表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青葉のレター  作者: ほし
7/13

第6話「春日」

「おはよう」


「おはよう、クレアさん」


「え、あ、お、おはようございます」


学校に来て2日目、クレアは朝、自分の教室で自分の席で他の生徒たちに取り囲まれていた。

転入初日の日は中々みんな近寄ってこなかった。

でも、2日目の今、こうして少しずつ近寄ってきていた。

恐らく、話すタイミングやきっかけがなかったのだろう。

そうクレアは思っていた。


「クレアさん、次の授業は音楽室ですって。もし、よかったら一緒に行きませんか?」


「え、その…」


どうしよう、いきなり誘われた。

このまま行ってもいいのだが、何となく、ノリについていけない。

しかも、まだ次の授業の準備してないのに。

何て答えればいいか悩んでると、隣の席の春日さんが声かけてくれた。


「ねぇ」


「はい、何でしょうか?! 春日さん」


どうやらみんなは春日さんに対して怯えているようだ。

どうしてだろう。


「私、この子と、一緒に行く予定立ててたから」


「あ、そうだったんですね。それは失礼しました、では、また何かありましたら言ってください。力になりますから」


「ありがとう、ございます」


それでは、と、言ってクラスのみんなはクレアから離れて行った。

そして、教室には、クレアと春日さんだけが残る。


「あの、さっきはありがとうございました」


「いや、別にお礼言われるほどしてないし」


「でも、私の中では、すごい感謝してるんです。あのままだったらみんなのノリについていかないといけなかったですから」


「ふーん、まっ、お互いさまってことだね。私、ああいう、騒いでる子たち好きじゃないから。逆に私も静かになってよかった」


「ふふふ」


クレアは微笑んだ。


「何、笑ってるんだよ」


「いや、春日さん変わってる人だなと思いまして」


「な/// それはお前だって同じだろ。髪の毛黄色だし、見たところ日本人じゃないだろ」


確かに日本人ではない。

それはどの人から見てもそう思える。


「…はい、ハーフですね。元は外国に住んでました」


「外国か、じゃあ日本に来て大変だっただろ」


「そうですね、不安なことたくさんありました。でも、青葉さんが助けてくれたので、私は今、こうしていられるんですよ。ほんと青葉さんに感謝してます」


「青葉さん? 青葉って、あの、学校で有名な南小路青葉?」


「はい、名前は合ってますけど、春日さん青葉さんのこと知ってるんですか?」


「知ってるも何も、この学校で有名人じゃん。あの人は、すごいモテて、何人もの女子たちが告白してみんな振っていったって話だよ」


あの青葉さんが、この学校で有名人。

しかも、女子たちにモテて告白されて、振っていった。

とても信じられない話だ。

だって、青葉さんは料理が上手で、優しくて、まあ、誰かに告白されてもそんな次々に振るような人にはみえない。

恋愛に関しては真面目な人に見える。


「そ、そうなんですね」


「まあ、あの人、3年生だし、近づくことはできないけどね。いつも女子たちに囲まれてるし」


「でも、青葉さんは…」


「ん?」


「青葉さんは優しくていい人です。私、まだ青葉さんのこと知らないことたくさんあるけど、いい人なのは知ってます」


「私が見た感じそうには見えないけどな。ま、とりあえず、次の授業行かないと遅れるぞ」


「あ!」


春日さんとクレアは音楽室へと向かった。

そして、お昼休み。

クレアは一人、中庭でお昼を食べていた。

まだ友達はできてないのだ。

春日さんは友達なのだろうか。

さっきまで楽しく話してたから良さそうだなと思っていたが、授業が終わりお昼休みになった時。

クレアはその真実を聞いた。


「クレアさん、一緒にお昼食べない?」


「あ、待って、ダメだよ。クレアさんは春日さんと…」


「そ、そうだったわね。ごめんなさい」


どうしたんだろう、とクレアは思っていた。

せっかくのクラスのみんながお昼を誘ってくれたというのに、クレアから離れていく。

自分は何か悪いことしたのだろうか。

そう思って隣の席の春日さんを見てみる。

春日さんは一人、自分の席でパンを食べてた。

クレアは思いきって、さっきの調子通り春日さんに話しかけてみることにした。


「あ、あの、春日さん。その、お昼」


「あ? 何言ってるんだ、お前。私はいつあんたと慣れ慣れしく話するような関係になったわけ」


「え、だって、さっき」


「さっき? ああ、あの能転気のお嬢様のことか。あんな人のどこがいいんだが。ああいうみんなに好かれて自分から離していくの大っ嫌い。私は一人、こうして過ごすのが好きなわけ。だから、私に話かけないで」


「…そんな」


そんなことがあって、クレアは一人、教室にいるのも辛く中庭に来ていたのだ。

せっかく春日さんと友達になれる、そう思っていたのに。

クレアは自分の勘違い、そう考えていた。

浮かれ過ぎていたのだ、自分は。

やはりまだ孤児院のあの時のように、一人で過ごした日々がいいと思い始めていた。

あの時はこういう辛い思いをすることがなかった。

でも、今は違う。

すごく辛い、悲しい。

まさか、こんな目にあうなんて。

明日からどうやって学校生活を過ごしていけばいいのだろう。

悩めば悩むほど悪い方向へと考えがむかっていく。

涙が出そうになってうつむいていると、ある声が聞こえてきた。

その声はもちろんあの人だった。




どうも。

今回はクレアと春日のお話がメインでしたね。

設定では春日はクレアのことが好きでいじめちゃうタイプの子になってます。

でも、いつか春日の恋叶うといいですね。

それは私次第かw

次話ではもう一人キャラが出てくる予定です。

お楽しみに。

それでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ