塾での生活
その日はジュニアの台所にあった干し肉と野菜畑にあったキャベツと人参とトマトでスープを作った。干しシイタケと昆布の粉末を混ぜた物は大量にストックしてあるのでそれを加える。旨味が違うよなぁ。
昆布は船の航行の邪魔になるから年に二、三回刈り取るんだ。港に放置されてたから(ある程度乾いたら燃やして捨てる。)少しもらって干しては粉末にして、魔法で作った壺に入れて保管してある。
ダシにも昆布茶にもなるからいずれはここ、リハ港のギルドに製法を売るつもり。
パンもストックは沢山あったんだけど、堅くなってたパンが結構あったからすりおろして砂糖を少し(塾には砂糖もあったんだよ!ただ輸入品で高価なんだって)と卵を混ぜてパンケーキ風に焼いた。
ジュニアがあまりがっつくので驚いた。聞けばここ数日間パンとトマトと牛乳しか口にしていなかったらしい。生活能力が無い人なんだろうか。
そしてあてがわれた部屋と自分に清潔魔法をかけ、ぐっすり眠る。
朝。外の野菜畑の手入れをして鶏(屋上で飼ってる)に野菜クズとパンクズをまいてやる。
鶏は八羽もいた。卵は四個。まあまあだな。
外に出て牛を飼ってる家に行く。自己紹介をして幾ばくかの小銭で牛乳を鍋に八分目くらいの量を分けてもらった。
家に戻ると玄関の扉の横に置いてあった蓋つきの籠の中にパンが沢山入っていた。二階で食べるだろうくらいの分を残して三階の家へ。朝食に飲む分の牛乳は小鍋に入れて火を通し、残りはヨーグルトにしておく。タネのヨーグルトはアイテム袋にいくらでもある。
朝食はホットミルクとパン、トマトとレタスとキャベツのサラダ、チーズ入りオムレツ。それにオレンジ。
オレンジとタチバナ(レモンのかわりになる)は屋上にもあるし、他の家にはリンゴの木などもあった。実がなっていたら勝手に食べても良いそうだ。ついでに野菜と干し肉のスープも作って置く。これは昼食か夕食に出せば良い。
出来上がる少し前にジュニアが起きて来た。
「ジュニア、おはようございます。朝食がちょうど出来上がります。召し上がりますか?」
俺もジュニアも朝食を済ませる。
「…君、料理上手いんですね。」
「え?普通ですよ?」
このくらいはね。あ、そうだ。
「ジュニア、この家、砂糖と塩と油と酢しか調味料なくて。しかもどれも残り少ないんです。他にも肉とか買いに行きたいのですが、構いませんか?」
「君は研究より食事が大事?」
ああ、ジュニアはそういう人なんだ。
「というより自分の身体と健康が大事です。人の身体は自分の飲んだ物や食べた物で出来ていますから。」
「そうなの?」
「はい。だからパンだけとか肉だけの食事は良くないんです。パンと肉と野菜は毎食出来るだけきちんと食べないと病気になりやすいですよ。」
「そうだったんだ…知らなかった…」
「病気になったらポーションを飲めば確かに身体は楽になります。でも偏った食事で具合が悪くなったのならポーションは一時しのぎにしかなりません。原因を取り除く方がずっと良い場合があるのです。
逆に病気になりにくいように気をつけて食事をすればかかりにくくなりますし。」
「…え?」
「あれ?そういった研究をしている人、いないんですか?」
「いません。効率の良いポーションの作り方や、手に入りやすい材料で上位ポーションを作る研究をしている人はいますけど。あとは薬草を栽培出来ないかとか、薬効のある植物が他に無いか探していたりとか、ですね。」
「うーん…俺、ここで役に立てそうな気がしてきました。後で研究している人たちを紹介してください。」
俺は朝食の後、お昼までに帰らないようならパンとスープで昼食を取るようにジュニアに言って買い物へ。無論ある程度の金を受け取って。
港には市場があり、商店もある。足りなくなりそうな調味料の他にコショウや味噌(のような物)、魚醤(というより塩辛に近い)と酢を買い漁った。
それから肉と魚も。傷む心配はしなくていいから相当量。野菜は野菜畑があったから少し買うだけ。
家に戻るとまだ昼前だったからジュニアと二人、パンとスープで昼食にした。
その後、ジュニアは自分の今までしていた研究に区切りをつけたいと言って自分の研究室にこもる。俺は生産魔法で大量のマヨネーズとケチャップ、ウスターソースとお好み焼きソースと味噌と醤油を作った。もう自重する必要がないからな。
夕食は野菜たっぷりの味噌汁とポテトサラダ、白身魚のフライとパン。米はまだ見つかっていない。




