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2話  謎っぽい人、井上くん

井上くん。   井上青嗣くん。

何部に入ってるのかも、知らない。

同小じゃあないし、隣の席になったとはいえ、班が違う。

よって、話をしない。にいたる。


その人がコンパスを、しかもだいぶ快く差し出してくれた。

なんか、・・・やさし。

良い人だ。すご。

「どうもっ、すぐ返す!」

「いやいや、別にゆっくりして? 俺、」

井上くんは数学のおっさんが他の席に行ったのを確認するように、

教室を見渡した。

「・・・数学、真面目にしてねぇから。」

声を潜めて、彼は真面目な声で言った。

すぐ後にくっくっくっ、とふきだすみたく笑い始めた。

・・・うおっ!

やさしいうえに、良い人なうえに、数学真面目じゃない人だ。


「わたしも、数学無理! しんどい!!」

「ははっ、だよなぁ。俺もしんどい、しんどい。」

「だからコンパス、貸していただいて悪いけど、返す。はい、ありがとうございました」

「使えやっ、・・・って、千葉県にいるネズミをコンパスで作んな!!」

「せっかくだから、使わずに返すの悪いかと思いまして、へへ。」

「へへ、って。まいっか。つうか千葉遠いよなぁ、千葉っつったら千葉ロッテマリーンズ。」


・・・・あ?

野球。球団だ。千葉ロッテ。

井上くん、もしや野球好きか??


キィィン、コォォン、カァァン、コォォン。



チャイムが鳴った。

数学から開放される、仮病と出張以外の、唯一の「愛の鐘」。



「きょーつけ、れいっ、ありあとあんしたぁ。」


「、おし。

ところでさ、井上くんって、

・・・・野球好きだったりするかな?」

聞いてみた。

井上くんは、なんつうか、「うれしい顔」して、言った。

「俺、まじ野球好きだよ!!塚本さんは、・・・違うか?」


・・・・ビンゴだ!?


「わたしも野球まじ好きっ!!

すっごいねぇ、奇遇だ奇遇だ。おぉもしろーい。」

「うん、すげえ。奇遇だ。

な、塚本さん何部?バレー?吹奏楽か??」


い、

言いたくねぇぇぇ。

ちょっとばかし、井上くんを見てみる。

めっちゃ良い笑顔で、どーしよ。


嘘吐くとこじゃ、ないもんな。

どんびかれるの覚悟だよ。

「えぇと、・・・き、帰宅、です。」

・・・はぁ。

めっちゃ引かれたかも。

てゆか、そうなんだろなぁ。

せっかく野球で話できる人、できたのに。

なんでウチの中学、帰宅少ないのかなぁぁ。

「うっそ、」

ほらぁぁ。


「俺も帰宅っ!・・・いやぁ、まじですんげぇ奇遇だな、俺ら。」

そう言ってやっぱ、井上くんはきらきらした笑顔で言った。



・・・・。

え、まじで帰宅??

4とか5話ぐらいまではまだ話が始まりません。

準備期間。

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