プロローグ『全ての始まり』
プロローグですが、前世~今の人物で召喚されるまでの話です。
かなり省略されてます。一応、後の展開で必要な話でもあります。
俺は死んだ。
死んだ理由は、というか亡くなったと言ったほうがいいかな。
原因は寿命だった。
俺の体は異常なまで劣化が早く、寿命が短く、病院の人からは老化しない代わりに寿命が人より短いという診断結果がでたが、症状名は付けられていない。
それを聞いた俺はちょっと失望した。
あまりのありえない出来事にこの世から逃げ出しそうなくらいに。
でも寿命まで生きてみようと思った。これが己の宿命なのだから
そして……28歳になった頃、全身がもう動かなくなった。
もう駄目だ。もう無理だ。だがこれでいい。後悔なんてないって言ったら嘘になるが。
これも俺の運命でしかないのなら受け入れようと、目を閉じて景色など、自分の生きる空間など見たくないかのように眠った。
意識が戻ったと感じた時、目を覚ますとあまりにもありえない現象に叫んでしまった。
叫んだといっても姿が赤ん坊だから泣き叫ぶしかできないが。
泣きわめいてる俺を見た母親らしき人が俺を抱っこして泣き止まそうと宥めてくれた。
いい香りがする。それに空気もおいしくまるで別世界に転生したかのようだ。
そこではっと気づき、今の現状を考える事にした。
なぜ赤ちゃんなのに考えられるのか?
食事中、両親が話している時に多重思考、多重詠唱という言葉を聞いて推測したからだ。
前世の意識と赤ちゃんの意識視点は同じでも考えは年齢そのままらしい事だ。
多重思考は2つ以上の思考を起こす事ができる。多分これが俺自身の能力なんだと理解できた。
詠唱、おそらくこの世界には魔法が存在する。
せっかくこの世界に転生したのだから楽しまなくちゃいけない。
成長したら絶対に強くなって見せるという決意を決めた。
だが、この決断が俺にとっての運命を決める事になるなど誰も知りもしなかった。
5年後、俺は色んな人達から魔法を学んだ。
ちなみに俺の名前は『カズヤ・サファイアワールド・アズマフィール』という。
前世の苗字が入っている事に驚くが、俺の前世の名前が東黒斗。
俺の両親の名前は父が『アレス』・母が『フィーネ』という、その後に『サファイアワールド』が苗字って事になる。じゃあ『アズマフィール』とは何なんだ?
両親というか父は後にわかる、と一言だけ。
今の年齢になり、文字が読めるからわかった事だがこの世界広いし、チート塗れの世界だった。
俺の知ってる太陽系銀河より馬鹿みたいに広くて一つの銀河で5432兆光年(5.13895903 × 1031 メートル)というふざけた広さだった。一つの銀河でそれって滅茶苦茶すぎるが、神が、その逆も普通に領域も存在するから普通だ。
惑星と惑星の間には星間転送装置が存在し、宇宙船も存在する。
もちろん生身で宇宙空間を飛べる。
星間転送は宇宙船より利用価格が高いため、安く移動できる宇宙船も設置されていると聞いた。
ブラックホール、ビックバン以上のエネルギーさえも単体で消したりできる存在が数人だけいる。
もうこの世界観がとんでもなくインフレしすぎてる世界って事がわかり、修行をする事にした。
「幼馴染いない。はぁ……別にいいけど学園も存在するしまあいっか」
学園、この世界の学園は6歳から学ぶ事ができる巨大育成学園とも呼ばれている。
巨大と呼ばれる理由は単純、6歳から18歳までの学生が通えるという広さ。
別の星からもこの学園で学ぶ人が多い人気学園。
魔法、魔術、法術、魔砲、禁断魔法、治癒、剣士など色々な道が選べる専門授業がある。
この世界のルールでは魔法属性も64以上存在し、よくわからない現象まである。正しくは概念、法則なのだろうが。
でも15歳以上だから先の事はそれから、だな。
「あと一年で学園に学べる。そこで学び強くなって困っている人達を助けるんだ」
このときの俺は真っ直ぐだった。
何も知らず、何も考えず、ただ自分の道を進めばいいと思っていたから。
学園に入って約12年後、俺の運命を左右する出来事が起こった。
それは『終焉戦争』と呼ばれる大規模の戦いだった。
大規模になったのは黒幕と戦ったときだけで、それ以外は大陸破壊程度の戦いだった。
色んな種族が負の異変で暴走し、全ての人が巻き込まれた。
人の命が消え、大地が抉れたり、文明を滅ぼすほどの規模へ変貌する。
そして……最後の戦い。
俺は宇宙空間で全ての元凶を倒すために準備していた。
「ラファル。お前を倒す。この世界のためにも俺のためにも」
「果たして倒せるのか? 神、魔王、邪神、全知全能の神、あらゆる万物を創造した我に」
そう、ラファルは全てを混ぜた世界を作ったらどうなるか実験するために作ったに過ぎない。
声がセ○に似てるが気にしてはいけない。
「フッフッフ……良いだろう。来るがいい。ただしその辺にある惑星は確実に消えるが」
「お前を倒して元に戻させるに決まっているだろうが!」
「それでこそ『アズマフィール』だ」
「その『アズマフィール』ってのは何なんだ!」
「死ぬお前に知る意味は無い」
「その余裕面を苦しむ面に変えてやる!」
「来い」
俺とラファルは瞬間移動で相互に攻めた。
フェイントをかましながら攻撃を当てるがバリアの影響で反射し、背後の惑星に落ちたのだが、地面にぶつかると一気に抉れ、中心の核が崩壊し惑星が爆発した。爆発した余波が周辺の惑星まで届き爆発する。さらに遠くの惑星にも余波が来て爆発を起こす。
惑星の爆発、余波を受けた俺は一気にラファルの前まで移動する。
「化け物が!」
「惑星爆発で無傷のお前に言われたら化け物がかわいそうだ」
「ちっ! 何百の星も消えた……絶対にお前を倒す以外の道は無い!」
「ほう? なら我の攻撃を受けよ! 10億の星よ全て我が手の中に」
無数の惑星がラファルの上に集まっていく。
惑星と惑星が融合していく。融合した惑星の大きさがとんでもない。
その塊をどうするんだ?
「知ってるか? 惑星のエネルギーは数百億年を一瞬に使うと宇宙を滅ぼす事ができると」
「そんな事あるわけ無いだろうが!」
「法則を改変すれば関係ないのだよ。 そのエネルギーが10億分もあるとどうなるかな?」
「……やってやるさ! 来い!」
「いいだろう! 貴様の存在は宇宙ごと無に帰してやる! ファイナルスターディストラクション」
青色と黒色という事は絶対破壊の属性、か。
ヤバイ、死ぬかもしれないな。
ここであきらめる気は無いから、俺も最強技を使う。
「全てを創作された2次元に。全てを塵となり、存在理由の意味を成さない」
「我に敵対セシ存在は架空、我は絶対存在に成り代わらん ブルウウウウウウウウウウウウウデス・クラッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
ラファルの攻撃と俺の攻撃が衝突する。
衝突した際、残っていた惑星、恒星、物質は全て消滅していた。
「何!? 互角だと」
「『アズマフィール』覚醒できないお前など雑魚に過ぎないんだよ! さっさと宇宙の塵に成り果てろ」
「な、なんで!」
「我に抵抗できる存在はお前が初めてだ。だがそれはもう終わりよ。さあフィナーレだ」
ラファルの攻撃の勢いが一気に上昇した。
俺の攻撃力が足りない影響で後ろに押し出される。
このままではラファルの力に飲み込まれる。
「俺は、俺は諦められるかっ!!」
俺の背中に無数の翼が生えた途端、力が増大した。
無限に上昇していく感覚がある。
俺の中に力が流れていく。
まるで俺の中に無限の領域があるかのように。
その時、ラファルの攻撃が俺の中に入ってきた。
「何だと!? 我の力を吸収していくだとそんなバカな、ありえるはずが無い我の力は……」
「どうやらお前の力は俺の中に入っていくみたいだ。その力が俺に馴染む」
「馴染むだと!? どういう事だ……っ!?」
「油断したな! いけええええええええええええええええええええええ!」
ラファルの表情が固まった時、攻撃の勢いも止まった。
チャンスだと思った俺は一気に相手の攻撃も利用してラファルへ逆流させた。
俺とラファルの攻撃が一気にラファルを飲み込んだ。
「そ、そういう事か……」
「まだしぶといな。もうこの攻撃で終わりにしてやる」
色んな所の皮膚が黒焦げになったり、腕がありえない方向へ曲がってたりしていた。
どうみてもボロボロだった。
だから俺は最後の一撃としてもう一度同じ技を発動させる。
「お前は我の力に馴染むといったな……」
「ああそうだ」
「我の力を複製したのか、貴様の中に存在する無限の領域とは『アズマフィール』という」
「アズマフィール?」
いきなり語りだした。
「『アズマフィール』とは……いや教えてやらん。とどめを刺すがいい」
「遠慮なくさせてもらう」
「我を倒せば自動的に時間が巻き戻る」
「何だと!?」
「心配する事は無い。我が存在しない世界に書き換わるだろう。だがお前はこの世界にいてはならん」
「……アズマフィールか?」
「そうではない。今度はお前が敵になるからだ」
「どういうことだ!」
「考えてもみよ。我の力に馴染んでいる状態で居て見ろ。あの神々達がお前を強奪しようとあちこち戦争が起こるぞ。そうなればまた同じ事だ。お前の運命は既に定められているかもしれんがな」
「……それなら仕方ないが、俺の運命は俺が決める。誰にも決めさせない」
「それでいい。さあ我を消すがいい。そうすればこの宇宙、世界は誰にも縛られない領域となる」
「ああ。ブルーデス・クラッシャー」
さっきのより小さい規模のサイズでラファルを飲み込んだ。
これでラファルの存在は消えたんだけど、俺も消えなきゃいけない。
「母さん、父さん、俺の友達……ご元気で。俺もどこかの世界で生きます」
どこの世界か指定も無いランダム次元転移でこの場から去った。
この空間は2人の戦いによって、神々、邪神達の戦争によって消された惑星、恒星など全てが再生していった。そして時間は戦争が起こる前の時期へ巻き戻された。
ただカズヤ・サファイアワールド・アズマフィールの情報を除いて。
~どこかの平地~
ランダム次元転移で来た場所が平地だった。
空気の味はあの世界と比べても変わらないほどのおいしさ。
ここから1K先に緑の植物がいっぱいあるが、その向こうには山しかない。
反対方向に町があるらしいというか視力が高いから見えるだけの話。
「さて、この世界でしばらく暮らそうかな」
町へ行ったらまずは食事にしよう。
そう活き込んだ俺なんだけど、いきなり目の前に召喚ゲートが発生し、それに飲み込まれた。
ゲートを潜ったと思った瞬間、ちょっと離れた距離に金色の髪でロングストレートの女の子がいました。
白いヒラヒラのドレスを着てるから綺麗に見える。
「あなたが召喚に答えてくれた人ですね!」
「……これって勇者フラグ?」
俺の呟きは闇へと消えた。