バカみたい
あ!聡子だ!凄い偶然だなぁ〜
私は右手を高々と上げて 聡子の名前を
叫ぼうとして その声は止まったのでした
聡子の横に あの人が居たからだ
何故? どうして? 一緒に?
そんな事は 考えなくても分っていた
答えは一つしか無い
それを私が 認めたくなかっただけ
色んな事を考えてるのに 頭の中は真っ白で
周りの物音も 耳に入ってこない まるで
自分の周りだけ 時間が止まっている様な
そんな妙な感覚に陥ったのだ
そしてハッと我に返り思った
聡子達に気付かれる前に ここを去らないと
だけど足が思う様に 動いてはくれない
頭はもう ハッキリしてるのに 体がまだ
それに順応してないのだ
モゴモゴしている内に 聡子達が私に気づいた
聡子の瞳は見る見る内に涙で溢れて
ごめんなさい そう言ってる様に 見えた
あの人は目を逸らしたままだった
そしてやっと動く事が 出来た私は
「バカみたい」そう叫び 走り出した
突然 流れ出る 涙・・・
走りながら 涙を拭った
私は何て 最低な女だろう
ホント バカは私よ・・・
家に向かいひたすら走った
そして家に着いた時 涙は止まっていた
玄関を開ける前に深呼吸をして 扉を開けた
「ただいま〜」私が玄関で叫ぶと
「おかえり〜」その返事を聞いて
母の声を聞いて何故かホッとした
私は自分の部屋に入ると ベッドに倒れこんだ
裏切られた そんな気分だった
幼い頃から ずっと一緒で親友だったのに
その時携帯が 鈍い音を鳴らしながら震えた
ポケットから取り出して 携帯を覗くと
聡子からだった
私はブルブル震える携帯を 握り締めた
そして通話のボタンに指を伸ばしても
指が震えて 押す事が出来ない
その携帯を握り締めたまま
止まった筈の涙が再び零れ落ちた
暫くして携帯の振動は 止まった
私は枕に顔を埋めて 泣いた
何も考えられず ただ 泣いた
そして 私はそのまま 眠りに就いたのでした