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出ない答え

その時 会社からずっと私の跡をつけて来た


甲斐君が 建物の陰から現れると


私の家の前迄来て 呼び鈴を押す事が


出来ずに帰ったのを 私が知る由もなかった





翌朝 何時もよりも 早く目を覚ました私は


会社に行く準備を終らせて 家の前で聡子が


来るのを待っていると 近所のおばさんが


私に気づいて 話しかけてきた


「おはよ〜和代ちゃん」


「あ おはようございます」


「ちょっと ちょっと」


指を曲げたり伸ばしたりして 私を呼ぶと


耳元で 囁いた




「昨日ねぇ 和代ちゃんが帰って来たのを偶然


見かけてね〜」


「あ は はい」


「私も 自分の家に入ろうとしたのよ〜」


「は はい・・・」


「その時よ!」


「な 何かあったんですか?」




より一層近付いて来て 私の耳元で


「そこの物陰から 男の人が出て来てね


和代ちゃんの家の前で 立ち止まったのよ」


「は はあ・・・」


呆れ顔の私を見ると おばさんは 少し声の


ボリュームを上げて




「違うのよ!」


「え?な 何がですか?」


「違うの!それがねぇ 呼び鈴も押さないでね


ウロウロして 何もしないで 帰ったのよ!」


その時私の脳裏に 甲斐君の顔が過った


「あれは きっとストーカーよ!和代ちゃん


狙われてるのよ 警察に言った方がいいわよ」




おばさんが真剣な顔付きで 言ったのを見て


頭には 玄関の前で ウロウロしている


甲斐君の姿が 再び浮かび上がった


その姿が 可笑しくて 思わず吹き出した


「プッ」「 その人なら大丈夫です」


笑ながら言った私を見て


「あら 和代ちゃん 何だか嬉しそうね?」




「そ そんな事無いですよ!」


「昨日のひょっとして 和代ちゃんのコレ?」


親指を立てて おばさんがニヤッと笑った


「ち 違います!そんなんぢゃないです!」


「あら そうなの?そう言えばルックスは


悪く無かったわよ」


その時 丁度聡子がやって来た


グッジョブ聡子!私は心で叫んだ




「聡子が 迎えに来たので いって来ますね」


「あら そう?」


とても残念そうな顔で 手を振っていた


「お早う〜 和代今日早いわね」


「何だか 早く目が覚めちゃってね〜」


「ところで甲斐君って人に 返事したの?」




突然そう聞かれて 黙ってる私を見ると


「やっぱりまだなのね」


「う うん」


「付き合ってみたら?」


「え?え?あ 朝から 何 言い出すのよ〜!」


「和代だって満更ぢゃないんでしょ?」


「な な 何言ってんのよ そんな事無いわよ


そ それに あ あれからは甲斐君からの


お誘いも無いし きっと諦めたのよ」


その言葉とは裏腹に 胸の鼓動が高鳴っていた


そしてその鼓動に 私は戸惑っていた




そんな私に容赦無く 聡子は核心をついてきた


「そりゃあそうよ だって今度会った時に


断られたらどうしよう・・・


とか 考えたら怖くて誘えないでしょ?」


「そ そりゃあ そうかも・・・だけど」


「だから 今度は和代から誘えばいいのよ」


「え!?むり ムリ そんなの無理よ!」





「でも早かれ遅かれ 甲斐君に返事はしないと


いけないんじゃない?」


「そ そりゃあ そうなんだけど・・・」


「まぁ でも 付き合う 付き合わないは


考えても 答えは出ないと 思うのよね」


「そ そうだよね」


「うん 直感的にと言うか 心にくるものが


あると言うか 何と言うか」


そう言った聡子を見て思った


きっと聡子なら あの人と大切な何かを


見つける事が 出来るんだろうな・・・と


その瞬間 私の瞳から 涙がこぼれ落ちていた




「なっ どっどうしたの和代!」


「え?」


「え?ぢゃないわよ 涙 涙が」


聡子に言われ 頬に手を当てて


涙が 流れ落ちたのを 知った


「あ いや何でもない 大丈夫 大丈夫よ」


「私 和代に憎まれても 仕方ないのよね


親友の和代にそれだけの事を・・・」





「何おバカな事言ってんの!そんな事より


ほら〜早く行かないと 乗り遅れるわよ」


聡子は俯き 肩を落として歩き出した


その背中を見て ヤレヤレそう思いながら


「聡子〜」


私が叫ぶと 俯いたまま こちらを向いた


「ずっと 親友だからね〜」


今度は聡子の瞳から 涙がこぼれ落ちた


そして涙を拭い 大きく手を振りながら


聡子は 電車乗り場に向かい 去って行った


「直感的・・・か」


私はボソッと呟き 会社に向かったのでした




































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