涙
何故か分らないけど 少し妙な気分になった
う〜〜ん 何だろう この妙な感じは・・・
よくわかんないわ
さぁ 早く帰って ご飯 ご飯〜
私は気にも止めず 家路を急いだのでした
「ただいま〜」玄関を開けて 元気良く言うと
キッチンの方から 母親の声が響いてきた
「お姉ちゃん!!」
そしてドタドタと 玄関迄 走ってきて
「帰りが遅いから 心配したじゃない!」
「ゴメンね 聡子と話してたら遅くなって」
すると母親の後ろから 弟が顔を出して
「だから心配いらないって 言ったのに」
そう言って 私から顔を背けた
「耕平だって 姉ちゃんが 帰って来る迄
起きてるって 言ったでしょ!」
「な! そんな事 僕は言ってないよ!
何言ってるんだよ 母さんは!!」
そんな2人のやり取りに 何故かホッとした
「それに 姉ちゃんを襲った相手の方を
オイラは 心配するね〜」
「何だって〜 耕平 待ちなさい〜」
私が耕平を追いかけてるのを見て 母親は
ハァ〜 と大きく溜息を吐いて言った
「はいはい 食事の準備が出来てるから
お姉ちゃんは早く着替えなさい〜」
「は〜い」私は素直に 部屋に戻った
何故なら 普段は天然でボ〜ッとしてるが
怒ると父親より 怖いからである・・・
着替えてキッチンに 行くと弟の姿はなかった
「耕平は?」椅子に座って 母に聞くと
「宿題してから 寝るって部屋に行ったわよ」
「そっか ホント 憎たらしいんだから〜」
すると母がクスッと笑って 私を見た
「何よ〜 頂きます〜」
「はいはい 召し上がれ〜」
母は 美人で料理も上手で その上性格もいい
天然だけどね
何故 父なんかを選んだのか 不思議だった
「母さんはどうして 父さんを選んだの?」
「まぁ!まぁ!いきなりどうしたの!」
「いや・・・ 母さんが あの父さんのどこを
好きになったのか 不思議で」
「まぁ あの人も酷い言われ様ね」
「だって岩石みたいな顔だし すぐ怒るし!」
「フフフ 岩石はうまく言ったわね」
う うまく言ったんだ・・・ 私・・・
母さんも酷い様な気がするんですけど・・・
そんな事を考えていると 母が両手で
自分の頬を抑えながら 照れ臭そうに 言った
「あのね この人だわって そう思ったのよ
この人は本当に私を愛してくれるって」
「へ〜 そうなんだ よく分んないや」
「お姉ちゃんだって そんな人と出会う日が
きっと来るわよ〜」
「そ そうかな?そうは思えないよ・・・」
「何言ってるの!そんな事 な・・い」
母の言葉は 途中で 途切れた
「だって だって 私 フラれちゃったし〜」
そう言った 私の瞳から 涙が溢れているのを
見たからだった・・・