告白
それは私をフったあの人が 立っていたからだ
「ど どうして 貴方がここに居るの?」
「よう お久 元気してたか?」
懐かしい笑顔で 私にそう言ったのでした
「な 何か用事?」
視線を逸らして 私が言うと
「用事は無いけど 前を通りかかったからさ〜
それより後ろで立ってるの 彼氏?」
ギクッとして 振り向くと甲斐君が居た
「か 甲斐君帰ってなかったの?」
すると 少し強張った顔付きで
「だ 誰ですか?」
「あ ああ 元彼よ」
「何をコソコソ言ってんだよ そいつって
彼氏なのか?」
「甲斐君は 違うわよ」
それを聞いて 寂しそうな顔で 俯いた
そんな甲斐君を見て 心が痛んだ
嘘でも彼氏って 言えば良かったかしらと
「そうだよな〜そんな訳無いよな〜趣味が
変わったのかと 焦ったぜ〜」
何故か それを聞いて 私は カチンときた
「例え甲斐君が彼氏だったとしても
貴方には 関係無いでしょ」
「そう言わず そんな奴 放っといて 今から
遊びに行こうぜ」
腕を掴まれ 付き合ってた頃とは違い とても
嫌な感じがして 振りほどこうとした時
「止めて下さい 嫌がってるでしょう」
私の前に甲斐君が立ち 手を振りほどいた
その甲斐君の体は 小刻みに震えていた
「甲斐君 無理しなくて いいよ」
すると甲斐君は 震えたまま 仁王立ちになり
「い 嫌です 好きな人の一人も 守れなきゃ
お 男じゃ 無いですから!」
その言葉にトクンと胸が高鳴った
「フン!な〜んか シラけたぜ じゃあな〜」
捨てゼリフを吐いて 去って行くのを見て
甲斐君は ヘナヘナとその場に座り込んだ
「大丈夫?」
「あ す すいません 大丈夫です」
立ち上がり砂を払うと 俯いたまま車に戻った
「それじゃあ さようなら」
車の窓を開けて 私から視線を逸らして言った
「あ!か 甲斐君」私が呼び止めると
「何でしょうか?」
「さっきは 有難うね 助かったわ」
「いえ 僕は何もしてませんよ 震えながら
立って居るのが 精一杯でしたから」
「でも 嬉しかったわ ホントに有難うね」
「え!いや そんな ただ必死で だから」
「それに あんな形で 告られるなんて
思ってなかったしね」
すると甲斐君は さっき自分が言った事を
思い出したのか 顔を真っ赤にしながら
「あ あれは 勢みと言うか 言葉のあやと
言うか 何と言うか」
「そうなんだ じゃあ気にしなくていいわね」
右手を上げながら 向きを変えて 歩きだした
そんな 私の背中越しに 甲斐君が
「あ いや でもあれは本当の事で だけど
ムリなのは分ってるからと言うか」
「考えとく じゃあ またね〜」
そう言った自分が 恥ずかしくなり
私は 家に向かって 走り出した
「えぇっ!マヂで?本当に?やった〜」
その 背後から甲斐君の声が 聞こえていた
マヂと本当は同じだし それに考えとくって
事は 断るかもなのに 喜んでるし・・・
いや 考えてみれば 甲斐君は 断られると
思っていたのが 考えとく と 言う事は
私と 付き合える可能性が あるかもなんだし
って 私って 何様のつもりなんだろ・・・
等と 自分勝手な想像をしながら
家に辿り着いたのでした




