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1970年、東京都の中心で謎の生物が暴れ、一万人以上の市民が死亡した事件。
その事件をきっかけとして、魔物、普通の動物とは違い人類に対して明確な敵意を持つそれが全人類に認識されるようになった。
それまでは誰にも知られることなく処理されてきた魔物は、急にその数を増大、最早、秘密裏に処理することが不可能になり始める。
そしてそれとほぼ同時期に世界中では巨大な塔が出現し始めた。
ダンジョンと呼ばれるようになったそれはこれまでには存在していなかった未知の鉱石などを含んでおり、人類はそれの有用性を認識、その塔の調査に乗り出すことを決定する。
しかし、中には多くの魔物が存在しており、探索は困難を極めた。
そこで各国は、『DSG(Dungeon Searcher Group・ダンジョン探索者組合)』と呼ばれる組織を設立、そして、これまで魔物と戦い続けてきた人物らを教師とした学校を運営することを決定した。
その学校で育てられた生徒らは、『探索者』と呼ばれ、魔物を単独で退けることが可能であり、ダンジョンから多くの資源を持ち帰ることが可能な他、その戦力は武器を持った兵士数十人よりも高い。
そんな彼らは国にとって、力であり、重要な資源でもある。
二十二世紀――2150年となった今でも世界中では『探索者』の育成に力を入れており、手を取り合う気配は微塵もない。
探索者、人知を超えた力を発揮する彼らになるには才能が必要だ。
そして、探索者になったとしてもより高みに上るには更なる才能がなくてはならない。
この世界は残酷だ。
才能が無ければ切り捨てられる。
実力がなければ排斥されてゆく。
なにより、力がなければ魔物に蹂躙される。
この世界に平等などという美しい言葉は存在しないのだ。