表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/19

イベント消化、の、その後

ちょっと濃い目……というか、リアルな恋愛的描写が続いております。

R-18ではないと思っていますが、不快な方はご遠慮ください。

 ……疲れたという言葉が適切なのかどうかは分からない。

 別に働いたわけでもないし、勉強したわけでもない。

 ただ、体はだるい。何だか頭もフラフラするし……痛い。

 色々痛い。

 どこが痛いとか具体的な表現は避けるけど、鈍い痛みと感じたことのない妙な違和感は、脳内でどう処理すればいいのだろうか。

 意識が何となく覚醒した私は、ぼんやりと瞼を開いて……天井を、見上げた。

 カーテンの隙間から差し込む光が、夜じゃないことを――夜が明けたことを鮮明に伝えてくれる。

 掛け布団の隙間から肌寒さを感じ、思わず一度身震いした。

 そして、自覚する。

 ココは私の部屋じゃなくて。

 昨日のことは……よく分からないやり取りやその他諸々を含め、私に都合のいい夢じゃなくて。

 そっと、左横に視線を移す。

 そこにいるのは、安定した寝息で夢の中にいる彼の姿。相変わらず端整すぎる外見に、普段見慣れない眼鏡ナシの状態だから……ただでさえ耐性のない私は心臓が大きく波打ってしまう。

 でも……昨日のあの時に比べたら、まだマシか。

 私は思わず失笑して……色々思い出した途端に赤面した。

 彼が私の名前を呼んだ瞬間、全身が痺れて動けなくなったような感覚に襲われたんだ。

 見つめられると動けなくなって、視線をそらせなくなる。

 結局のところ……彼の言葉に導かれるままに、私は服を脱いだりしちゃって、それで……。


 ……あぁぁ。


 知識だけしか知らなかった、知識だけが先行していた世界が、急に現実として私の前に姿を現す。そう、それはまさしく突然に最初からクライマックスって言うか、その……。

 ……認めるしかない。私を抱き枕に安らかな顔の彼に抱かれたことも、ぶっちゃけ初めて捧げちゃったとかいうことも、その他諸々、全て現実なのだ。

 普通の女の子なら、もっと取り乱すような場面かもしれない。

 だけど、

「……疲れた」

 どうしてだろう、色々乙女として恥らうべきかもしれないけど、どっと疲れが。

 うん、改めてゲームのヒロインは凄いよ……私、あんなに要求されても無理だもん。絶対無理。従順に従うなんてありえない。一晩中? 3回? 無理、絶対無理っていうか不可能。どれだけ体力とかその他とかが備わっていれば可能なのよそんなことっ! シナリオライター出て来い!! 絶対男でしょう!?

 実体験してみて強く思ったのはそういうことだった。

 ……私らしい、なぁ?

 私の右上、枕元に彼の携帯電話がある。時間を確認すると午前8時過ぎ、どーりで小腹がすいてるわけだ。

 っていうか……昨日、夕食は何を食べたっけ? 何か食べたんだっけ?

 うぅ、昨日は特に色々とショッキングな体験ばかりが集中したから、日常の些細なことが思い出せないっ!!

 でも……今日からはまた、日常が始まる。

 だけど、多分……昨日までとは少し違う、そんな日常が。

 抜け出せないので諦めて二度寝することにした私は……優しい笑顔で眠っている彼の顔に和んでから、軽く、目を閉じる。

 昨日、至近距離で真っ直ぐ見つめられたときの新谷氏は……もうしばらく、忘れられそうにない。

 うん、ここまで来たら認めよう。

 私は彼のことが、いつの間にか好きになっていたんだ。

 まぁ、私は自分がフラグを立てたつもりはなかったんだけど……抱きしめられて、キスされて……笑ってくれて。

 嫌じゃない、むしろ嬉しいと思っている私が、確かにいたから。

 彼が本気じゃない女性に対してこんなことをしないのは分かっているつもりだった。だから……だからこそ、このまま終わらせたくない。

 今は……彼の過去に何があったのか、多分、話をしてはくれないけど、

「いつか、名前で呼ばせてくれる……かな」

 まずは、近い将来……「新谷氏」じゃなくて、「薫」って呼べる関係になりたい。

 そして、その時の彼は……昨日以上に優しく、私の名前を呼んで欲しい。

 呆れ顔でもいい、苦笑でもいいから、いつか……太陽が高い時間でも呼んでね、「都」って。

 ただ、今はとりあえず、

「……冷蔵庫の中身をチェックして、アルコールは処分しなくちゃなぁ……」

 次に起きてからやることを頭の中にインプットしてから、そっと、もう少しだけ、彼に近づいた。

 互いの笑顔を死守するために、彼には今後、むやみに酒を与えないほうがいい、と……心の中で固く誓いながら。

お母さんは都をそんな女の子に育てた覚えはありません!!

……書いたの私ですけど。

ちなみに、二人は勿論18歳以上です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ