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学園復帰

数日後

復学の手続きが終わり、以前通っていた弥勒高校へ通いだす。

『本当に懐かしいな……一千万年ぶりの母校か」

平凡な通学路ですら俺にとっては懐かしく感じる。

弥勒高校はある特殊な学校として、全国で有名だった。

金さえ払えば、どんなヤンキーやバカでも入れる上流階級御用達の学校なのである。

もちろんそれだけでは形だけでも名門校の対面を保てないので、学力レベルを保つための人材を確保する一般試験やスポーツでの推薦を受けて入学する者たちもいる。

彼らは特待生として学費が無料になるが、その代わり在学中の学内での立場は最底辺に近かった。

俺もその特待生で、クラスではいじめられていた。

「さて。健全な学生生活が送れるといいんだがな」

そんなことをつぶやきながら、校舎に入っていった。

「えーっと、今日から田村が復学する。みな、仲良くするようにな。いじめたりしちゃだめだぞ。なんといっても、こいつは特待生だからな」

担任はニヤニヤしながら俺のことをあてこする。結局復学の時には多額の寄付金を要求して一般生徒扱いするってことだったのに、都合のいいときだけ特待生扱いかよ。また俺をクラスの連中のいじめのターゲットにして、クラスをひとつにまとめようとしているな。

だが、クラスメイトたちの中には俺をじっと見つめているやつがいる。


勇者 大空星輝。

踊り子、朝霞夢美

大魔術師、土御門学

治療師、薬師丸さやか

武道家、武者小路篤

盗賊、春日野恵。


シャングリラ世界で俺をいけにえにした六人の勇者たちは、驚愕の表情を浮かべて俺をじっとみつめていた。


「な、なんであいつが!」

「生贄にして暗黒世界に追放したはずなのに……」

奴らは仲間内でささやきあっている。驚いているみたいだな。

まあ俺の顔なんて二度と見ることはないと思っていただろうからな。

「おい!お前。なんで……」

話しかけようとした星輝を無視して、俺は自分の席に座った。

「無視するな!」

何か騒ごうとしたけど、その前に担任に遮られた。

「静かにしろ。それともう一人、今日からこのクラスに転入する生徒がいる。まあこのクラスとしては三学期だけの付き合いになるだろうが、仲良くしろよ」

そういって一人の女子生徒を招き入れる。それは金髪の絶世の美少女だった。

「はじめまして。ヨーロッパからきた、ダニエル・ダンケシェーンと申します。神……じゃなくて、田村良樹様に仕えるために日本に来ました」

ダニエルと名乗った美少女は流暢な日本語で挨拶をして、優雅な一礼をする。

しかし、その内容を聞いたクラスメイトたちは騒然となった。

「田村に仕えるためだって?」

「ど、どういうことだ!あんなかわいい子が!」

大騒ぎになったので、担任が補足する。

「静かに。ダニエルさんはまだ日本語が完璧ではなく、誤解しているところもあるんだ。彼女は田村の家にホームステイしているだけなんだ」

担任の説明を聞いて、クラスメイトたちは胸をなでおろす。

「なんだ、そういうわけか」

「……仕えるって言葉を誤解しているんだな」

「そうよね。田村みたいなやつに、あんな可愛い子がねぇ」

生徒たちは好き勝手いっているな。

「さて、それでは、ダニエルさんの席を決めないといけないのだが……」

「はいはい!隣の席に!」

クラスのほぼ全員が手を上げた。

「困ったな……」

「センセイ。私が選んでいいですか?」

ダニエルはそういうと、返事もまたずに俺の席に近寄ってくる。

そして隣の席の女子に話しかけた。

「メルシー。席をゆずってくれませんか?」

「え?なんで……」

困惑している女子生徒に、ダニエルは自分がしている指輪のひとつをはずして手渡した。

「席をゆずってくれたら、その宝石あげます」

「うそっ!これって本物?」

女子生徒は指輪を見て目を白黒させている。そこには真っ赤に輝くルビーが嵌っていた。

「ええ。ホンモノです」

ダニエルはにっこりわらっているけど、それって俺の本体で作られた血の塊-血栓だろ?魔王星では老廃物として処理されているものだぞ。

「やった!でも、どうして?」

「カミ……いや、ヨシキ様にはお世話になっていますので、近くにいてそのご恩をお返ししたいのです」

ダニエルはそういって、俺の隣に座った。

「カミ……ヨシキ様。これからもよろしくお願いします」

「ほんと、お前は俺のことになると強引になるよな。こんな所までついてきて」

俺は苦笑して彼女の存在を受け入れる。仲よさそうな俺たちを見て、クラスメイトたちはますます嫉妬した。

「ちくしょう。なんであんなやつに」

「ダニエルさんが田村に変なことされてないか心配」

生徒たちはそういいながら俺をにらんでいる。変なことってなんだよ。ダニエルは俺の娘だぞ。

「ねえ、田村の家にホームステイして大丈夫なの?」

そう聞かれたダニエルは、満面の笑顔で返した。

「ハイ。みなさん良い人で、お仕えしがいがあります。立派なメイドになれるようにがんばります」

そういって俺に向けてウインクする。絶対わかっていっているだろ。

「め、メイドだって?」

「ゆるせん。田村のくせに家ではメイド姿のダニエルさんにご奉仕されているのか!」

「私たちでダニエルさんを救ってあげないと!」

クラスメイトたちは、俺への敵愾心で一致団結する。

そんな俺たちを、星輝たちは不気味そうにみつめていた。

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