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勇者の誤算 大空星輝

地球ー日本

シャングリラ世界から、六人の勇者が戻ってきていた。

彼らはそれぞれ自分たちが召喚された場所に戻されていた。

「……ふう。無事に元の世界に帰れたな」

異世界シャングリラで勇者と呼ばれていた少年、大空星輝がつぶやく。

「まるで夢をみているみたいだったな。私が世界を救った英雄になるなんて」

異世界シャングリラでは鞭使いだった少女、朝霞夢美が感慨深げにつぶやく。

「召喚された日から一年以上たっています。時間の流れは同じだったのでしょうか」

魔術師である土御門学はカレンダーを確認してつぶやく。。

「よかったけど、ちょっとシャングリラ世界のみんなと別れたのはさびしいかも」

治療師にて聖女、薬師丸さやかは寂しそうな顔になった。。

「ふっ。あっちの世界じゃ実戦を経験できてよかった。今の俺なら誰にも負ける気はしねえ。俺は武術で天下とってやるぜ!」

武道家、武者小路敦は雄たけびを上げる。

「帰ってこれたんだ。これからどうしようかな?私は異世界でレベルアップしていたおかげで、大幅に身体能力が上がったしね。これからオリンピック選手を目指そうかな?」

盗賊である春日野恵が明るい未来を想像してはしゃいでいた。

彼らはこの世界に戻っても、今まで身に着けた魔法や身体能力がそのままであることを実感していた。

「異世界で身に着けた体力と魔力があれば、この世界でもヒーローになれるな。さて、俺はどうしょうかな。アイドルになってもいいし、野球選手になってもいい。まあ、ゆっくり考えよう」

星輝はうれしそうにつぶやく。

彼らの脳裏からは、すでに生贄にした荷物もちの少年のことなど消え去っている。

彼らはこれから異世界で手に入れた能力を使って、元の世界でも楽しい人生を送れると思って希望に満ち溢れていた。

しかし、そんな彼らの甘い予想はすぐに打ち砕かれるのだった。


「ばっかもん!一年もどこにいたんだ!親に心配かけおって!」

六人の英雄のリーダー、勇者である大空星輝は、家に帰るなり父親から怒鳴りつけられていた。

「と、父さん。仕方ないんだ。異世界に勇者として召喚されちゃって……」

星輝は必死に弁解するが、父親の怒りは収まらない。

「何をふざけたことをいっているんだ!お前が女の子たちと駆け落ちしたという噂で、私たちは大恥をかいたんだぞ!」

父親は再び怒鳴り声をあげる。母親や妹も彼を冷たい目で見ていた。

「星輝。あんた一年もいなくなったけど、学校はどうするの?元の学校にもどるなら、また高校一年からやり直しだけど」

母親からそういわれて、星輝は絶句する。改めて自分が普通の学生生活からドロップアウトしてしまったことを実感した。

「えー?私、お兄ちゃんと一緒の学校に通うの嫌!私まで変な目でみられるもの……」

以前は自分に懐いていた妹までそういわれて、星輝の頭に血が上る。

「お前、勇者である僕を馬鹿にするのか!」

星輝の体からすさまじい魔力が立ち上る。彼は勇者としてシャンぐれら世界ではちやほやされ、誰からも尊敬されていた。その体験は知らず知らず彼をおごり高ぶらせ、感情の制御ができなくなっていた。

星輝の体から立ち上る魔力が炎となり、周囲を焦がしていく。

「な、なんだ!家に火がついたぞ!」

「あっ!まずい!消火!」

それを見た星輝はあわてて魔力を抑える。リビングのかなりの範囲を焦がしたが、なんとか火を消し止めることができた。

「星輝……あんた、いったいなんなの?」

しかし、家族からは化け物を見るような目で見られてしまうのだった。


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