予期せぬ出来事
でも私にとっての 本当のイベントは
これからだった・・・
会社を出て 近くの物陰に身を潜めて
甲斐君が 出て来るのを待った
暫く身を潜めていると 会社から 俯いたまま
トボトボと歩いて 甲斐君が出てきた
私はコッソリと跡をつけて 会社から程よく
離れた場所で 甲斐君に話し掛けた
「か 甲斐君!」
突然 名前を呼ばれて 驚いたのか ビクッと
して 曲がった背筋が ピンと伸びた
そしてゆっくりと こちらを振り向くと
「ど どうも」と 私に軽く会釈をした
それに答えて 軽く頭を下げて 本題に入った
「昨日折角お見舞いに来てくれたのに 失礼な
言い方して ごめんなさいね」
すると両手をブンブンと横に降りながら
「と とんでもないです!面識も無いのに突然
家にお見舞いに行った 僕が非常識でした」
その姿が可笑しくて 私は思わず 「プッ」と
吹き出してしまった
「な 何か可笑しい事 言いましたか?」
驚いた顔で 言った甲斐君が 可笑しくて
また 笑いそうになるのを 堪えるのが
精一杯で 黙ったまま 立っていると
「ど どうかしたんですか?」
「何でも無いの お見舞いわざわざ来てくれて
有難うね じゃあ私こっちだから」
手を振り 甲斐君に背を向けて 歩き出した時
「あ あの同じ方向なので 一緒に帰っていい
ですか?」
背中越しに それを聞いて 丁重に
お断りしようと 振り向き口を開いたが
甲斐君のお願いしますと 言わんばかりの
眼力に 私は断る事が出来なかった
そして一緒に歩き始めたのは いいが
これと言った会話も無く ただ歩くだけ・・・
時々チラッと甲斐君を 横目で見ると
にやけた顔で 俯いて歩いていた
それを見て きしょっ!と思い そして
私って何て 酷い女なんだろうと思った・・・
結局 何の会話も無いまま 家まで帰ってきた
「じゃあまた 会社でね」
手を振ったが 甲斐君は帰る様子がない
ど どうしたんだろう・・・
俯いたままの甲斐君を 覗き込もうとした時
突然甲斐君が ポケットから何かを握り締めた
震える右手を 私の前に突き出して
「迷惑でなければ 一緒に映画どうですか?」
予期せぬ出来事に 言葉を失い佇んだのでした




