6話 歓喜と絶望、そして挑戦者
「2戦目の勝者トワイラ」
「これで1勝1敗。まあここまで運の勝負でよくやっていると褒めてやるよ。俺が勝てばお前は一生奴隷だな」
「あなたこそ覚えていないなんて言わせないわよ」
「ああっと、その前にこれまで出てないカードがまだあったはずだ。なぁに、最終戦。お前も不正なんてあっちゃまずいだろ? 防ぐためにもここにいるメンツ含めちゃんとあるかどうか互いに確認するんだよ」
確かにまだ確認していないカードはあるけど、今確認する必要あるのかな?
大男はカードをひっくり返すと、バラバラだが全てある事を確認できる。
「20、19、18、17、16上位の数字はあるな」
トワイラはあたしに見せつけるように数字のカードを持って見せた。
しかしなぜこう強調するようにこの人は確認したんだろう?
不正防止なんて一回目の時点で不可能だってのはわかっていたはずなのに……。
互いに最後のシャッフルをし終えたあと、カードがテーブルの上でバラバラに置かれている。
「嬢ちゃんからだ」
あたしはカードを選ぼうとしたその時、ビリッと指先に電流が走る。
カードから指を離し、ふと考え込んだ。
「どうしたんだ? 早くしろよ。他の客が俺らの勝負の行方を見守っているんだからさ」
あたしは無視をし、とあるカードに手を伸ばした。
裏返すと書かれていた数字は20。
「まさかいきなり20を引くとは。運が良いな。まあ俺なら19を出せるだろう。ほら19だ」
あたしは数秒間の無言を貫いたのち次のカードを捲ると16。
「さっきのはただのマグレだったみたいだな。なら俺はこれだ」
トワイラが捲ったカード数値は17。
「ねえ。さっき何で16~20のカードを確認していたのか考えていたの」
「あん?」
「別に確認する必要があるのかなって。けどあなたの取ったカードを見て確信したの」
カードを捲ると18の数字が表れた。
予想外の数字の取り合いだからか歓声が沸き上がる。
バニー姿の女性達もみんな、この卓上をあたし達の様子を見に来ていた。
先ほどまで絶望していた表情から反転、嬉しそうな笑みをこぼしている。
「ま、まさか……嘘だ! ありえない……まさか、イカサマ!?」
「イカサマ? イカサマを防ぐためにさっき確認したのはあなたでしょ? いいから勝負はまだ終わってないから、次のカード捲って!」
気圧されたのか、あたしの言葉に渋々従いカードを捲る。
14。
トワイラは思わず苦虫を噛み潰したような表情を見せた。
客も15を引くと予想していたのか落胆の声が漏れた。
あたしも続くように捲ると数値は13。
続いてトワイラが捲り5。
「くそっ! 何でここで5なんだ! 高い数字出したら殺すからな!」
なんて愚かな人なんだろ。
哀れみの視線を向けながらもあたしはカードを捲った。
3。
「はははっ! 3だ。こいつこんな重要な所で3を引きやがった!」
「確かにあたしは5以上は引けなかった。運が悪いと思う。だけどあなたはどうなの? ここまで観客を沸かして、みんな見てるのよ! 残ってるカードは1か15だけ。15引いたらあたしの負けだけど、1引いたらあなたの負け!」
「……っ!」
トワイラはカードを選ぶ手が止まる。
観客も大男も唾を飲むように見守る。
止まっていた手が動き一つのカードを掴むと裏返した。
カードの数字は……。
1。
「う、嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ! 俺がこんなイモ臭い小娘に!」
トワイラはテーブルの上に握り拳を乗せ悔しそうな表情でカードを見つめた。
歓喜が沸き上がる。
「さあ約束よ。あたしたちをここから解放して」
「黙れ!」
トワイラはテーブルを強く叩く。
往生際が悪すぎる。
あたしは即座に椅子から降り、対抗するよう構えようとするが後ろから大男に羽交い締めにされた。
「ぐ……ぅ……嘘つき」
「ここは俺らの島なんだぜ? まあ負けようが勝とうがノコノコついてきた時点でお前の負けだ。それにここにいる奴等だって女目当てが多いから女どもを解放なんてすれば商売あがったりよ」
ジタバタするものの、大男に勝てるはずもないのはわかっている。
悔しい……!
せっかく勝てて皆、解放できると思ったのに!
「なら私と一戦勝負しましょうか」




