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ネリーの視点

朝、いつもの時間に起きて家畜と畑の世話をする。

家に入ってネリーに声をかけて朝食の支度。今日もハーブティー(ネリーはハーブティーが好きだから)と椿茶を淹れた。そしてチーズオムレツと野菜と豆と干し肉のスープ。パンを切ってバターを添える。あとリンゴを半分ずつ。ネリーの分のリンゴをウサギリンゴにしたらネリーは思いのほか喜んでくれた。

朝食を食べ終えると片付けを済ませて二人で歩いて王都に向かう。今度馬一頭で引けるくらいの小さい馬車を作ろうかな。ネリーは馬に乗れないから。


ギルドの前でネリーと別れ、俺はギルドに入ってマークさんとサワさんに馬車のことを相談した。ギルドを通して馬車屋に注文することに話がまとまる。すると昼時になったので「ワイの店」のランチボックスをギルド職員に頼んで買って来てもらって昼食を済ませた。

そしてマークさんとギルドの馬車でエドワード様の屋敷へ。屋敷っても用があるのは厨房だから普段着で大丈夫。

以前パニージ塾が発表したウスターソースの使い方と、新しいソースであるトマトケチャップの作り方を厨房で披露した。うん。こうしておかないとネリーの前でケチャップが使えないからさ。何となくだけど。

そしてケチャップは出来るだけすぐにレシピを公表してもらうことにした。早く家で堂々と使いたい。オムレツに欲しい。でも俺、オムライスが恋しくて恋しくて。米、どこかにないかなぁ。手に入ったら一番にオムライス…あーでも白飯に味噌汁も良いよなぁ。

味噌は塾にいる間に随分作ってアイテム袋に相当入っているんだけどなあ。パンに味噌汁は悲しいから、味噌汁を作るのをやめて随分経つ。…もしもここが米が無い世界だったらどうしよう。


話がそれたな。コロッケやとんかつなんかも作って試食も終わったから帰ろうとしたんだけど。

コックさんたちの作る創作料理を講評しないと帰さないってどんな罰ゲームだよ。昼食は済ませたからそんなに食べられないよ。

しかもたまにすごく不味いのがあるんだけど。



「ネリー、あんたタイクさんにどんな料理作ってるの?母さん心配で。」

「作ってないわ。あの人が作って食べさせてくれるの。」

「おい、それって」

「ううん。呆れたのでも嫌われたのでもないの。『得意でも好きでもないなら無理しなくていい。僕がするから。』って。そうしてタイクの作る料理は本当に美味しくて上手なの。父さんが作る料理とは違うから比べられないけど。パニージ塾でも教授に食事を作ってたんですって。」

「じゃあ畑や家畜の仕事は…」

「教えてもらったわ。あの人、一年に一度か二度は薬草の採取をする為に旅をするから、留守の間は畑と家畜を頼みたいって。それくらいは私だって役に立ちたいし。」

「普段は?」

「うん。ひまな時に手伝う程度かな?」

「お前は何してるんだ?」

「縫い物。仕立ての請負しているんだけど、小物作りを昨日ギルドに頼まれたからしばらくはそれにかかりきりになりそう。」

「それで、タイクさんはお前のこと大切にしてくれてるかい?」

「あの人、すごく優しくしてくれる。何だかね、お姫様ってこんな感じかしらと思うくらい。そりゃあ変わっているところとか、すごく物知りだったりするところがあるけど。」

「パニージ塾の教授には貴族の次男三男とか、お姫様もいるそうだからな。」

「そうなんだ。あの人…タイクはそんなこと何も言わなかった。知らなかったのかも。ただ教授たち皆にすごく良くしてもらったって。だから色々なことを習ったのね、きっと。でもタイクは本当に優しいのよ。私一緒になれて良かった。」

「良かったわねぇ。それならいいのよ。」

「うん。うん。」

「あ、そうだ。父さん、リンゴある?」

「何だ?食いたいのか?」

「違うのよ、あのね、タイクが今朝リンゴをこうしてこうして…うさぎだって。」

「あら、可愛い。」

「だがすぐ茶色くなるぞ。」

「塩をね、ボウルの水にこれくらいを溶かして、切ったリンゴを漬けてすぐに取り出すの。こうすると朝から昼くらいまでは色が変わらないんですって。」

「…こういうこともパニージ塾で教わったのかな?あいつは。」

「そうなんじゃない?」



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