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日の丸について

作者: 潮路
掲載日:2017/05/06


 私は日の丸が好きだ。日本ではない。日本の国旗であるところの日の丸が好きなのだ。

 理由は知らない。白地に赤丸というシンプルなデザインが魂に訴えかけてくるのだろうか。

 自分の生まれ育った国なのだから、やはり愛着を持っているのだろうか。

 残念なことだが、この超短編ではその理由を追いかけたりはしない。

 ただ一つ、微妙なわだかまりを吐き出したいだけなのだ。



 日本国旗に描かれている赤い丸……日の丸とは、つまるところ太陽のことを表しているのは分かる。日出ずるところのなんとか……って偉い人が言っていた通りだ。

 そういうことで、曇りなき空に浮かぶ太陽というイメージを勝手に抱いているわけだが、そうなると問題になるのは、背景の白である。

 どう見ても、雲なのだ。雲の色。

 日の丸に抱くのは正に曇りなし、純粋、というものだが、実際の光景に当てはめると、曇りありなのである。

 当然、太陽は雲より上にあるのだから、かかっている雲は割合薄いもので、降水確率は20パーセントくらいなのかもしれない。降っても、パラパラ降ってくるだけで、鞄の中に入れてある携帯傘すら差さないくらいなのかもしれない。

 だが、そういう問題じゃあないだろうと私は思う。曇りは曇りだ。これでは地方のダム開発計画資金みたいに不透明ではないか。

 本来ならば、水色背景の赤い丸ではないのか。

 そうすれば曇りなき晴天。イメージ通りの清純なる日本国旗が完成するはずだ。


・・


 いや、待て。

 何かがおかしい。

 何がおかしいとは断言できないが、なんだろうか、この違和感。青地に赤丸では、魂に響かない。より写実的になったはずのこの日本国旗・改に何の問題があるのだろう。

 私は考えた。空っぽの魂、無い頭、ナンセンス、全てを総動員してだ。


 一時間ほど考えた後、結論として導き出したのは「背景色の塗料代をケチったためではないか」というものだ。

 このように書くと、「何と言う暴言だ、この野郎」などと言われかねないので、補足をしたい。

 日本という国は土地が広いわけではないし、資源が豊富にあるわけでもない為、モノが大量に作れるような場所ではない。無駄な労力や材料も用意出来ない。

 そんな中でも豊かな生活を送る為に、先人達は英知を集めてモノつくりに励んだのだ。その結果が技術大国としての繁栄であることは、お分かりいただけるだろうと思う。


 国旗にしても同じことが言えるのではないか。

 小さい労力で、少ない材料で、最大の結果を出すにはどうしたら良いのかを考えた結果だとすると、辻褄が合うのだ。

 以下、国旗製作者の心のうちを推測してみた。


 人間の血でも代用できる赤い丸とし、意味を訊かれたら「太陽」とでも説明しておこう。一応、日本という名前だから道理は立つよな……

 背景色はどうするか。

 いいんだ、無地のままで。そっちの方が「原材料、コーヒー。以上」と言ってのけたどっかのCMみたいに、より純粋さをアピールできるのだから……


・・・


 こういった経緯で産まれたのだとすれば、「一に倹約、二に節制、三、四に渋って、五に強請ねだり」という和の精神にもピタリと合致するではないか。

 私は自身の発見に歓喜した。そして、忘れかけていた初心を思い出した。


---

 商品はなるべくセール品を選ぶようにしよう。

 ダウンロードするアプリは無料のものだけにしよう。

 募金は有事の時でも無ければびた一文も払わないようにしよう。

 そして何につけても強請ることを忘れないにしよう。

---


 こうして、私のわだかまりは解けた。

 日の丸よ。大切なことを思い出させてくれて、本当にありがとう。


 やはり私は、日の丸が好きだ。

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