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100万年を超えた再会

そして、彼は再び別なコンセプトで世界を再建する。

今度は科学文明を発展させるのをやめ、意思の強弱で世界に影響を与えることができる力-魔法をデグレーションに与えてみた。

そうして数千年がすぎた、ある日-

中世ヨーロッパの農村のような土地で、少年たちの罵声が響き渡る。

「てめえ!きもいんだよ! この豚が!」

多くの少年が、一人の小太りの少年を囲んで暴行を加えていた。

やはり、殴っている少年も殴られている少年も、ほとんど同じ顔をしている。

「もっと泣けよ。ごのデブが!」

「オラ!芋をよこせよ!」

思うさま弄ったあと、その少年が抱えていた芋を取り上げて去っていく。

「ほんと、きもいわね。視界に入るだけで、鳥肌たつのよ」

散々殴られ、全裸に剥かれて放置された少年を、同じ村の幼馴染のツインテール少女が虫でもみるかのような視線で見ていた。

他の村人たちも彼をみてあざ笑うか、気持ち悪そうに顔をしかめるだけ。

長い間地面に伏せて沈黙していた少年は、静かに立ち上がると、一言つぶやいた。

「なんでこうなるんだろうな」

創造神の魂をもつ少年は、以前と同じようなつぶやきをもたらす。

彼がそうつぶやいたとき、村の中央に設置されていた、魔法玉が輝き、空中にえらそうな男の画像を映し出した。

「親愛なる我が民よ。にくむべき王国を滅ぼすため、わが帝国は、ついに極大消滅魔法キエルーラを開発した!」

偉そうな顔をした太った男、魔法皇帝がそう宣言すると、彼の後ろに魔術師たちが複雑な魔方陣を描いているのが映し出される。

「やった!皇帝万歳!王国に破滅を!」

興奮した村人たちが、お祭り騒ぎをする。

それを詰まらなさそうに見て、少年は一言つぶやいた。

「駄目だな。やり直そう」

次の瞬間、地中から現れた触手の蔓によって地面にひきずりこまれ、世界からデグレーションたちは消滅するのだった。


「何がいけないんだろうか?」

何度も失敗を繰り返し、再び一人になった世界で、荷物もちー田村良樹は考え込む。

デグレーションたちの生きやすいように世界の環境を整え、自らの精神を劣化版とはいえコピーして彼らの脳にインストールした。

そして彼らに『生めよ・増えよ」と命令して、世界をゆだねてみる。

途中までは彼らはお互いに協力して、自らの生息範囲を広げていくのである。

しかし、彼らが世界にデグレーションたちが満ち溢れるようになると、とたんに彼らはお互いに嫌いあい、憎しみあうようになる。最後には破滅的な兵器や魔法が開発されて、世界の滅亡寸前まで行くのである。

そうなるたびにリセットせざるを得なくなり、彼の望みをかなえる元の世界への帰還がかなう段階まで文明をすすめることができなかつた。

「うーん」

良樹が悩みながら誰もいなくなった世界を歩いていると、何かの影が前方に立ちふさがった。

「こいつらは!グレートダニーか?」

前方にいくつかの触手がうごめき、蜘蛛のような膨らんだ腹を持った異型の生物を見て、良樹は緊張する。彼らはデグレーションたちを襲って、血をすする魔物だった。

「おかしいな。こいつらは駆除されたと思ったけど?」

文明や技術が発展してくると、人間が力を持つようになり、彼らにとって有害な生物を駆逐していく。とくに大型生物であるグレートターニーは、一番の天敵として絶滅寸前まで駆りつくされたはずである。

「……って、考えている場合じゃないか!」

肉体的にはデグレーションの一人である良樹は、襲われるかと思って緊張する。

しかし、彼らは襲ってこようとしなかった。

「ん?」

良樹が不振に思っていると、彼らの中から一匹の巨大な固体が出てきて、思念波を飛ばす。

「カミよ……フタタビ会えて……うれしくオモイます」

良樹の前で頭のような部分を、地面にこすり付けて平伏してきた。

「なんだ。お前あのときのダニか」

その思念波には覚えがあった。100万年ほど前に、彼と初めて思考を交わしたダニである。

「あれから…ワレは、三億五千七百万回も……転生しまシタ……カミにふたたび出会い……お言葉をタマワリたく……」

そのダニは、神と崇める良樹に悠久の時間を越えて再会できたことを、心の底から喜んでいるようだった。

彼の周りにいるグレートダニーたちも喜びを共有し、擦り寄ってきた。

「こら!きもいっての!」

彼らを邪険に扱いながらも、ここまで慕われては悪い気持ちはしない。

永遠に感じている孤独感が、なぜか少しまぎれたような気がした

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