を育ててそれを植えるのは手作業なのだ。
当然、畑を耕して畝を立てなければならない。
土魔法が得意な人は魔法であっというまに終わるそうだけど僕もアイリも残念ながらそこまでの技能がない。
僕が耕しアイリが運んできたピーマンの苗を植え直す。
植え直す時に失敗すると定着率が下がるとのことで僕は手出しさせてもらえない。
休憩を挟みながら黙々と畑を耕して午前中の作業を終える。
アイリに綺麗な水を出してもらい手を洗いアイリの手作り弁当を食べる。
料理が昔は苦手だったのに少し会わないうちに上達していてどれも美味しかった。
午後からは午前中に耕したところにジャガイモを植える予定とのことで灰作りを何故かやらされた。
その脇でアイリはジャガイモを次々切り、断面に灰をつけていく。
これをしておけば病原菌や腐敗を防いでくれるらしい。
二人で大量の加工済みのジャガイモを運び一定間隔で植えては土をかけていく。
それを日が傾くぐらいまで続けなんとか作業を終えて本日のお仕事は終了したのだった。